初夢 妄想特急 その3

キハ52のクラウドファンディングにはたくさんのご支援をいただきましてありがとうございます。

 

初日から3日間で300万円を大きく超えるご支援は本当に驚くばかりで、皆様方のキハ52に対する思いの強さと情熱をあらためて感じておりますが、クラウドの先輩からの助言ではこの辺りから動きが鈍くなって数字が伸びない可能性が高いということですので、引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。

 

さて、初夢を3日続きで見ているおめでたい私でありますが、そりゃあお正月ですから三が日過ぎたっておめでたいお話でもよろしいのではないでしょうか。

 

ということで、本日は妄想特急の3日目でございます。

しばしお付き合いのほどを。

 

北海道を走る観光列車のお話ですが、コンセプトは初日にお話しさせていただいたうえで、昨日は具体的にどういう列車にするかということで、

 

1号車:カラオケコンパートメント

2号車:カラオケコンパートメント

3号車:食堂車

4号車:食堂車、調理室、売店

5号車:特別グリーン車

6号車:普通座席車

7号車:普通座席車

 

という7両編成を提案させていただいたところでございます。

 

では、この7両編成の特急列車を誰が製造して、誰が営業をして、誰がオペレーションをするかというお話になりますが、まず、結論から申し上げてJR北海道には無理だと考えます。

その理由は簡潔に申し上げますが、「できるぐらいならすでにやっているはず。」だからです。

彼らは輸送のプロですし、関連会社に旅行会社もあります。でも、経営改革に躍起になっている現時点までに、このような高収益を生み出すような事業をやっていないのですから、彼らにはできません。できるぐらいなら、とっくにやっているからです。

では、誰がやるのか。

誰が車両を所有して、誰が集客をして、誰がオペレーションをするのかという話ですが、当然ですがJR北海道以外の企業や事業者になります。

 

営業、集客の話をすれば、例えば旅行会社であれば、鉄道運賃+特急料金などという範囲を超えて商品を作ることが可能です。

札幌-釧路を「スーパーおおぞら」に乗ったら、指定席で9000円、グリーン車でも13000円の金額ですが、旅行会社が旅行商品として作れば、2万円でも3万円でも販売できることになりますから、観光客という「わざわざお金を使いにやってくる」、地域にとってみたらありがたいお客様に、もっとお金を使っていただく仕組みを提供する営業戦略を容易に組み立てられます。

 

これは何も旅行商品としてだけではありません。

みどりの窓口で一般向けに販売する普通車座席指定や特別グリーン車も同じです。

スーパーおおぞらの場合、札幌-釧路間の指定席料金が約3000円、グリーン料金が特急券込みで約7000円ですが、これとてその値段で販売する必要はありません。観光列車は、例えば指定席を6000円にして、特別グリーン車を14000円にする。そして、その値段にお弁当やお飲物、あるいは乗車記念品を含めればよいのです。

 

コンビニがこれだけ発達した今の時代では車内販売は割高感がありますから、正直言ってあまり売れるものではありませんし、ワゴン販売では搭載できる商品の種類や数も限られます。そういう売れない構造があるのが車内販売ですが、売れない構造があるにもかかわらず、その売り上げの中から人件費をねん出しないといけないから無理がたたって車内販売はなくなっているのです。でも、私が以前から申し上げているように、車内販売で売ろうとするから皆さん買わないわけですから、売ろうとしないで配ってしまえばよいのです。

 

普通車なら簡単なお弁当とお飲物で良いと思いますよ。グリーン車はちょっと豪華なおかずを付けて。

事前予約の指定席ですから、売れるか売れないかの心配も不要ですし、前の日にはだいたいの需要がわかります。

グリーン車のお客様に付けるちょっと豪華なおかずは、グリーン車の事前予約数よりも多めに搭載しておいて、余ったら普通車のお客様に販売すればよいのです。そうすれば当日の予約が入っても不足しませんし、ロスは最小限に抑えられますから利益がある程度確保できる。だとすれば人件費だってカバーできますよね。

つまりは、こういう仕組みを作るのです。JR北海道ではできませんが、別事業者であれば十分に可能でしょう。

 

そして、この7両編成の最大の特徴は、客車列車編成とすることです。

客車列車。つまり動力を持たない車両の最大の特徴は安価に製造できることです。各車両に動力を持つディーゼルカーは1両最低でも2億円以上はします。これを7両作ったら1編成15億円を超える金額になります。

ところが、動力を持たない客車であれば1両5千万円程度で製造することが可能ですから、7両編成でも3億5千万円です。観光列車用に内装を多少造作して、サービス電源用の発電機を編成中に2~3個取り付けたとしても7両の1編成で5億円あれば十分でしょう。カラオケ設備などはスポンサーを募って設置してもらうだけですから。まして客車ですから運転席などの機械類も不要ですから、とても安く仕上げることができます。

これと同じように動力付のディーゼルカーに内装を造作すれば17~8億円ぐらいは軽くかかってしまうでしょうから、動力を持たない客車であれば3分の1程度で出来上がる計算です。

 

昔の国鉄はスピードアップを求めていました。そのためには機関車牽引の客車列車のような列車の先頭部にだけ動力が付いている動力集中方式よりも、電車や気動車のような編成中各車両に動力が付いている動力分散方式の方が加速減速性能が優れていて、終端駅での取り回しも楽ですから、日本の国が経済成長して豊かになるにしたがって、製造により多くのお金がかかっても、速度や利便性を求める方向でやってきました。でも、今はもうそういう時代ではありません。JR北海道はお金がないのですから、見栄を張って高額なハイブリット車両や電気式気動車といった開発費もペイできていない車両など導入する必要はないのです。まして、観光列車には速度は求めないのですから。

 

ということで、速度を犠牲にすることは何ら問題がないのが観光列車ですが、ではなぜ1編成あたりの製造コストを低く抑える必要性があるのかというと、第三者であるどこかの会社や事業者が投資として車両を所有していただくという前提ですから、当然、減価償却を考えなければなりません。できるだけ低コストで建造費を掛けない車両であれば、当然減価償却の金額も低くなりますし、初期投資を回収する期間も短くなりますから、利益が出やすい投資ということになりますね。つまり、やりたい事業者、やっても良いと食指を伸ばす会社が出てくる可能性が高くなるわけです。

 

3倍の金額を掛けて高価なディーゼルカーで観光列車を作る場合は、減価償却を考えた場合、商品単価を上げるか、商品の供給数を多くする必要があります。でも、商品単価を高くすればそれだけ購入できるお客様が減って行きますし、商品供給数を多くするためには速度を高くして、客車列車が1往復する間に2往復も3往復もしなければなりませんが、もともと観光列車に速度は求めるものではありませんから、できるだけ安い製造コストで準備できる客車列車というのが、メンテナンス費用も含めて観光列車には最適なのであります。

 

では、観光列車を7両編成の客車列車にするうえで、もともと動力を持たない客車列車の最大の問題点はというと、どうやって走るかということになります。客車には動力も運転席もないのですから引っ張ってくれる機関車が必要だということです。でも、JR北海道にはその機関車がほとんど存在しません。では、どうしたらよいかというと、同じ線路をすでに走っているJR貨物にお願いして、貨物の機関車で客車をけん引してもらうのです。

 

「そんなことできるわけないじゃないか。」

 

鉄道の知識に詳しい人であればあるほど、きっとそう言われるでしょう。

でも、本当にできないのでしょうか。

 

本来、機関車というものは貨物も客車もどちらも引っ張ることができる存在です。

昔は客車を引く場合には、暖房用の装置が機関車に無ければならないなどいろいろな問題がありましたが、今の客車には前述のようにサービス電源用の発電機を搭載しているわけですから、別に貨物列車の機関車が旅客列車をけん引しても何の問題もありません。

では、JR貨物がそんなことをOKするかどうかという話ですが、JR貨物はアヴォイダブルコストという考え方で成り立っている会社でありますから、JR北海道の経営改革のために、もしこの考え方を変更しなければならない話にでもなると、会社そのものの存続にかかわる大きな問題が今後全国的に発生することになります。だからできるだけこの点には触れてほしくない。だったら他の部分でもっともっと誰にでもわかるような、目に見える協力をしなければならないというのが彼らの課題です。

 

先日札幌のフォーラム会場でJR貨物の偉い人が隣に座っていらっしゃいましたのでご挨拶をさせていただきましたが、なぜJR貨物の偉い人がその会場にいるのでしょうか。

その理由は、JR貨物にとってJR北海道の経営改善は他人事ではないからなんですね。

運用変更して機関車を乗務員ごと貸してあげることなどは、大きな設備投資など新たな出費がかかわる事案ではありませんから大した問題でもありませんし、ふだん貨物列車ばかりを運転している運転士さんが、旅客列車を運転するとなると、スキルの向上も要求されますから、職員の技術力アップという点でも決して悪いことではありません。つまりは内部の活性化につながるのです。

 

さて、そこで問題となるのが監督官庁である国土交通省様ということになりますが、はっきり申し上げて最近の国土交通省様はJR北海道に比べるとはるかに考え方が柔軟で、できることは何でもやってみるべきだという考えをお持ちです。

「そんなことは無理ですよ。」というのは、今やお役所以上にお役所的だと言われるJR北海道の会社の内部の考え方であって、当のお役所は民間会社以上にフレキシブルであるというのが今の世の中ですから、私は「できる」と考えています。

 

車両を第三者が所有をして、JR北海道の線路の上を走らせることも、その列車を貨物の機関車が引っ張ることも、彼らにとってみたら自分たちの仕事でコントロールできる範囲のことですから、実はそれほど大きな問題ではないと私は考えています。

 

そして、もう一つの難関である「そんな客車列車をいったいどこが製造するのか」という話ですが、きちんと予算を取って私がお願いすればN潟Tランシスの社長さんはNOとは言わないはずですし、会社内の力を最大限に発揮して、わざわざ出かけて行って写真を撮りたくなるような列車を作ってくれることは既に山口線で証明されていますから、この初夢は豪華列車を作ることに比べれば大したお金を掛けなくても十分実現できるというのが私が考えていることなのです。

 

 

北海道に客車列車復活の時代は来るか。

初夢を正夢に・・・

 

(まだまだ夢は続きますよ。)