続「みんしあ」報告

今日もお友達のFacebookには昨日行われた「みんしあ」(みんなでしあわせになるまつり in 夷隅)の写真がたくさん投稿されていました。

 

残念ながら私は参加できませんでしたので、皆様方のお写真を拝見させていただいているのでありますが、出られなかった身としては、いつよりも増して楽しそうに見えるわけでありまして、本日もその「みんしあ」の報告となるのです。

 

さて、「みんなでしあわせになるまつり」というのは、もともと宮城県の栗原市で行われているお祭りで、昭和の商店街の中に昭和の自動車を並べるスタイルなのですが、名前の由来は「ふだんの生活では皆さんいろいろ辛いことや大変なことがあると思いますが、本日1日ぐらいはそういうことをすべて忘れて、みんなでしあわせになりましょうよ。」という趣旨のようです。

その本家の栗原市は、ご存知「くりでん」(くりはら田園鉄道)が走っていた町ですが、残念ながらすでに廃止されてしまって、駅前商店街が駅前じゃなくなってしまったのでありますが、その彼らから見たら、いすみ鉄道沿線の皆様方は、鉄道を廃止にしないでちゃんと存続させて、なおかつ昭和の国鉄の車両を走らせて頑張っている。そういう鉄道の沿線でこそ、この「みんしあ」はふさわしいのではないでしょうかということで、彼らのご厚意により、お名前を使用させていただいているので、「in 夷隅」となっております。

 

では、昭和とは何かということになりますが、私たち昭和の人間にとって見たら昔懐かしい「日常」であり、若い人たちにとってみれば、初めて体験する新鮮な「非日常」なのでありますから、今の時代は両方のお客様が楽しめる「素材」だということなのです。

 

今から30年から40年ぐらい前は、レトロといえば「大正」で、例えば門司港駅のたたずまいや東京駅の赤レンガなどがその代表的なものでしたが、時代が進んで今年は昭和92年ですから、つまり、大正時代を知っている人たちは観光需要のお客様にはなりえない年齢ですし、懐かしいという人たちも極めて少数派になっているわけで、その分、昭和が脚光を浴びてきているのです。

つまり、人間にとって懐かしいというのは手が届く範囲の歴史であって、100年も前のことではなくて、40~50年ぐらい前のことになるのだと思います。

幸いなことに最近では画像や映像文化が進歩していますから、昭和の映像が若い人たちにも受け入れられやすいというのも昭和ブームを後押ししているのだと思いますが、そんな中で、この昭和の国鉄をプロデュースしてきたいすみ鉄道の社長としては、基本として一番大切なことは、「ごくあたりまえの日常がそこにある。」ということなのです。特別のことではなくて、汽車に乗ってちょっとお出かけするような、そんなあたりまえの日常が、私たちにとっては懐かしく、若い皆さんの目には新鮮に映るはずで、まあ、せいぜい、親に連れられて日帰りか1泊程度で旅行に出かけるぐらいの特別感が、私がイメージする昭和の基本なのです。

そして、それは、国鉄の支線であるいすみ鉄道のような小さな鉄道が提供する情景としては、最適のシーンであるわけで、なぜなら、特急もなければ、ブルートレインもないからなのです。

 

だから、「ここには何もないがあります。」なのです。

 

そして、幸いなことに、時代は確実に、「あたりまえの日常を」を理解してくれるようになってきたというのが、「みんしあ」なのだと私は考えています。

 

さて、こういう行事を田舎の町でやろうとすると、一番ネックになるのが「人材」です。

少子高齢化で、全国的に見ても田舎には人がいません。まして、働き盛りで中心になって活躍してくれる人たちは、実に少数派です。これは何も田舎に限ったことではなくて、都会でもお祭りやイベントで活躍する世代がいない。なぜならば、日本人はいつの頃からか皆さんサラリーマンになってしまいましたから、自宅には寝に帰ってくる人がほとんどで、地域の活動などやっている時間がないからなんです。以前から、祭りをやろうと思っても神輿の担ぎ手がいないと言われるのがこれで、皆サラリーマンになってしまって商店街も消滅してしまい、町内会も風前の灯のような状況で、伝統など守って行かれないというのもまぎれもない事実です。

 

そんな時代ですが、いすみ鉄道沿線には、そういう少子高齢化はもちろんですが、都会から、それを補いにサポートに来てくれる仲間がたくさんいるのも事実で、そういう人たちは田舎に対するあこがれがありますから、何とかして田舎に参加して、田舎に貢献したいと思っていて、一生懸命支えに来てくれているのです。

そして、それは応援団のカケス団長の求心力と、ローカル鉄道の情報発信力が合わさって不思議な化学変化を起こしているのではないかと私は考えています。

なぜなら、特別なことは何一つやっていない、「あたりまえの日常」だからです。

 

歌を歌う人も、ちんどん屋さんも、皆さんほとんどボランティアでやってきて地域を盛り上げてくれています。

少子高齢化で、動ける人がいない田舎の町でも、こういう皆さんのご協力をいただくことで、町が華やぐのだと私は思います。

 

そして、いろいろなイベントが重なる中、ご協力いただきました地域の皆様方のご努力も、忘れてはいけないと私は考えます。

 

今年は、今までの中で一番良かったというお言葉をいろいろな皆様方より頂戴しています。

 

ご参加いただきました皆様、そして、鉄道会社と駅前商店街が提供する「あたりまえの日常」の情景にご理解いただきました皆様、本当にありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

写真は応援団の福田豊さん、松田安弘さん、仙田勇樹さんのFacebookよりご紹介させていただきました。

 

皆さん、しあわせそうですね。

これが「みんしあ」です。

 

あたりまえの日常がお祭りになってしまう。

 

いすみ鉄道沿線地域の底力だと思います。

 

ありがとうございました。