緊急事態宣言で観光客なんていませんね。
出張のお客様も皆さん取りやめていらっしゃるようで、新幹線はガラガラです。
数日前の北陸新幹線「かがやき」です。
北陸新幹線には「はくたか」と「かがやき」が走っていて、わかりやすく言うと「はくたか」が「ひかり」なら「かがやき」は「のぞみ」。速達タイプの看板列車です。
その看板列車がこれですから、どう考えてもヤバイ。
お客様は載せていないけど危機感を乗せて走る危機感満載列車でしょうね。
先日、その「かがやき」に乗ったのでありますが、駅のホームでアナウンスが。
「今度のかがやき号は全車指定席です。かがやき号の指定席券をお持ちの方以外はご乗車できません。自由席特急券では乗れません。」と列車到着前に繰り返しスピーカーが叫んでいます。
列車が入ってきて乗り込んだらすかさず今度は車掌さんが、
「この列車は全車指定のかがやき号です。自由席特急券ではご乗車になれません。車内での指定席への変更もできません。」とドアが閉まる前に言ってるんです。
「かがやき」は金沢と上野の間は富山、長野、大宮しか停まりませんから間違えて乗ったら大変です。私は長野から東京方面に乗車したのですが、お客様的には「次は大宮です。途中は止まりませんからご注意ください。」と言ってもらう方がどれだけアナウンスとして有効かと思うのですが、そうじゃなくて「全車指定」「自由席特急券では乗れない。」「車内での変更もできない。」の繰り返しです。
皆さんどう思われますか?
私はこういう車内アナウンスを輸送の現場でしていることが実に不思議。
というか理解できません。
なぜなら、ガラガラなんですから。
お客様など乗っていないわけです。
乗っている車両でもせいぜい1両に5~6人。
どこに座ろうが、自由席特急券だろうが、そんなことはどうでもよいと思いませんか?
なんだかお客様に対して「お前さんわかってるだろうなあ。これはお前さんが乗る列車じゃないんだぞ。」と「乗るな、乗るな。」と言っているようにしか聞こえません。
このアナウンスで自由席特急券の人に「乗るな」と言って次の電車を待たせる意味がどこにあるのでしょうか?
以前なら満席の全車指定列車に自由席のお客様が飛び乗ってきたら扱いに困ったでしょうし、みんながみんなそういう乗り方をしたら車内は混乱するでしょうし乗車秩序も乱れるかもしれません。
でも、この状況ではそういうことはありませんね。
何も自由席特急券でグリーン車に乗っていいですよとか、乗車券だけで乗っていいですよと言ってるのではありませんから。
私がこの会社の社長なら「どうぞ、どうぞ、お乗りください。こういう時にご乗車いただいて感謝します。少しでも早く目的地に着いてください。」と言いますね。
以前、書いたかもしれませんが、「はやぶさ」のグランクラスに乗っていた時のこと。3人ぐらいしか乗っていなかったんですが、1人掛けの席に座っていたお客様が大宮を発車した直後に反対側の2人掛けの座席に移ったんです。
そうしたら車掌がやってきてその乗客に「あんたの席はあっちだから、戻れ。」と言うのですよ。
その乗客はグランクラスに乗りなれているのでしょうね。
大宮を出たら電車は仙台まで停まりませんから、もう誰も乗ってこないのです。
だから、今空いている席は仙台まで誰も来ません。
ましてその乗客は仙台までの切符を持っている。
車掌は当然それを確認して言ってるのです。
一等席の乗客にもそんなことを言うのですから、おかしな話ですが、自分たちの商売のやり方を絶対に変えようとしない。
こういう商売のやり方を「自分たちの都合で商売する」とか「役人の商売」「殿様商売」というのでしょう。
がんじがらめの規則の中で、その規則にお客様を従わせることが仕事だと思っているのですから。
そして、そういうことを国鉄時代から延々とやってきているのです。
でも、二言目には「私たちは民間会社です。」って胸を張ってる。
これ、実に不思議なんです。
なぜならふつうは民間会社の人たちは自分たちのことを「民間会社だ」なんて人に向かって言いませんからね。
スーパーマーケットで買い物してて、店員さんが「ここは民間会社です。」って言います?
メーカーの人と話していて「私たちは民間会社です。」なんて言いませんよね。
敢えて言っているところが実に怪しいわけです。
午後6時の東京駅の新幹線改札口です。
ガラガラ。
これじゃあ3密どころの騒ぎではありません。
かえりの「かがやき」もこの通りガラガラでしたが、東京駅のホームでも「かがやき号は全車指定席です・・・・」ってスピーカーが叫んでいたし、東京駅停車中も、上野駅停車中も、大宮駅に停車中も、「自由席特急券ではご乗車になれません。車内での変更もできません。」の繰り返しでしたから、きっと上からそう言えと言われているんでしょうね。
なんだかバカみたいです。
誰がって、お客様が。
自分たちの都合で商売をして、自分たちの都合のいいように列車を走らせて、料金だけはきちんといただきます。
でも、お客様はわかっていますから、そういう商売の会社のお客様にはなってくれません。
にもかかわらず、何も考えていないように今までの商売のやり方を続けようとしているのです。
もう、コロナ前には戻らないと言われているのに。
この間の大雪で助けてもらった会社にこんなことは言いたくはないのですが、別に嫌味を言っているのではありません。
コロナでガラガラ状態が始まってかれこれ1年でしょ。
この大会社だってかなりやばいと思いますよ。
いくら民間会社だからと言ったって、国が手を差し伸べなければならない時期がそろそろ射程距離に入ってきていると私は見ています。
そういう時のために、今から「助けてあげたくなるような会社」になっておかなければならないと思いませんか。
国民が「JRは頑張ってるんだから、何とか支援してあげないと。」と血税を使うことを許してもらえるような存在になっていなければ、誰も助けようとは思いません。
ガラガラの電車だったら、12両編成を6両にするとか、目に見える努力を普通の会社はやるわけですが、いつものように、いつもの通りにガラガラの電車を走らせているだけですから。
そして、編成を短くする前に減便しちゃうのですから私は順序が違うと思います。
もちろん、車両の構造上、編成を短くするなどということはそう簡単にはいかないのは重々承知の上ですが、そんなことはお客様にはわかりませんから、何も努力をしていないように見えてしまいます。
それって、すごく危険なことなのです。
だから、今のうちから、「頑張ってるなあ」って思われるような商売の仕方をしておかなければならないと、私は考えているのでありますから、本日の「車内アナウンスのお話」は、つまりは助けていただいた私からのお礼の助言なのであります。
ということで、このブログは大臣も自称「民間会社」の社長さんもご愛読いただいているということですので、そこんとこ、よろしくお願いいたします。
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