鉄道マンの心意気

2週続けて台風がやってきて大雨になりました。

 

天気予報を見ていたら、今回の台風22号は、前回の台風による大雨でそうとう地盤が緩んでいるところにやってくるので、皆さん十分に警戒してくださいと言われていましたので、私も「まずいことになったなあ。」と心配していました。

案の定、昨日は日中時間帯に1時間当たりの雨量が基準値を超えたために徐行運転を開始し、一部列車は区間運休となりました。

夕方になって、今後、さらに大雨が予想されることから、18:45以降の列車の運休を決定。

18:45以降の列車と言っても、いすみ鉄道は最終列車の大多喜発が20時ですから、終列車の1本前で運転を取りやめただけですから、大した混乱はなかったのですが、その時刻から数時間で予想以上の大雨が降り、いすみ鉄道沿線の大多喜町や勝浦市、鴨川市などに避難勧告が出される事態になりました。

いすみ鉄道はあらかじめ列車の運転を見合わせていましたので、大きなトラブルはありませんでしたが、最終的には今度は積算雨量が基準値を超えたために、もし列車を出していたら、途中駅で立ち往生するかもしれない事態でしたから、鉄道部長の判断は的確だったと思います。

 

さて、台風は足早に過ぎ去って、夜の10時にはお月様が出ている状況でしたが、今度は線路を守る保線のスタッフの出番です。

午前4時前に6名ほどが出勤し、4時20分にあらかじめ準備してあった軌道自転車(もちろんエンジン付きですよ)で上総中野方面、大原方面に向けて線路点検開始。

私は、いすみ鉄道はJRのような線路保守の作業用車はありませんし、実際に点検に従事するスタッフも老兵部隊のようなものですから、「無理しないで下さいよ。」と申し上げたのですが、彼らはさっさと点検作業に出かけ、5時すぎには点検終了。

幸いにも今回は倒木等の被害もありませんでしたので、雨で流されてしまったポイントの油を補給したりして、ほぼ所定の時刻に始発列車を出すことができました。

 

 

定時運転の列車で、今日も高校生たちが元気に登校できました。

 

私は、手前味噌になりますから、あまり自分の会社のスタッフを素晴らしいとは言わない主義なのですが、それでも、やっぱり、昨日から今日にかけてのような災害が予測されるときに、自主的に、自発的に、さっさと会社にやってきて、作業を開始するということは、立派だなあと思います。

私も長い間交通機関に勤務していますから、その間にはいろいろなことがありましたし、緊急呼び出しや徹夜勤務なんてことも、当たり前のように考えていますが、あらためて、そういう姿を目の当たりにすると、実にありがたく感じます。

 

なかなかできないことを、当たり前のように、淡々とこなしていく。

 

なんだか、鉄道マンの心意気を見せてもらったような気がします。

 

皆さん、ありがとうございました。

 

もっとも、いすみ鉄道だけじゃなくて、避難勧告が出た地域の行政マンの方々も、おそらく避難所開設や住民の誘導などで徹夜だったのではないかと思います。

都会の人たちは公務員に対してあまり良い印象を持っていない人が多くいますが、田舎の地域では、公務員の人たちって、地域を支える底力なんですよね。

自分たちの仕事だけで精一杯なのに、「いすみ鉄道は大丈夫か。」って心配してくれるのですから。

こういう時は、本当に頭が下がります。

 

関係者の皆様、お疲れ様でした。