Divert to Hakodate.

昨日は大雪の千歳空港ではまってしまいまして、ブログどころではございませんでした。

 

いつも、旅先で災難やトラブルに会ったら、こうして切り抜けるんだと偉そうなことを言っている私ですが、久しぶりにディスラプション(disruption:破壊的混乱状態)に遭遇して、なかなか楽しい、ワクワクする経験をさせていただきました。

数千人が足止めを食らった新千歳空港のターミナルに、もちろん私もいたことはいたのですが、かなり大変な思いをされた方がたくさんいらっしゃる中で、不謹慎かもしれませんが、やはり、「自分のことは自分でする。」という精神が必要なのではないかと確信した次第でございます。

 

いろいろ申し上げても仕方ありませんので、「皆様方の今後のために少しでもお役に立てば」というポリシーから、どうやって逃げ帰って来たかというお話を時系列的にさせていただきたいと思います。

 

昨日は午前中に札幌市内で会議がありました。

その会議が12時少し過ぎに終了しまして、私は16時の飛行機を予約していました。

朝のうちはお天気は悪くなかったのですが、会議の途中ぐらいから雪が降り出しました。

予報では今夜から大荒れになるだろうということでしたが、外へ出ると、チラホラ降る程度で、それほど大騒ぎするような天候ではありませんでした。

 

同じ会議のメンバーの矢野直美さんが、「鳥塚さん、お昼ご一緒にいかがですか。」と言われましたので、こんなきれいな女性と一緒にご飯が食べられるなんて願ってもないことですから、全国の矢野直美ファンを代表して、お昼ご飯をご一緒させていただきました。

もちろんツーショットではありませんのでご心配なく。

でも、仕事が終わった解放感から、ランチビールなどを楽しみまして、「では空港へ向かいましょう」とレストランを出ましたが、雪の降り方は、先ほどと変わらず。

「今夜は大雪ですね。」と私が言うと、矢野直美さんは、「雪って空からの贈り物なんですよ。こんなにきれいでしょ。」などと言われまして、やっぱり着眼点が違うわけですよ。だからあのような作品を撮れるわけでありますが、その彼女の笑顔に送られて13:50発の快速エアポートに乗りました。

 

ちなみにそのお昼ごはんの席にいた人は全部で6人で、私と、ローカル鉄道ドットコム代表のサトウ君は千歳空港へ。国交省の偉い人と旅行会社の偉い人は「明日は道南いさりび鉄道のながまれに乗るので、14時半のスーパー北斗に乗ります。」ということで別れたのです。

 

そして快速エアポートは順調に新千歳空港に到着。

この時点で14:30です。

快速エアポートが進むにつれ、だんだん雪が激しくなってきましたので、私は車内で飛行機を1本早めの便に変更して空港に到着したわけですが、出発階に上がった時点で、「搭乗手続き見合わせ中」と表示が出ていました。

カウンター前のお客様の列はそれほど多くなく、6~7人といった感じ。

この程度なら大丈夫だろうと航空券変更手続きをお願いしたら、カウンターのお姉さんが「今、滑走路が2本とも閉鎖になっています。」とのこと。

「ご案内できるようになりましたらアナウンスをします。」と言われましたので、切符の変更は完了。

サトウ君は「社長、僕の便は飛ぶみたいです。」と言うので、「では、ここで別れましょう。お疲れ様でした。」と言って別れました。

そう、私は赤組ですが、彼は青組。

青組は頑張ってるみたいだなあ。と思いつつ、滑走路閉鎖じゃあどっちにしたって飛べないわけですから、じたばたしてもしょうがない。

私は展望階に上がって外の状況がどうなっているのかを見に行きました。

 

この時点で15:00です。

 

 

展望ロビーから見た飛行場です。

視界が悪く、後ろに見えるはずの滑走路が全く見えません。

青組の東京行の777です。

トラクターが付いていて、ボーディングブリッジが外れていますから、出発直前の飛行機です。

左右の翼を融雪剤をスプレーしています。

空港の仕事を辞めてから、私はこういう光景を久しぶりに見ましたので、しばらく眺めていたんです。

そうしたら、機体の除雪の車が離れて行って、いよいよ出発だな、と思ったのですが、飛行機は動かない。

除雪剤を散布してから離陸するまでの時間は決められていますから、スプレーが終わったらすぐにプッシュバックしなければなりません。

でも、除雪剤を撒く車がいなくなっても飛行機が出ないんです。

 

「ああ、ヤバいな。」

 

私はそう思いました。

つまり、出発取りやめになるだろうということです。

 

そうしたら、館内にアナウンスが流れました。

 

「日本航空、東京行 514便は、本日は欠航になります。」

 

私の乗る飛行機です。

 

「う~ん、どうするべか。」と思いながら展望階から1つ下の出発階に降りて行ったら、さっきとは全く違う光景。

カウンターの前にはすでに何百人がたむろしてるのに気づきました。

 

私は、ダメだこりゃ。と思いまして、なぜなら、こうなってしまったら、航空会社の地上職員に何かをお願いしたとしても、どうしょうもないわけですし、その何かをお願いするために延々と順番を待たされるのは目に見えています。

手元のタブレットでいろいろ調べましたら帯広は欠航。旭川もダメ。

函館は何とか飛びそうだけど、その時点では函館の最終便には間に合いません。

天候は悪くなる一方で、このまま札幌に残ったとしても明日飛ぶかどうかは大いに不安が残ります。

 

「そうだ、函館へ行って泊まろう。」

函館の天気は雨。明日飛行機が飛ぶかどうかはわかりませんが、函館なら新幹線という手もありますから。

 

この時点で15:40

私は階段を下りてJR北海道の窓口へ行きました。

すでに有人窓口には20名ぐらいの列ができていましたが、2台ある指定席券売機には7~8人の列でしたから、並びました。

今からなら16:05の快速エアポートに乗って、南千歳からスーパー北斗18号に乗れば19時過ぎには函館に入れます。

並んでいる間にネットでホテルを押さえて、明日の函館発羽田行の朝の便を押さえました。

ところが、その券売機の列がわずか7~8人なんですが、なかなか進まない。

3人連れのサラリーマンが、一度に3人買えばいいものを、それぞれ1枚ずつ買ったりしているわけですから、なかなか進まないのです。

そうしている時、サトウ君からメールが入りました。

 

「私の飛行機も欠航になりました。」

 

私は、「すぐに地下の駅に来い。」と返事を出しました。

 

今なら一緒に函館に向けて脱出できますから。

ほどなく彼が地下の駅にやってきました。

券売機の順番が私のところになった時点で16:00でした。

もう16:11のスーパー北斗18号には間に合いません。

私は、次の17時のスーパー北斗20号の指定席を購入しました。

もちろんグリーン席です。

 

 

その理由は、飛行機が飛ばないような状態ですから、列車だってどうなるかわかりません。

まして函館まで3時間以上もかかるのです。

途中で何かがあって列車が立ち往生するかもしれないし、もしかしたら一晩缶詰めになるかもしれません。

こういう時にはケチって自由席などにするべきではありませんし、指定席だって自由席のお客様が立席扱いでなだれ込んでくるかもしれません。

だから、ディスラプションの時こそ、上級座席が効果を発揮するというのが私の考え方です。

 

切符が手に入った時点で16:05。

 

「では、飯でも食いに行きましょう。」とサトウ君を誘ってもう一度上に戻ってレストラン街で軽く食事。

まだお腹はそれほど空いてないけれど、こういう時はまず腹ごしらえが肝心です。

そして下に降りて駅に戻ってみると、わずか30分ほどの間に窓口も券売機も長蛇の列になっていました。

この時点で16:35。

飛行機をあきらめた人たちが、それでは新幹線で、と思ったのでしょう。

大量に地下の駅に押し寄せていたのです。

こんな状態ではもう指定券を手に入れることはできません。

 

駅のアナウンスは、「今から行かれましても、新函館北斗からの新幹線は盛岡までです。東京にはお帰りになることはできませんのでご了承ください。」と告げています。

窓口に並んで指定席の順番を待っていたのでは、電車が発車してしまいますから、発車の少し前になると、駅のアナウンスが、

「切符を購入されなくてもかまいませんから、次の電車にご乗車ください。切符は特急の中で車掌から購入していただければ結構です。」に変わりました。

自動改札が解放されて、切符を持たないお客様が、続々と改札内へ入って行きます。

私とサトウ君は、そんな人たちを横目に、先ほど手に入れた指定席券を改札口に通して16:45の快速エアポートに乗車して乗換駅の南千歳へ。

電車が南千歳に到着すると、大勢の人たちが階段を上って上に行きます。

何するんだろう。乗換えホームは同じホームなのに。

そう思っていたら、今度は南千歳駅のアナウンスがこう告げました。

 

「当駅は指定席を発券する機械が1台しかありません。前の列車でもすでにたくさんのお客様が並ばれております。お一人様ずつの対応となりますのでお時間がかかります。自由席にお乗りになられて、切符は車内で車掌からお求めください。」

 

ということは、自由席はすでに長蛇の列だということになります。

 

スーパー北斗20号は10両編成と長い列車ですが、グリーン車1両、指定席7両、そして自由席は2両です。

 

後ろの方は大混雑でしたが、私とサトウ君はグリーン車に座りました。

 

 

 

このスーパー北斗20号は17:10に5分遅れで南千歳を出て、ほぼ定刻の20:22に函館に到着しました。

道中では車内販売も飲み物以外は完売で、車掌さんも予期せぬ大量の無札乗客の対応に追われて、かなり大変な思いをされたことと思います。

 

函館駅に到着するとすぐに私たちは先ほどネットで取った駅前のホテルにチェックイン。

 

列車の中からFacebookで先ほど札幌で別れた国交省の偉い人と旅行会社の偉い人に連絡しておきましたので、ホテルにチェックインしたらすぐに道南いさりび鉄道の方がお迎えに来てくれまして、そのまま駅近くの居酒屋に直行いたしました。

期せずして再開ということで、今度は道南いさりび鉄道の方と新聞記者の方も入って宴会です。

 

その席上で私が、今日の経緯と、券売機や窓口が急に増えたお客様に対応できていない話をしたところ、新聞記者の方が「JRは千歳空港がダメになった時の代替輸送機関としては貧弱なんです。」と言うので、私は思わず、「何言ってるんですか? こういうディスラプション時の補完機能をJRに持たせるなんて無理ですよ。いつ飛行機がダメになっても良いように、余計な設備や人員を持つ必要などないでしょう。雪の中で缶詰になっても良いようにと、常に列車に人数分のお弁当や食料を積んでおく必要もない。もし、そういうことをJRに求めるのであれば、それは国の仕事ですよ。」と言いました。

つまり、新聞記者ならもっと勉強しなさい! と言うことですが、簡単に言うと、北海道のような厳しい自然環境のところで、「民間会社」に全てを任せようとするところが、今、こうなってしまっている元凶だということです。

 

まあ、そんな話をすると酒がまずくなりますから、そう言う話はやめにして、他の話で盛り上がって、気が付いたら日が変わっておりました。

 

今回は、自分でサッサと対処したわけで、千歳空港から函館までのJR、函館のホテルは自己出費になりましたが、明けて本日の函館ー羽田の航空券は切り替えてもらいましたし、空港のロビーで毛布にくるまることもなく、快適なベッドで眠ることもでき、シャワーも浴びてリフレッシュすることができましたので、私としてはうまく切り抜けることができたと考えております。

 

つまり、「航空会社に何とかしてほしい。」と言う発想は最初から捨てて、「自分のことは自分でする。」ことにして、だったらさっさとここから逃げる算段をしようと考えたところが、うまく行ったのだと思います。

 

今日の函館ー羽田便も私がネットで取った時には空席がありましたが、スーパー北斗の車内で見たらすでに満席でしたし。

そりゃそうでしょう。車内でスマホ見ている人たちが皆競争相手なんですから。

 

余計な出費にはなりましたが、まあ、冬の北海道ですから、ある意味「想定内」でありましたので、おかげさまで本日はお昼過ぎに大多喜へ出勤することができた次第でございます。

 

▲昨日の運航状況。13時以降全便欠航です。

 

▲本日の運航状況。

今日も13時以降の便は全便欠航になっています。

 

ということは、あのまま千歳に残ってたら、今夜も札幌の夜だったことは間違いありません。

 

ある意味、それも良かったかもしれませんが。