校長先生方とのお話

今日は糸魚川市の校長会というところへお邪魔しまして講演をさせていただきました。

よく書きますけど、私は学校というところが嫌いでして、基本的には卒業したら2度と行きません。
学校が嫌いですから先生と言われる人種の人たちも嫌いで、その頂点に立つ校長先生はもっと嫌いです。

だいたい校長先生というのは基本的には上がりのポジションで、2~3年大過なく過ごせば名誉の退職が待っているわけですから、そういう人たちが意気込み勇んで「私はこういう学校にしたい!」などと言うことはまずありえません。
これが公立学校の組織の構造で、だからここ数十年かけてじわりじわりと公立学校がダメになってきているわけで、そういう校風が全国的にどの地域にもある。

と、卒業したら2度と学校へ行かない私はそのように考えているのですが、不思議なことに千葉の時代からもう10年以上、校長先生の会というのによくお呼ばれされまして、お話をさせていただく機会があるのです。

そうすると私の方もいろいろ気が付くところがあるわけでして、上がりのポジションにいるはずの校長先生が一生懸命勉強をしている。
私の話が役に立つかどうかは別として、一生懸命「インプット」に努めている。
これはなかなか見上げたもので、上がりのポジションなどと言っては失礼なことだということに気が付くわけです。

でも、60近くなって今さら「インプット」もないでしょう。
いくら勉強が好きとはいえ、そろそろどんどん「アウトプット」していかないと、自己満足の世界で終わってしまって、地域社会に貢献できないではありませんか。

とまあ、学校の先生方の前でお話をさせていただくときは、自己紹介もかねてこのような切り口上でスタートさせていただくのですが、本日も全く同じスタートを切りました。

でもって、10年以上前から校長先生方の研修会にお呼ばれされていると、大きな変化に気が付きます。

「私は昭和35年生まれですが、私と同じか年上の方、いらっしゃいますか?」

そうお聞きしましたら、誰もいらっしゃいませんでした。

10年以上前から、千葉県の木更津や館山、あるいは千葉市内などで校長先生の研修会に出たときは、昭和35年生まれというのはまだまだ若造で、校長先生は全部年上の方々ばかりでしたし、トキ鉄に来た当初、やはり校長先生の研修会にお呼びいただいたときには、校長先生は同年代。
そして、今、校長先生は皆さん年下なのであります。

これは大きな変化ですね。

自分の持ち時間がどんどん残り少なくなっていることを実感させられます。

で、いろいろとお話をさせていただいたのですが、私が言いたかったことはこれなんです。

観光のレインボールート。
新幹線がどんどん西へ西へと延びていく時代です。
ということは、糸魚川はこのレインボールートと呼ばれる新しい観光ルートの頂点に立つことになるのです。
糸魚川をはじめとする上越地域が関西方面からの新潟県の入口になる。
大糸線は新幹線に接続して白馬へ行く路線です。
地域にとっては千裁一隅のチャンスなんです。

でも、残念ながら上越地域に住んでいても、私の周りでそういう認識を持っている人はいません。
行政もそうですが、新幹線が西へ伸びて3か月後には敦賀まで開業しているということに関して、地域の人たちは誰も関心を持っていませんし、関心は持っているかもしれませんが、それに対して何もアクションをしている様子はありません。

全国的に人口減少が叫ばれる中、一生懸命這い上がろうとしている地域と、何もしない地域という二極分化が顕著です。
そういう中で、上越地域は少なくとも新幹線が西へ伸びて、大阪と東京の両方のマーケットに手が届くようになるという千裁一隅のチャンスを前に、誰も何も具体的な行動をしていないのです。

こういうことで良いのでしょうか?

というのが私が一番申し上げたかったことです。

改正地域交通法というのが10月から施行されています。
地域がどうやって外貨を稼いでいくか。
そのために地域がどうやって交通を利用するか。
地域の将来をどうしていくのかという将来的なデザインというものを、交通を通じてもう少し考えましょう。
そのためには国もお手伝いしますよ。

というのが改正地域交通法です。

そういう中で、千裁一隅のチャンスを目の前にして、何も行動しないようでは地域に未来はないと私は思います。

上越地域の人たちは皆さん東京を向いています。
それはそれで良いのですよ。
でも、この国の2大都市圏が両方手に入るのが上越地域なんですから、まずそれに気が付いて、気が付いたら行動しましょうよ。

というのが私のお話の趣旨でございました。

私の話の後にある校長先生から、
「社長さんにはずっといていただいて、ご活躍いただかないと。」
と言われました。
とてもありがたいお言葉なんですが、実はそれがいけないんですよ。

地域の主役は皆様方なんです。
皆様方がこの地域をどうしたいのか。
それを率先して実行していただかない限りは、私がいくらここにいても何も変わりません。

きちんとそこまで申し上げました。

さあ、皆さん動くかな?

地域の未来を作っていくのは、トキ鉄も学校もベクトルは同じなのですが。

本日お世話になりました皆様、ありがとうございました。