甲子園に見る日本の構造

ちょっと物々しいタイトルではありますが、まあ一言で申し上げるとしたら、どこを応援しようかなあということであります。

 

自分の息子が高校球児でありますから、甲子園は他人ごとではありませんが、千葉県代表が早々に敗退してしまうと、千葉県民としては応援するところがないわけです。

でもって、どこを応援しようかなあと考えるのですが、はっきり言ってそれほど各学校の特徴などに詳しくはないですから、一人一人の生徒の特長などわかるわけありません。それでも気になるので時間のある時はテレビを見て、車に乗っている時はラジオを聞いているのですが、応援する基準というのが、私の内面でいろいろあるのです。

 

第一に、甲子園は都道府県の代表が出てくるので、ご贔屓の都道府県があればそちらを応援します。

ご贔屓のところというのは、行ったことがあるとか、知り合いがいるとか、いろいろあると思いますが、例えば滝川西が出てくれば、「滝川の市長さんも応援してるだろうなあ。」などと思いますし、まして北海道ともなれば冬の間の不利な練習環境を考えると頑張ってほしいと思います。

私のようにいろいろな所へ出かけて、いろいろな所にお友達やご縁のある人たちがいますと、その地域の学校が出てくると、当然そういう方々の顔を思い浮かべて、「皆さん元気かなあ?」と考えて、その学校を応援したくなります。

 

次に気になるのは私立vs公立。

昔は○○商業など、公立高校が上位になっていましたが、昨今はどうしても私立に押され気味です。

私立の学校は練習環境も優れていて、スクールバスもあれば寮も完備しているところも多い。

そういう好条件で優秀な生徒を集めているのが、今の時代は私立学校の運営方針でもあります。

それに対して公立は全く太刀打ちできていませんから、なかなか良い生徒が集まる環境にないのです。

生徒ばかりではありません。監督や指導者なども公務員の人事異動で定期的に入れ替わりますから、それじゃあ私立に太刀打ちする以前の問題で、これはなにも野球に限らず、本業である学業だって、頂点を目指そうと思う生徒にとって見たら公立学校は選択肢から外れるという構造的欠陥を持っています。

そういう状況を考えたとき、それでも甲子園に公立学校が出てきているということは、私としては無条件に「がんばれ!」と応援したくなります。

構造的に不利な中にありながら、生徒だけじゃなく先生や関係者の方々が、並々ならぬ努力で甲子園出場を勝ち取って、都道府県の代表として出てきているのですから、私立と対決するときは、都道府県関係なく無条件で公立を応援します。

 

その次に気になるのは激戦区かどうか。

千葉県もそうですが、激戦区と呼ばれるところは甲子園に出場するために7回も8回も勝たなければ出場切符を得られません。これは人口の多い地域ですから、勝ち抜くために大変な努力をしている。それに対して都道府県によっては数回勝ち抜けば出場できる地域もある。これは、一票の格差ではありませんが、今の日本の構造の一つですから、どちらかというと地方の学校の方が、公式戦の回数が少ないという点では有利だと言えます。

 

ただし、ここに私個人の気持ちがいろいろ複雑に絡み合ってくるわけで、例えばですよ、激戦区の学校は勝ち抜いてきているのでそれなりの強豪校なわけで、激戦区じゃないところと対戦するときは、強いのは当たり前ですから、勝ってあたりまえ。だから、そういう強い学校よりも、やっぱり田舎の学校を応援したくなります。

でも、田舎の学校であっても、有名な私立高校で、素晴らしい設備を有して遠方からたくさんの生徒さんを集めているような学校は、はっきり言って応援したくない。

でも、そうは言っても激戦区という地域から出てきている学校は、それなりの激戦を制してきているわけですから、やっぱり頑張ってほしいという気持ちにもなります。

 

そうなると私の中では、いろいろな要素が複合的に絡み合って、応援している自分に気づきます。

 

ご贔屓の地域であれば、「ああ、あの学校か。」と思いながら、ぜひがんばって欲しいと思います。

激戦区と呼ばれる地域から出てきて頑張っている学校はもちろん応援したい。

人口の少ない地域から出てきている学校であっても、公立学校であれば無条件に応援したい。

 

そういう気持ちが複雑に絡み合って、それも、強豪校が勝っていれば相手校を応援しますが、強豪校が負けてきていると、せっかく激戦区で勝ち残ってきているのだから、がんばれ! と、試合の途中でも応援する相手が変わったり、なんだか複雑な心中なのであります。

 

中にはローカル線沿線の学校で、そのローカル線で通学しているところもあるのでしょうね。

 

なんだかんだ言って日本は広いですから、いろいろな地域で、応援している人たちがいるのでしょう。

 

私立だろうが公立だろうが、強豪校だろうがなかろうが、一人一人の生徒さんたちが白球を追ってがむしゃらに走る姿は、尊いなあと思います。

日本の夏の風物詩。

甲子園は平和の象徴です。

野球中継が放映されている日本の夏は、平和のありがたさを実感しますね。

 

みんな頑張れ!