上越妙高 駅名談義

ニュースを見ていたら群馬県みなかみ町の人たちが地元の上毛高原駅の駅名変更を求める要望を出しているということが報じられていました。

上越新幹線が開業したのは1982年11月。
まもなく40周年を迎えますが、なぜ今頃?

と思いますよね。

ところで皆さん、みなかみ町ってどこにあるかわかりますか?
群馬県の一番突き当り。そこからトンネルを越えると新潟県というところにあります。
みなかみだとわからないかもしれませんが、水上だとわかりますよね。
温泉で有名なところですが、つまりどういうことか。
今、観光地としては転落してしまっていて、だれも見向きもしなくなっちゃったところなんです。

40年前に新幹線が開業した時に私は思ったんです。
上毛高原イコール水上って、誰もわからないよね、と。

その水上町が町村合併を機に「みなかみ町」になってしまったから、さらに皆さんわからなくなってしまった。
そして、今、新幹線の駅名を変えてほしいと言っているようなのです。

上越新幹線「上毛高原駅」の駅名変更求め群馬・みなかみ町長らがJRに要望書(群馬テレビ)

町の人たちはあまり鉄道には興味がないようですから気が付かないかもしれませんが、水上から清水トンネルを抜けて越後湯沢方面への列車って、今では1日6本しか走ってなくて、青春18きっぷの人たちにとってはとても越えづらい峠になっているのです。

でも、まあ、町の有力者の方々は「このままじゃマズイ」と思われているのだと思います。JRに要望を出すぐらいだから。

つまり、40年前に訳の分からない駅名を付けたことが、40年経って町も温泉も廃れてしまい、ボディーブローのように効いてきているということなのだと思います。

さて、振り返ってみて、我が上越妙高駅。

私は当初からなぜこんな名前を付けたのだろうかと不思議でなりませんでした。

人様が自分の子供に付けた名前に対して文句を言うわけじゃありませんからよしとしていただきたいのですが、上越妙高って何だろうね、と開業前から思っていました。

経緯は知りませんが、多分上越市と妙高市に忖度して、どちらの立場も尊重して当時の有識者や地域の代表の方々がお付けになられたのだと思いますが、身内の事情だけで駅名を決めたのでしょう。外から見たらどう見えるか、どう聞こえるかが考えられていないと思います。

上越妙高。

ふつうなら上越新幹線の妙高駅だと思いますよ。
特に都会の人は。

西武新宿、京王八王子、京急蒲田、京成船橋、東武練馬、営団成増(現:地下鉄成増)など、会社名や路線名が頭にくるのが世の中の常識ですから。

ということは、上越妙高ってのは、誰がどう考えたって上越新幹線の妙高駅ということになります。

現に、私の友人に「東京から行く場合、最寄り駅はどこ?」と尋ねられたら「上越妙高駅」と答えますよね。
すると、何人もが「わかった、じゃあ、上越新幹線だね。」と言いますから。

「いやいや、違うよ。上越新幹線に乗ったら新潟へ行っちゃうから。」

「だって、新潟じゃないの?」

「いや、新潟だけど、北陸新幹線なんだよ。」

「????」

これじゃわかりませんよね。
そして当時の有識者の方々は、誰かは知りませんが、そういう名前を付けちゃったんです。

つまり、自分たちの内輪の事情最優先で。

いろいろ候補はあったと思いますよ。
妙高高田というのもあったと聞いています。
そっちの方がまだ良かったと思いますけど、想像ですけど、高田が上越の中心ということになりかねないと思う人も多そうですから反対したのでしょう。

当時の経緯は知りませんし、誰かも知りませんが、誰でも良いのです。
大事なことは、そういう内向きな理由で名前を付けてしまったということでしょう。

地域の悪口じゃないですよ。
日本の田舎あるあるですから。

水上をみなかみにしてしまったように、せっかく浸透していた名前を捨ててしまうようなことをするのが田舎あるある。

例えば、ここ高田でも、「越後高田」と呼ぼうという考えがあるようで、その理由は高田というところは日本中にいくつもあるから。

でも、鉄道屋的に考えると、越前高田、会津高田、美濃高田、大和高田、肥後高田など一杯あるけど頭に何もつかない高田は旧国鉄ではここ高田と奈良県の高田しかないわけで、つまり、正統派の高田だと私は考えます。
高田と書いてこうだ駅はありますけどね。

その本流であり正統派の高田の名前をやすやすと手放すべきではないと思うのでありますが、なにしろ「ここに高田あり」の高田ですからね。

そう考えると妙高の人たちは大変興味深い。
20年ぐらい前までは新井市だったんですけど、市町村合併で妙高村と妙高高原町と新井市が合併した。
新井市が一番大きなところでしたから、普通は新井の名を残すと思いますが、当時村だった妙高村から名前をとって妙高市にしたわけで、当時の経緯は知りませんが、新井の人たちは新井という名前を捨てちゃったんです。

今とは事情が違いますから、当時としては全国的に見てもなかなかできることじゃないと思いますよ。

でも、自分たちの事情ではなくて、外から見たらどう見えるかということを考えたのでしょうね。何しろ妙高山、妙高高原は当時すでに全国区でしたし、今では世界的リゾートですから。新井市と名乗ったところで「妙高高原のあるところです。」と説明しなければ誰もわからない。でも、妙高市なら東京や大阪の人たちはみんなわかりますからね。

このあたりのセンスは流石だと思います。

ということで、私は上杉謙信駅とつけてほしかったなあと思います。
地元の人は何かにつけて二言目には上杉謙信とか、義の心とか言いますし、駅前には立派な銅像が立っている。

私の友人で、「春日山ってのは知ってたけど、ここにあったとは知らなかった。」という人もいますから、ここはやはり上杉謙信で行ってほしかったなあと思うのであります。

ご存じない方も多いと思いますが、宮本武蔵という駅は実際にありますし、坂本龍馬空港だってあるんですから。

そこで提案です。
いかがです? 皆さん。

JRの新幹線の駅名を変えるのはとても難しいと思いますが、もう一つの上越妙高駅なら可能かもしれませんよ。

そう、ネーミングライツというヤツです。

一応特急「しらゆき」が走る路線ですからJRのコンピューターシステムに組み込まれていますので、正式名称を変更するには多分数千万円、いやそれ以上のお金がかかると思いますが、ネーミングライツでサブタイトルのように「上杉謙信・上越妙高」と二重表記ならできるでしょう。

たぶん、当時上越妙高という駅名に決めた有識者の方々は、その後、自分たちがつけた駅名に対するPDCAやってないと思いますが、外から観光客に来てもらうことを考えている私としては、地域の皆さんがあまりにも歴史の町、城下町、上杉謙信と言われるのを聞いて、「だったら名付けましょうか?」と申し上げるのが地域鉄道として、地域に対するサービスではないかと思うのであります。

ネーミングライツ
現時点ではそういう制度は社内にはありませんが、ご希望の方がいらっしゃれば対応させていただきます。
駅名表示でお好きな名前を。
一駅2年間で500万円也でいかがでしょうか。

何十年か後に、みなかみ町のようにならないためにも早めの対策が必要ですよ。
その時私はこの世にはいませんけどね。