嫌韓でもなく、嫌華でもなく。 その3

韓国の民衆は政治に上手にコントロールされてきたという話をしました。

 

今回の従軍慰安婦の問題もそうですが、教科書問題や竹島の問題など、「日本は悪い国だ。」ということを言い出すタイミングというのは、自国内の政治が混乱している時だったり、汚職事件がばれた時だったり、時の為政者に都合が悪い状況が発生すると、必ずといって良いほど、この問題が蒸し返されてきました。

そして、1980年代まで軍事政権が支配していて自由に意見を言うことが許されなかった国民は、政府に良いように情報コントロールされていたわけで、韓国人の中でも漢字で書かれている新聞を読んでいるインテリの人たちは、決してそういうことに踊らされることはないのですが、学生などの若い人たちやスポーツ夕刊紙やゴシップ紙を愛読している一般民衆などは、そういう情報に簡単に操作されて、「日本は悪い国だ!」と声を上げているのが毎度お決まりのシーンなのです。

 

日本でも成田空港反対派や沖縄のオスプレイ反対派の人たちの報道がクローズアップされて、国民の多くが信じてしまうことを考えれば、国民を上手に操ってきた軍事政権が最近まで続いてきた韓国では、「日本バッシング」が実に効果的な方法なのです。

 

ではなぜ、韓国人がそこまで感情操作されやすいのか。

私自身の分析では、韓国は基本的には儒教の精神があるからだと思います。

 

日本でも儒教の精神というのが戦前まで強く残っていました。

簡単に言うと、「年長者を大切にしなさい。」「目上の人を敬いなさい。」という考えです。

男尊女卑というのもそうです。

儒教の教えが広まっていたかつての日本では、家長制度というのがあって、一家の中では大黒柱であるお父さんが一番偉かったのです。

ところが昭和20年に戦争に負けて、アメリカが入ってきて今までの考え方を完全否定されました。

みんな平等になって、自由に意見を言えるようになりました。

「おやじ、何言ってるんだよ。そんなの古いよ。」

なんてことを息子が平気で父親に言えるようになりました。

 

ところが韓国ではいまだに残っています。

韓国人の社会では父親の存在は絶対で、成人した息子でも父親の前では小さくなっています。

例えば、息子が30、40になっても、韓国では父親の前で息子はたばこを吸いません。

お酒も飲みません。

必ず父親の許可を受けて、「まあ、お前も一杯飲め。」と言われて初めて飲酒ができますし、煙草も吸えるのです。

父親に向けて足を崩して、その足を投げ出すこともはばかられます。

昨日も書きましたが、年寄りがいたら電車やバスの中で席を譲るのは当たり前で、道を歩いていたら荷物を持ってあげるなんてのも、皆さん当たり前のようにやっています。

混んでいる電車やバスの中では、座っている人が、自分の前に立っている人のカバンを持ってあげるなんてのも当たり前のことなんです。

これは、日本で言えば美徳なんですが、私は昔から疑問に思っていました。

その理由は、儒教の教えというのは、一見美徳のように見えるのですが、実は為政者が国民を治めるためには大変都合がよくできているからです。

日本では、儒教といえば江戸時代の新井白石が有名ですが、幕府や政権が、人民を統治しやすくするための教育としては、儒教は大変便利な教えでありますから、日本でも長年にわたってこの思想が「教育する側」から「教育される側」に対して用いられてきました。

 

私見ではありますが、韓国はつい最近まで、軍事政権で自由にものを言うことができなかった国民が、その名残として、今でも上から上手にコントロールされているというのが、今回再燃した慰安婦問題だということなのです。

 

2年ほど前に大問題になりましたが、「てはなんごん」のお嬢様が、ファーストクラスでナッツのサービスの仕方が気に食わないと言って、機長に命令して飛行機をゲートに戻した事件を覚えている人も多いと思いますが、創業家のお嬢様という絶対的な目上の人に対しては、国際線の機長であっても従わなければならないんです。

その後も、ロッテの経営者が悪いことをやっていたとかが暴露されていますが、つまり、上に立つ人間が、従順な部下や国民に対して好き勝手なことをできるのが韓国社会の一面で、今回の大統領の弾劾事件も、そういうしきたりから来ているのですが、いろいろな所でこういう問題が出てきていますから、今までは許されていたことが、いよいよ許されなくなってきたというのが今の韓国なのだと私は考えます。

 

でもって、今回の釜山の少女像の騒動が、今までの教科書問題や竹島問題、慰安婦問題と少し違うと私が考えるのは、今回の慰安婦問題の再燃は与党ではなくて野党主導で行われているような気配があることで、今まで為政者に都合が良いように操作されてきた世論が、為政者でない野党に操作されているような気がするのです。

 

朴大統領の政権が日本の政府と取り決めた約束事がきちんと履行されないということは、国内の統治ができていないということです。そして、それを乱しているのが野党だとすれば、私が個人的に危惧するのは、こういう機会を狙って北朝鮮といざこざが起きるのではないかということで、過去の韓国の歴史を見る限りにおいては、だいたいそういうことの繰り返しですから、今回も、なんだかそんな悪だくみをしていそうな気がして、私はそれが心配なのであります。

 

日本人はなかなか実感できないと思いますが、東京駅の位置がソウルなら、横浜駅は北朝鮮の領土なんです。

ソウルには漢江(はんがん)という川が街中を流れていますが、漢江が利根川だとすれば、北朝鮮は群馬県ぐらいの位置ですから、いつ、川を下って北朝鮮が攻めてくるかわからない。

そのぐらい近いんですよね。

何しろ、もともとは一つの国だったんですから。

 

皆さん、何が正しい報道なのか、私たち日本人は、きちんと自分たちで判断できる機会が与えられているのですから、韓国の国民を非難する前に、そのぐらいはちゃんと自分で判断しましょうね。

 

韓国人は一人一人は皆さんとても良い人たちで、礼儀正しく、思いやりがあります。

でも、集団になると、日本バッシングが始まる。

これは、日本人も同じような気がします。

日本人も一人一人は温和で優しいですが、会社という集団になると、なんだかおかしな方向に向かって行きますよね。

 

まして韓国人はお年寄りや目上の人たちをたいそう敬う傾向がありますから、今回の従軍慰安婦問題にしても、90歳を過ぎたおばあさんが涙を流しているシーンを演出することで、ある特定の意志を持った人たちが、国民感情を上手に操って、政府や大統領府のやってきたことを「あいつらは悪い人間だ。」と言っているわけで、そのためには日本問題はとても便利なことだということなのです。

その証拠に、韓国では大統領を退任すると、民衆からつるし上げられて、死刑判決を受けて投獄されたり、あるいは自ら命を絶ったりと、歴代大統領は大変悲惨なその後を送られています。

今回のパククネ大統領は、それが任期途中で起こったということだけで、韓国をよく知っている人たちから見たら、「ああ、またか。」という程度のことなのです。

 

そういうことを知ってみると、ただやみくもに「韓国人は信用できない。」などとバッシングしていることは恥ずかしいことだということに気づかれると思います。

だって、そういう人に限って、「優先席だからと言って、どうしてお年寄りに席を譲らなければならないのか。」などということを恥知らずにネットで言っているわけですが、韓国人は皆さん何の疑問も持たず、お年寄りや困っている人がいたら席を譲る国民であって、席を譲るだけではなくて、座っている人が目の前に立っている人のカバンを黙って持ってあげる文化が、広く根付いているのですから、私は日本人の方が恥ずかしいと思うことがあるのです。

 

今回の韓国報道で、私はこんなことを考えてみました。

なぜなら、私は嫌韓でもなく、嫌華でもありませんから。

 

(つづく)