団長との珍道中

先日、養老鉄道さんとの姉妹鉄道締結にカケス団長と鈴木助役が同行してくれました。

 

養老鉄道さんは完全上下分離をして、来年から列車を走らせる部分を担当することになっていて、線路や鉄道設備は地元自治体が作る新会社へ無償で譲渡し、自治体が維持管理していくスタイルになります。だから、養老鉄道さんとしては、今まで以上に地域密着型の鉄道として頑張っていくことが求められるわけで、そういう時にお手本になるのがいすみ鉄道だということのようです。

 

お手本になると言っても、別にいすみ鉄道という会社がお手本になるわけではなくて、「地域の皆さんがしっかりと支えてくれている」ところを見習いたいということですから、今回のイベントでは最初からいすみ鉄道を支える地域住民の代表として、カケス団長と鈴木助役に一緒にいらしていただきたいというのが趣旨だったのですが、つまりは、養老鉄道さんも、ぜひ、いすみ鉄道の地域の皆様方の活動を、自分たちの地域の参考にしたいということなのであります。

 

ということで、先週は岐阜県の大垣まで出かけて行ったわけですが、そういう重大な任務があるにもかかわらず、団長としては「新幹線に乗って遠くへ行かれる。」ということで、大喜び。ていうか、大はしゃぎの興奮状態で出かけて行ったのであります。

 

でもって、い鉄君をかぶって電車に乗ったり、名古屋の駅で記念写真を撮ったりしたわけですが、それとは別に、私としては気づいたことがあるのです。

 

それは何かというと、団長は自動改札に引っかかるということ。

新幹線でも、名鉄でも、JRの在来線でも、ほとんどすべての駅で自動改札に引っかかってる。

私が先に改札を通過して、振り返ると後ろにいる団長が通る直前でゲートが閉まっている。

まあ、あまり気にしてはいなかったんですが、通るところほとんど全てで引っかかるもんですから、何気なく、私が団長の後ろについて改札口に向かいました。

切符は私が3人分買って渡してありますから、切符が原因ではありません。

 

でもって、私の前を歩いている団長が自動改札を通ろうとした瞬間に、警報が鳴って、ゲートが閉まりました。

 

「またですか? 団長。」と助役が怪訝な顔をしています。

 

でも、私はおかしくなって、笑い始めてしまいました。

 

だって、団長は左手で切符を自動改札に入れているんですよ。

だから、引っかかるんです。

 

皆様ご存知ですよね。

自動改札って、右手でかざすようにできている。

にもかかわらず、団長は左手で入れているのですから、つまりは左側の改札機に切符を通して、右の改札機を通りぬけようとしているわけで、それなら誰だって引っかかりますよ。

 

「助役、団長は隣の改札機に切符入れてるから。」

私が笑いながらそう言うと、助役も笑い転げそうになっていました。

 

面白くないのは団長で、「俺を馬鹿にするな。」とか言ってる。

それがまた実におかしかったので、3人で駅の改札口で大笑いしてしまいました。

バカだよねえ。

 

そんなことも知らない団長は、まさしく交通弱者だったのです。

 

交通弱者というのは、車に乗れない人たちだという考え方がありますが、電車に乗れない人というのも、実はたくさんいるのではないか。

そんなことを目の当たりにした瞬間でした。

切符もなくしてるし。

 

大原から東京、名古屋、岐阜と乗り継いで、とっぷりと日が暮れた大垣に到着しましたが、駅前の光景を見た団長がひと言。

「なんか、茂原みたいだなあ。」

 

いやいや、団長、茂原よりにぎやかだから。

 

そうなんです。団長はにぎやかな駅前を見ると、どこも茂原に見えるようです。

 

やっぱり、団長は交通弱者なのだと今更ながらに私は思います。

 

あさって日曜日、「みんなでしあわせになるまつり」。

お天気が良さそうで一安心ですね。

 

カケス団長大活躍の1日ですから、皆さん、団長に会ったら、この話をしてみてください。

 

きっと「俺を馬鹿にするな!」ってムキになりますが、事実ですから。

 

 

 

団長と助役。

助役と言っても、単なるニックネーム。

いすみ鉄道には「助役」という職級はありません。

彼は、いろいろ手伝ってくれている地域住民の一人です。

もちろん団長も地域住民。

 

いすみ鉄道はこうやって地域住民と鉄道会社の理想的な関係を維持しております。