今日も今日とて

穏やかな秋の一日が過ぎていきました。

銚子電鉄の映画「電車を止めるな!」がこの週末も高田世界館で上映されまして、9月26日とで合計3日間、250名ほどのお客様にご鑑賞いただきました。

開場前に行列ができる高田世界館です。

高田世界館という場所で、これだけの行列が3日間というのは、なかなかミラクルのようですが、現実でございます。

行列と言っても本日は70名様ほどでしたので館内はこんな感じ。
決して密にはなりませんでした。

映画の上映終了後にはトークショウをやれということで、皆様の前で10分程度お話をさせていただきましたが、なかなかご好評をいただきましてありがとうございました。

線路の石の缶詰のお話をさせていただいたのですが、おかげさまで缶詰が1万円ほど売れました。(笑)
まずい棒は完売でした。(恐るべし、銚子電鉄!)

さてさて、私がなぜこんなに銚子電鉄に一生懸命になっているかというと、地方鉄道の置かれている環境は全国ほぼ共通で、抱えているリスクも共通なら目標とするところも共通だからです。

7月の豪雨で大きな被害を受けた熊本県のくま川鉄道さんもそうですが、いつ何時自然災害を受けるかもしれないというのが共通のリスク。人口減少や高齢化などの地方の疲弊も共通の課題で、何とか地域に頑張っていることを認めていただいて、地域と一緒になって観光客を呼び込んで経済を回したり、特産品が売れるようになったり、そうすることで生き残りを模索しているというのが共通の目標だからです。

前職のころは、他の鉄道会社さんの応援などをしていると「何を余計なことをやっているんだ。お前は自分の会社のことを考えていればよいんだ。」とよく言われたものですが、新潟県に来てからはそういうことを言う人は周りには一人もいませんので、その段階はとりあえずクリアしている地域なのだろうと考えています。

じゃなければ「D51を持ってきます!」なんて言ったら、「赤字のくせに余計なことをするな。」と言われてしまいますからね。

そう、D51を持ってくるなんてことはうちの会社の仕事ではありませんから。
つまり、私の仕事ではないからですが、でも、私としては、地域の皆様方に喜んでいただくことと、駅に人が集まる仕組みを作ることをやらなければなりませんから、そのツールとしてのD51なわけです。

今の時代に「電車に乗ってくれ!」と言っても、地元の人たちにとってはなかなかハードルが高いことですから、「駅に来てください。」という所から始めなければならないのです。

もっとも、共通の課題と言えば全国のローカル鉄道だけじゃなくて、ローカル鉄道が抱える課題というのは地元でも同じ課題を抱えているということも最近でははっきりしてきて、この点においても前職のころとは世の中が変わってきているように感じます。

以前は、「まあ、せいぜい頑張って黒字にしてくれたまえ。」という感じでものを言う人たちが多くて、私に向かってそう言う人たちは自分たちは安全地帯にいると思っていたようですが、10年たってみると、田舎の人たちはローカル鉄道と同じ船に乗り合わせていることがはっきりしてきましたので、よほど経営に無知な人を除けば「赤字はけしからん!」などと言う人もいなくなってきました。
なぜなら、赤字がけしからんということになれば田舎の行政は日本全国ほとんど赤字ですからね。
赤字だから要らないよということになれば、ローカル鉄道だけでなく、田舎の町そのものが要らなくなってしまうからです。

赤字と言えば、コロナでJRの経営もズタズタになってしまっていますので、都会の電車も新幹線もエキナカもみんな赤字です。だとすれば、国鉄からJRになって以来、不文律のように続いてきている「都会の電車や新幹線が稼ぎ出す黒字で田舎の電車の赤字を穴埋めする。」というスキームも、このままでは維持できるものではありません。

これは私の予言ですが、(笑)
今後半年ぐらいの間に、全国いたるところでJRのローカル路線の存廃問題が表面化してくると私は見ています。

存廃問題というのは、
・鉄道を廃止にしてバスにしましょう。
・鉄道で残したいのであれば維持運営経費を負担してください。
・じゃなければ、手切れ金を渡しますから皆さんで鉄道をやってください。
というこの3つのオプションのどれにしましょうかという提案をしてくるということですが、迎え撃つ行政の皆様方には2つの大きな問題がありまして、その問題というのは、
・行政の偉い人たちや市民の代表である先生方はたいてい都市部に住んでいて、あるいは田舎にいても車の生活ですから田舎の電車がどうなっているのか、実情がわからないし、ふだんから新幹線や特急以外の田舎の電車には乗ったことがない。
・鉄道について、あるいは交通について知識がない人が多いからJRと共通のベースに立って会話ができない。
という問題を皆さん抱えていますから、いきなり存廃問題が提案されても、多分大人と子供のように会話にすらならないのではないかというのが、沿線にとって考えられる最大のリスクなのであります。

まぁ、そういう時にきっと皆様方のお役に立つのが私のような人間の存在だと思いますし、まして、わが社にはローカル鉄道の社長経験者が2人もいるわけで、2人合わせれば鉄道輸送だけじゃなく、航空輸送にもバス輸送にも長けているわけですから、お役に立てること間違いなしだと自負しておりますが、こういうことは、本来の私たちの仕事ではありませんから、どうしようかなあと、昨今のJRのニュースを見聞きしながら思案しているところなのであります。

幸いにして、新潟県は「余計なことはするな。」とは言わない地域だと感じておりますから、思う存分お仕事ができるのではと考えておりますが、とりあえずD51を持ってきて、地域がどれだけ盛り上がるのかという結果をお見せするのが、今直面している第一のお仕事なのでありますが、先日と本日、高田世界館に並ぶ行列を見て「行けるな。」と確信したのであります。

そう、私が歩く道には花が咲くのであります。
ほとんど偶然ですけどね。

本日ご来場いただきました皆様、ありがとうございました。

「電車を止めるな!」
是非口コミで広めてくださいませ。

明日からまた一週間、ほどほどに頑張りましょう。

「今日も今日とて」
いつまでも同じ毎日が続くというのは、あくまでも希望的観測としてだけなのであります。