毎年この季節になると

毎年この季節になると、新聞やテレビは戦争の話で一色になります。
今年は、昭和20年の終戦から70年目。そんな時期に国会で集団的自衛権の話をしているからなおさらです。
私たちの世代は親の世代が戦争経験者ですから、子供のころから戦争の話を聞かされて育ってきましたが、毎年この時期になると、「新聞やテレビなど、どこもみんな戦争の話ばかりでイヤになる。」と大人たちは口癖のように言っていました。
思い出したくない歴史の代表的なのが戦争なんですね。
私が飛行機の勉強を始めた10代後半のころに、大正生まれの伯父さんが話してくれました。
「俺は算数ができなかったから死ななかったんだ。勉強ができた奴らはみんな死んでしまった。」
その伯父さんは海軍の飛行隊にいて鹿児島に配属されていました。
職種は搭乗整備兵。
エンジニアとして、飛行機の整備を行うのですが、実際に飛行機に搭乗してエンジンや無線、計器等の整備をするのです。
伯父さんいわく、「勉強ができた連中はパイロットになって、特攻隊として出撃していった。」
でも、数十機飛び立っていく特攻機の中には、必ず1機か2機は戻ってくるのがいる。
戻ってきた理由は、「機体の調子がおかしい。」ということ。
伯父さんは自分が整備した飛行機だから、そんなはずはないと思うんだけど、乗組員の気持ちがわかるから反論できない。そうすると上官から自分がぶんなぐられる。「そんな飛行機を出撃させたのか。」と言われて。
そうして戻ってきたパイロットも、次の出撃命令が出ると、そのまま飛び去って二度と戻っては来なかった。
これが私が聞いた戦争の現実です。
私が生まれたのが昭和35年ですから、戦後15年目の時です。
15歳の時には戦後30年目。
戦後30年目と言ったら、例えば、昨日今日テレビに出ている戦争経験者の方々は皆さん80歳から90歳の方々ですが、そういう方々が40歳から50歳だったわけです。
今ご存命で戦争の話をしてくれている人たちは、終戦の時点でせいぜい15歳から25歳だった方々ですから、はっきり言って、兵隊さんとして戦地へ駆り出された経験がおありだとしても下っ端だったでしょうから、辛い思い出ばかりなんだと思います。
でも、私たちが子どもの頃、例えば私が学生の時にアルバイト先で退職者として働いていたおじいさんたちは当時65歳から70歳ぐらいでしたが、そういう人たちが戦争中は30歳から40歳ぐらいだったわけで、その人たちが何かあるごとに話してくれた戦争の話は、「中国では面白かったんだぞ。」と散々悪いことをした話、つまり自慢話を聞かされましたから、今のお爺さん、おばあさんたちが話す戦争の話とは少し違っていたのではないかと思います。
だから、私は「日本軍による南京大虐殺はなかった。」という話は信じませんし、そういうことは本当にあったんだと思いますが、日本が嫌悪感を示すのは、中国側が発表する日本軍に虐殺された中国人の数であって、はっきりとした数が残されていないにもかかわらず、いつの間にか3万人になって、今では30万人と言われているなど、歴史を正しく認識しましょうと言う側でありながら、その数字的な根拠があやふやで時代とともに変わってきているわけですから、総理大臣がいつまで謝罪をし続けなければいけないのだ、というような話が起こってくるのも理解できるというものです。
同じ年、昭和12年に発生した通州事件というのがあって、こちらは中国人のゲリラ部隊によって日本の村が襲われて、老若男女200名以上が虐殺されたもので、この事件に関してははっきり被害者の数は出ているし、名前も判明しているし、虐殺された写真も数多く残っているわけですが、南京大虐殺に関しては、はっきりとした日付もなければ、写真もなく、ほぼ伝聞推定の域を出ていないのですから、そういうところの根拠が欲しいわけです。
当時は北京や上海にはイギリス人やアメリカ人も多く居住していて、もちろん南京も大都市ですからたくさんの外国人がいたはずです。そういう人たちが市内で30万人もの人が殺されたのであれば、通州事件のように大量の写真が残っていてもおかしくはないのですが、それがない。
ただし、私は実際に30代から40代の時に戦争を経験したお爺さんたちから話を聞いているので、自分は戦争を知りませんが、そういう話を思い出すと、嫌な気分になりますし、日本人は中国大陸で悪いことをしたんだろうなあと思うのであります。
私が、昨今の日本を見ていて一番危惧しているのは、戦争経験者がいなくなることによって、徐々に教訓が受け継がれなくなっていくことと、それと同時に発生するであろう感情論的な反戦運動で、特に政治に無関心な若い人たちが繰り広げる反戦デモのような感情的な行動は、コントロールされやすいという弱点を持っているからで、若い人たちはネット社会に代表される伝聞推定+感情論ではなく、自分たちで一生懸命勉強してほしいと思うのであります。
いずれにしても戦争というのは悲劇しか生み出しませんから、日本人として、絶対に起こしてはいけないと思いますし、それが、尊い人命を落とされた方々の死を無駄にしないという、私たち文化的国民の基本原則なのではないでしょうか。
今年の戦争関連番組がいつもと違うのは、5月ごろからいろいろな特集が組まれていることです。
芸能人のゴシップを追いかけるのだけが報道の自由ではないと思います。
こういう時代こそ、マスコミにはしっかりとその役割を果たしてほしいと思いますね。
私たち日本人は、忘れてはいけないことがたくさんあるのだと思います。