「ながまれ」鉄旅グランプリ 2

昨日、道南いさりび鉄道の観光列車「ながまれ号」が観光列車日本一を受賞したお話をいたしました。

 

「ながまれ」というのは「体を長く伸ばして」ということから「ゆっくりして・のんびりして」というこの地方の方言ですが、意味を尋ねないと意味が分からないようなネーミングだと、浸透するのに不利かと思われるのですが、そんなことは全く関係なく、開業1年にならない道南いさりび鉄道が観光列車をはじめてそれで日本一ですから、そこにはよほどの戦略があるのではないか。でも、普通の仕事と違って、ローカル線ビジネスの戦略というのはやはり鉄道愛がないと立てられませんから、ビジネス感覚はもちろんですが、鉄道愛を持ち合わせている方々が仕掛けたんだろうと思うのです。

 

その仕掛け人の方々。

昨日の授賞式で表彰された、左から日本旅行の永山さん、道南いさりび鉄道の小上社長さん、日本旅行の瀬端さんです。

写真は日本旅行のニュースリリースから。

PDF版は こちら をご参照ください。

「ながまれ」の取り組みが詳しく紹介されています。

 

でもって、私が大変興味深いのは、この道南いさりび鉄道は、北海道新幹線が開業するにあたって、並行在来線としてJRから地元に移管された鉄道であること。

つまり、JRが「使い物にならないから要らない。」といったところなんです。

並行在来線でも、自分たちが使えると考えているところはJRは手放しませんから。

この区間で言えば、五稜郭から函館までは今でもJR線で、本当の意味で並行在来線というのであれば、函館ー新函館北斗間も道南いさりび鉄道になるべきですが、この部分は儲かりそうだからJRが自分のところとして残して、五稜郭から木古内までの区間だけを移管して、道南いさりび鉄道が開業しているのです。

これだけでも大人の事情が満載だと思いませんか。

それで、そのJRが「使い物にならないから要らない」といった区間を、新幹線と引き換えに地元が引き受けさせられたわけですが、その区間の観光列車が1年目でグランプリを受賞したのです。

つまり、JRが捨てたところとはいえ、いくらでも使いようがあるということで、言葉を変えれば、そういうこともできないようなJRだから、どの路線をやらせたって、うまく行かないということなのです。

例えば、JRが使い物にならないと宣言している日高本線だって、JRがやっているから使い物にならないのであって、鉄道愛があってビジネスのノウハウがある人たちが企画営業運営すれば、もしかしたら使えるかもしれないわけで、つまり、私が言いたいのは、以前にも書きましたが、上下分離をするのであれば、国からたっぷりお金をもらっているJRが下の部分をやって、こういう鉄道愛とビジネスのノウハウを持っている方々が、地元自治体や地域と一緒になって上の部分を運営すれば、北海道の鉄道はきっとうまく行くと思いますし、少なくとも、今の経営陣がやるよりもうまく行くことは間違いないのです。

 

なぜなら、JRが要らないと言った江差線だって十分に使えることが証明されたわけですからね。

 

JRが既得権を主張して、「俺たちがやるんだ。」と言ったところで、はたして可能性があるかどうか。

経営幹部だけじゃなくて、労働問題なども内包しているようであれば、ここらでいったん会社を解散して、労働条件なども御破算にして、民間感覚の経営を取り入れるようなことをしないと、このままではどうにもならないわけですが、そういう観点を考慮して、JRが地域に対して言っていることや取っている態度を判断することが、市民の皆様に求められると考えるのです。

これは決してJR北海道だけじゃなくて、貨物も同じですよ。民間と比べたらイケてない部分が多いはずですから。

 

いずれにしても、「ながまれチーム」の皆様、本当に素晴らしい。

おめでとうございました。

 

以前に書いた「上下分離のブログ」はこちらです。

 

北海道型上下分離のススメ

北海道型上下分離のススメ その2

 

いすみ鉄道社長の「言いたい放題」ですが、興味のある方は暇なときにでも読んでみてくださいね。