昨日、はねうまラインに貨物列車が走りました。
長野県へ向けた石油の輸送列車です。
長野県というところは内陸地ですから県内で消費するガソリン類はすべて陸送です。
そして、そのうちの9割以上が貨物列車で運ばれています。
通常は中央東線経由で川崎方面からと、中央西線経由で名古屋方面からタンク車で運ばれていますが、どちらの路線も山間部を走り、単線区間もある路線ですから、今回九州や西日本地方で降っているような大雨が中部地方に降ると、線路が遮断されて長野県にはガソリンが届かなくなってしまいます。
そういう状況にありますので、えちごトキめき鉄道のはねうまライン(直江津-妙高高原)としなの鉄道の北しなの線(妙高高原-長野)が、中央本線ルートが被災した時のために長野県に石油を運ぶルートとして確保されているのです。
大雨はもちろん、いろいろな災害は太平洋側や日本海側のどちらから来るかわかりませんから、BCPの一環としてリスク分散しているのです。
今、盛んに南海トラフとか首都直下型とか言われていますし、能登半島や新潟地震などの例もありますから、国家としてのリスク分散でもあるのです。
でも、貨物列車が走るためには、時々練習をしておかなければなりません。
いざというときに対応する為には常日頃からの心構えと訓練が必要なことは、皆様方も防災学習で学校で習ったと思います。
なので、時々、はねうまラインには貨物の電気機関車が走って、運転士さんがいざというときに対応できるように準備をしているのですが、今回は本当に石油を積んだ貨物列車を走らせて実践してみようということになったのであります。
ということで、東京方面から実際に石油を満載したタンク車が長岡経由で直江津に到着して、はねうまラインと北しなの線経由で長野県に石油を輸送したのであります。
撮影:永野子鉄氏
タンク車にはタキ1000という形式1両で45トンの石油を搭載できます。
これに対して道路を走るタンクローリーの場合通常は20kl(2万リットル)ぐらいです。
2万リットルというのは水なら20トンですが、石油の場合は大体比重が0.8ぐらいですから、2万リットルで16トン
タンク車は45トン搭載できますので比重を掛け合わせると1両5万6千リットルの石油を搭載できます。
ということは、タンク車1両はタンクローリーの約3倍です。
今回は勾配区間を考慮してタンク車12両編成でしたので、貨物列車1列車で大型タンクローリー36台分もの石油を運んだのです。
これが鉄道の力ということでしょう。
2024年問題を目前に、鉄道貨物というのがいかに重要な役割を果たしているのか。
ということがわかりますね。
もちろん、タンクローリーだって重要な輸送手段ですよ。
でも、基本的な役割が違っていて、石油基地までは貨物列車で運んで、石油基地から各地のガソリンスタンドへはタンクローリーで運ぶ。
こういう輸送形態がありますから、石油製品だけじゃなく、貨物輸送というのは国全体でシステム化しているわけで、今回は、太平洋側にいろいろな災害が起きた際に、日本海側から迅速にガソリンを届けるという実践的輸送を行ったということなのであります。
長野県の皆様、緊急事態が発生した際の皆様方のエネルギー輸送は新潟県側からえちごトキめき鉄道がしっかりと支えておりますので、どうぞご安心ください。
今回の豪雨で被災された地域の皆様方へは心よりお見舞いを申し上げるとともに、一日も早い復旧をお祈りいたしております。
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