さよなら 増毛駅

先ほど増毛駅を最後の列車が約30分遅れて発車したとNHKのニュースで報じられていました。

 

増毛は皆様ご存知の映画「駅・Station」の舞台になった場所で、ラストシーンに登場する夜の駅が印象的ですが、先ほどのNHKのニュースで発車していく最終列車はまさに健さんの時代のシーンに重なって見えました。

 

鉄道を廃止にするということは、この地方創生に時代にいったい何を考えているのだとお怒りの方もいらっしゃると思いますが、地域にはそれぞれいろいろな事情というものがありまして、雄冬地区が陸の孤島と言われていた時代ならともかく、今は道路が完成していますから、鉄道で遠回りして行く必要もなく、まして増毛の町はホタテ貝などの海産物を韓国に輸出していて、ホタテ貝に関して言えば、輸出量の約3割が留萌、増毛地域産ですから、経済的豊かさでは北海道で指折りの地域になっています。そのホタテ貝を新しくできたオロロン道路を通って小樽へ運び、韓国へ輸出するというのが今のコースですから、鉄道の貨物列車が必要なわけでもなく、ましてローカル線を使って地域おこしをする必要など、今のところないのです。(将来は知りませんが)

 

私が学生の頃、今から40年ぐらい前は、知床と同様に雄冬は陸の孤島と呼ばれていて、増毛港から船じゃなければいかれないところでした。陸伝いに道路がないから島でもないのに船じゃなければいかれないところで、海が荒れると何日も足止めされる。そんな時、船が出るまでの間、仕方なく時間をつぶしたのが今も増毛の駅前に残る風待食堂。

というのが健さんの映画のストーリーでしたね。

 

強いて言うならば、札幌から近いし、映画だけじゃなくて朝ドラの舞台にもなったのが留萌本線で、もちろん海を眺めながら走る最高の区間でありますから、観光鉄道としてJRの集客に貢献するようなことは、オホーツクや釧路湿原よりもはるかに容易にできただろうなあと思うわけですが、そういうことをやらなかったのがJRが今の状態になったゆえんでもありますから、今回の留萌ー増毛間の廃止は、まあ、一つの象徴的な姿ということなのでしょう。

 

私はこの20年間に留萌本線に乗って増毛には4回ほど行きましたので、もう思い残すことはありませんが、4回も行ったとはいえ、もう列車で行くこともできなくなりましたから、頭のてっぺんが冬風に吹かれてこれからますます寒くなることを考えると、やはり一抹のさみしさが残るというものです。

 

95年の長きにわたり、地域を支えてきてくれた増毛駅に感謝してお別れを言いたいと思います。

 

▲瀬越駅を発車するさよなら列車。

いすみ鉄道ファンの杉山江利子さんのFacebookページから。

杉山さん、ありがとうございます。

 

皆さん行かれてますねえ。

この最終列車の車内と沿線には何人の知った顔がいたことでしょう。

 

SL時代もそうでしたが、こういうさよなら列車が各地で数年間走り続け、そして最後は全部お仕舞になる。

なんてことにならないようにしなければなりませんね。