人にやさしい社会へ

先月末に私の昔の本籍地である中央区築地7丁目の記事を書きました。

その時訪ねたのは朝日新聞本社で、インタビューを受けたのですが、そのインタビューが記事になりました。

こちらです。

誰だってマイノリティー】「早くして」車いすユーザーの言葉に葛藤 どこまでサポート?鉄道会社のリアル

ひと言で鉄道会社と言っても、2~3分おきに15両編成の電車が来る都会の路線と、いすみ鉄道のような田舎のローカル線は全く別物です。
だから、私のような者が大都会の交通機関で働く皆様のお仕事のやり方にケチをつけるわけにはいきません。

ましてローカル線はバリアフリーの適用外のところもありますから設備も十分ではありません。
でも、バリアフリーのバリアって、本当は心の中にあるのではないかと私は考えます。

ひょんなことから日本ALS協会の岡部宏生会長さん(当時)と知り合って、お話をさせていただいたことがありました。
お話といっても、岡部さんは全身の筋肉が動かなくなる病気ですから、目の動きを介助の方が読んで会話するんですが、岡部さんは「昔、元気だった頃、千葉にはよくゴルフに行きましたよ。いすみ鉄道が走っているのも車から見ました。一度乗ってみたいなあ。」

そうおっしゃられましたので、では、乗りに来てくださいね。という話をしました。

そうしたらすぐに来てくれたんです。

2017年10月19日のブログより。

交通機関というのは目的地へ行くためのものですから、バリアフリーというのも目的地へ行くための移動の自由を保障するものという考え方に基づいていると考えられます。
その点では、ローカル線というのは他の交通手段がある前提ですから、別にローカル線に乗らなくたって、田舎になればなるほど車やケアの自動車など、いろいろ手段はあります。
でも、ローカル線というのは目的地へ行くためだけの存在ではなくて、「乗ってみたいなあ。」という存在でもあるはずです。

たまには休みの日にのんびりとローカル線に乗ってみたい。
皆さんだってそう思いますよね。
だったら体が自由に動かない人だって同じじゃないのかなあ。

私はそう考えますので、社長だったときに皆さんに乗りに来ていただいたんです。

そりゃあ大変でしたよ。
あの車いす重くて、大人4人がかりでしたから。
そして、大原から上総中野を往復して、おしまいですから何の意味があるのでしょうか?

そう思われる方も多いかもしれませんね。
でも、「乗ってみたい。」という人がいて、その人の思いをかなえるのがローカル線の使命だとしたら、そこにいすみ鉄道が存在する意義があると私は考えたのです。

やってみて思ったことは、みんな笑顔になったこと。
お客様に喜んでいただくことで、自分たちの存在意義があるのです。

さて、都会の交通ですが、現場の皆様方は大変だと思います。
私も30年以上交通の現場にいましたからわかりますが、現場というのは常に人手不足です。
新しい需要が発生しても、現状の職員で行うのが当然で、予算と職員の数は常に後追いです。
でも皆さん一生懸命に働いている。
その理由は、やるしかないからです。
目の前にお客様がいらして、困っていたら、つべこべ言わずにやるしかない。
それが現場ですから。
そして、終わった後に充実感があるのも現場です。
なぜなら、「何のために自分の会社が存在して、自分がそこで仕事をしているか。」ということを体感できるからです。

会社だって当然考えているんですけど、常に後追い状態ですからね。

でも、バリアフリーって車いすだけの話でしょうか。
ベビーカーだってそうだし、高齢者もそうですね。
大きなカバンを持った人も同じだと思います。

障害者という言い方はよくないから障碍者と言いましょうとか、いろいろ意見がありそうです。
英語では障害者をなんていうかご存知ですか?

Handicapped people

ちょっと英語を勉強した人ならすぐにお分かりになると思います。
でも、交通の現場ではhandicapped peopleとは言わないんですよ。

ではなんて言うかというと、
disabled people
と言うんです。
そう考えると、ベビーカーを押したり、大きな荷物を持っているだけでdisabledですからね。

では耳が聞こえない人は?
Deaf
そう、学校ではそう教わりましたね。

でも、私はDeafという言葉を使うなと教えられました。
ではなんて言うか。
略号でPHOH
People with hard of hearing

Deafは「つんぼ」ですから。

これもニュアンスの違いですね。

つまり、健常者と思われる側がバリアを張ってはいけないのだと思います。
「健常者と思われる側」と言うのは、自分は健常者だと思っているかもしれないけど、いつ何時自分がDisabledになるかわかりませんよということと、バリアを張っている時点で、もしかしたら健常者じゃないのかもしれないと思うからです。

1編成の総座席数を変更したくないから、荷物置き場を各車両に設置しない。大きなスーツケースを座席の上の棚に載せさせるような鉄道会社は健常者の会社とは言えないと、ときどき考える今日この頃です。
なにしろ中型のキャリーバックって16㎏、大型のスーツケースになると23㎏あるんですよ。
航空会社の計算根拠ですが。
そういうものを座席の上の棚に載せろってのは、そういいうお客は乗ってくれるなということだと、民間企業なら考えるんですけどね。

まあ、その話は置いといて・・・

日本が先進国というのであれば、皆さん、もっと優しくなりましょうね。
皆さん方の嫌いな中国、韓国に負けますよ。