駅弁と事故(インシデント)

上越に帰ってから食べようと思って、昨日の夕方静岡駅で駅弁を買いました。

静岡駅の幕の内弁当。
このお弁当おいしいんですよ。
いつもの安定の崎陽軒のシウマイ弁当の次に私のお気に入り。
静岡へ行くとお腹が減ってなくても必ず買ってしまいます。
950円。

で、上越に帰ったらもう遅かったので食べずにそのまま冷蔵庫へ。
今日帰ってきて、レンジでチンして、台湾ビールと一緒においしくいただきました。

お米もおいしい。
おかずもいっぱい入っていて、さすが伝統の静岡駅ですね。
駅弁の基本中の基本、一番安い幕の内弁当がこれだけしっかり作り込んでいるのであります。
(賞味期限を過ぎていますが、自己責任でおいしくいただきました。)

さて、このおいしい駅弁を食べていたらネットで飛び込んできたのが昨日訪問させていただいた大井川鐡道さんの事故(インシデント)のニュース。

電気機関車を連結して駅を発車したところ、ちょっと走ったところで電気機関車と客車が離れてしまったというニュースです。

こういう現象を列車分離というのですが、これは立派な「事故(インシデント)」です。

鉄道の歴史は150年で、昔は先頭の機関車が引っ張る列車ばかりでしたから、何らかの原因で後ろの客車や貨車の連結が切れちゃうと、例えば上り坂だったりしたら、切り離された客車は坂道を下り始めます。

有名な三浦綾子さんの塩狩峠はそんなお話で、坂道で切り離された客車が逆走をはじめました。
たまたま乗り合わせた非番の鉄道職員が、列車の下に身を投げて車両を停止させて、自分の命と引き換えに乗客の命を守ったという事実に基づく小説です。

こういう事故が何度かあって、今では列車が分離した瞬間に非常ブレーキがかかる仕組みがすべての鉄道車両に取り入れられていますから、今日の大井川鐡道でも、機関車も客車も、どちらも緊急停止して大きな事故にはなりませんでした。

でも、走行中の列車が分離するということはあってはならない事故なのです。

まして、観光鉄道ですからね。
観光列車で事故を起こしたらシャレになりません。

今日の事故(インシデント)は世間的には大ごととは捉えられていないようですが、これはやはりかなりの大ごとで、お客様のケガや命にかかわるようなことはありませんでしたが、私は原因究明と再発防止にしっかりと取り組むべきだと思います。

というのも、土曜日に会津柳津温泉で講演があった時に、会津鉄道の鈴木社長さんが「今度事故を起こしたら終わりだ。」と言っていたのを思い出したからです。

会津鉄道はここ数年で2度の事故を経験しています。

2019年11月27日 落石に乗り上げて列車が脱線

2019年12月24日 線路異常で脱線

この2度の事故はどちらも大事故には至りませんでしたが、鈴木社長さんの「今度事故を起こしたら終わりだ」という言葉から、大きな緊張感を感じました。

まして観光鉄道ですからね。

「余計なことやってるからだ。」と言われかねません。

鈴木社長さんにお会いしたのがちょうど11月25日。
11月27日の事故のことが頭にあったのでしょうね。

鉄道の基本的なことは安全正確です。

いろいろなことをどんどんとやって行かなければ、ローカル鉄道に未来はありません。
でも、その基本になるのは安全正確。
これは忘れてはいけません。

一番安い幕の内弁当が、基本に忠実でとてもおいしい静岡駅の駅弁を食べながら、大井川鐡道の安全を願うばかりです。

※注釈としてですが、大井川鐡道は安全なんですよ。
だって、列車分離してもわずか数秒できちんと停車してけが人も出ていないのですから。
でも、折り返し駅で機関車を反対側に付け替えて発車した直後に分離したということは、そこに何か原因が隠されているはずですから、再発防止のためにその部分をしっかりやっていただきたいと思うのです。

今回は国交省的には「重大インシデント」であってアクシデントではないと考えられますが、私たちはきちんとした認識を持つべきだと考えて、「事故(インシデント)」と表現させていただきました。

もちろんトキ鉄も同じです。
年末年始の安全総点検に入りますので、私も職場を点検して回るなど、業務をきちんとこなしていかなければなりません。