この間、ある人から「なぜブログなんですか?」と言われました。
ブログというのはかれこれ20年以上前からあるツールで、インターネットの情報発信としては昨今もっといろいろなものがあります。
なのになぜ今もブログなんですか?
もっと効率的で多くの人に届きやすいツールがあるでしょう?
今時ブログなんて、おじいさんの情報発信ですよ。
もしかしたらその人はそんなことを言いたかったのかもしれません。
確かに写真中心だったり、短い動画だったり、昨今ではいろいろなツールがあって、もちろん私もいくつかは使っていますが、おじいさん的にはそういうものは何となく「その場限り」で、まぁ、単なるお知らせ的なものや、人を引き付けてアクセス数を稼ぐためのものだったりすると思っていて、それはそれでツールですから、目的に合わせて最適なものを選択すれば良いと思っています。
で、私の場合、こうして毎日せっせとブログを書いているのは、皆様方にいろいろと情報をお届けして、列車に乗りにいらしていただきたいのはもちろんですが、それ以外にも日々の備忘録的な意味がありまして、昨今のその場限りでしばらくしたら消えてしまうような、いや、消えてはいないんでしょうが、出てこなくなるようなツールでは、記録媒体としての役割が立たないから、今時でもブログなのです。
ブログ。
すなわちウエブ・ログですから、ウエブ上に記録するログ。
その時その時に考えていたことや、出来事、出会った人、行った場所などなど、あとで思い出してリトリーブしてみるためのログなのであります。
ということで、今夜も書いているわけですが、昨今強く思っているのは乗りたい列車が無くなったということです。
乗りたい列車、乗りたくなるような列車が無くなるということは、行きたい場所が無くなるということで、旅というものがなんだかとてもつまらなくなってきた感じがしていて、そりゃ65年も生きていれば、そして子供のころからあちらこちらに出かけていれば、もう行きつくした感もあるのは当然ですが、それでも、やっぱり時には列車に揺られて遠くまで出かけてみたいと思いますし、そういう列車が走るにふさわしい景色の中を旅してみたいと思うのですが、つまりはそういう場所がないのであります。
例えば、私は宗谷本線が好きなのですが、その理由は最果てを目指す旅情です。
東京生まれで東京育ちの人間にとって、東海道線を西へ下るよりも上野から東北行の列車に揺られて北へ向かう方がなんとなくあこがれるのですが、その極めつけが宗谷本線です。
でも、なんだか青い矢のような特急列車に乗っていても味気ないだけだし、最果て感が出ないのです。
だから、週末だけでもいいから321列車のような6時間も8時間もかけて稚内を目指す列車があってもいいと思いますし、そういう列車は窓が開いて、途中駅でたっぷり停まって、駅にはお蕎麦屋さんがあって、正直言って大してうまくない蕎麦だったとしても、そういう情景の中に身を置けば、その1杯の蕎麦が忘れられない味になる。
そういう旅がしてみたいと思いますし、そういう旅ができれば、旭川から稚内までの260km、特急列車で9000円の区間ですが、私は3万円ぐらい払ってもいいから乗ってみたいなと思うのです。



なぜなら静岡から旭川まで行くのですから最低でも片道4万円ぐらいかかります。
往復だと8万円です。
そういう場所ですから、その目的の列車が「1万円なら乗るけど3万円なら乗るのはよしましょう」とはなりませんから。
でも、3万円だからと言って新型の豪華列車など要りません。
ガタガタギシギシ言うような車両で、速度も60キロも出れば十分です。
そして、1日かけて乗るのですから、できればゆったりと座っていきたい。
そういう列車があればいいなあと思っていて、唯一その願いをかなえてくれるのが釧網本線のSL冬の釧路湿原号でありますが、それとて何となく不完全燃焼気味なのです。
そんな私が、大手鉄道会社に期待してもかなうわけない。だったら自分で走らせてしまえばいいんだ。せっかく鉄道会社を任せてもらっているのだから、自分で乗りたくなるような列車を走らせればいいんだ。
そう考えて、キハ52、キハ28,455などを走らせてみたら、それなりに皆様に喜んでいただいてきたわけで、3社目となる大井川鐵道は沿線のロケーションも素敵だし、使っている車両もレトロですから、EL急行や夜行列車、食堂車などを展開しているのです。
そうです。
私は自分が「こんな列車があったら乗りに来たいなあ。」と自分で思う列車を走らせているのです。
もちろん会社ですからきちんと収益性を重んじてビジネスモデルを作っているのですが、その根底にあるのが、「こういう商品があったら、自分だったらお客様になる。」という判断基準で、もちろん「自分だったらいくらで買うか。」という値決めで列車という商品を作っているのです。
だから、簡単にひとことで申し上げるとすれば、「お客様を自分の嗜好に付き合わせる商売」であり、「お客様と一緒に楽しむ仕事」と言えるのです。
そこで備忘録としてのブログの話に戻りますが、今からかれこれ15年ほど前に、私は「お客様と一緒に年をとる仕事」というタイトルで記事を書きました。
15年前に私が何を考えていたか。
下部にリンクを貼りますのでご興味のある方はお読みいただきたいと思いますが、トーマスとパーシーが共演する世界観も、私が孫を連れて乗りに来たくなる列車なのです。
ということで、今日もすごかった。
トーマスが2往復、パーシーが2往復。
私は衣装をまとってホームに立ちましたが、まるで都会の電車のラッシュアワー並みの混雑でしたよ。
私は演者でしたので今日の写真はありませんが、ちびっこと並んだ私の写真が何百人のパパやママのスマホの中におさめられたことは確実で、皆さん大喜び。
中には私の息子の会社の同僚という人もいて、「よく息子さんと飲みに行くんです。」などと声を掛けられました。
というわけで、トーマスとパーシーはちびっ子たちに蒸気機関車の思い出を持ってもらって、次の時代に蒸気機関車というものを、あるいは鉄道の楽しみというものをしっかりとつないでもらうための役者ですから、おじいさんとしてはそれにわき役として参加させていただいているのであります。
だから、世間のお爺さんたちも、「黒いSLを無くすなんてけしからん!」などとしかめっ面をするような度量の無いことをせずに、どうしたら蒸気機関車を次の世代につないでいかれるかを真剣に考える時期に来ていると私は思いますよ。
そのために一番手っ取り早いのがビジネスモデル化するということだと私は考えていますが、あなたのお仕事の種類によっては、観光予算を毎年数億円付けていただくことができるかもしれませんし、駅弁売りを手伝ってくれることができるかもしれません。
何らかのアクションをとらないと、皆様の人生に大きな影響を与えてくれた鉄道というものが、本当にダメになってしまうのではないか。
私はそういう危機感を持って毎日仕事をしているのです。


50年も前にこんな列車に乗せてもらって、鉄道に魅了された一人として、今、その鉄道に何ができるか。
一緒に考えるタイミングではないでしょうか。
これすなわち「お客様を自分の世界につき合わせる仕事」なのであります。
▼今夜の一曲はこちらをどうぞ。
かぐや姫 (Kaguyahime) – ひとりきり (Official Audio) – YouTube
お客様と一緒に年をとる仕事 | 大井川鐵道社長 鳥塚亮の地域を元気にするブログ(2011年8月23日)
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