小春日和のローカル線

今日は穏やかな一日でした。

 

貸切列車があり、平日でもそこそこ観光のお客様が多くいらっしゃいましたが、暖かな一日で良かったなあと思います。

 

ちびっ子たちが遠足でいすみ鉄道に乗りに来てくれました。

 

 

 

大多喜駅から国吉駅まで、キャーキャー大騒ぎでした。

きっと大人になっても覚えていてくれるんだろうなあ。

 

私が幼稚園生だったころの遠足は新宿御苑でしたが、都電で行きました。

当時はまだ中山道を都電が走っていて、志村橋の方から貸切の電車が空でやって来て、私たちもキャーキャー言いながら乗り込みました。

巣鴨、白山、水道橋と都電が走ってきて、水道橋の駅前の交差点を、都電が右折しました。

お茶の水から新宿へ行く都電も走っていたのでしょう。

総武線のガードを前に神田川の橋の手前を都電が右折したんです。

今でもはっきりと覚えているぐらいですから、当時5歳だった私は、きっと目を輝かせて一番前に乗っていたんだと思います。

 

子供の頃の思い出って、そういうもんなのですよね。

 

だから、今日の子供たちも、おじさん、おばさんになっても、何人かは、何かの拍子で、「そういえば、いすみ鉄道で遠足に行ったなあ。」なんて覚えていてくれたら素敵ですよねえ。

 

 

国吉駅は「風が見える」駅なんです。

私が最初に就任した時に、この田んぼを見ていたら、向こうの山の木が揺れ始めました。

やがて田んぼの稲が奥の方から揺れ始めて、その稲の揺れが私の手前まで来たときに、ふ~っと風が抜けていきました。

それがこの場所なんです。

 

私は生まれて初めて風を目撃しました。

 

50年も人間をやっていると、なかなか初めての経験なんてありませんが、この時、「あっ、風が見えた。」と感動しました。

 

だから私は、いすみ鉄道の国吉駅のネーミングライツを自分自身で購入して、「風そよぐと谷」と名付けました。

3年間のネーミングライツ。しめて300万円。

今は、その私の気持ちを理解してくれている横浜のお医者さんが引き継いでいただいています。

だから、そのままの「風そよぐ谷」。

ありがたいことです。

 

この風そよぐ谷、国吉駅で私はもう1つ人生初めての経験をしました。

それは四つ葉のクローバーを見つけたことです。

それまでは四つ葉のクローバーなんて探したこともなかったし、見つけたこともなかった。

でもね、四つ葉のクローバーって、探そうと思うと見つからないんですよ。

心を澄ましていると、向こうから、「ここだよ。」「ここにいるよ。」って教えてくれるんですよ。

 

だから今日も、向こうから「ここだよ。」って呼んでもらいました。

 

 

ほらね。

わかるかな?

 

「ああ、そこにいたのか。」

「見つけてくれてありがとう。」

 

そんな会話ですね。

だから、摘まないでそのままにしておきました。

そうすれば、他の人が見つけたら、その人が幸せになれるでしょう。

 

 

そんなことを考えるメルヘンおやじでも腹は減るもので、ホームでお弁当を広げました。

源氏スーパーのお弁当っておいしいんですよ。

この景色の中で食べると、400円のお弁当が高級ホテルのランチよりもおいしいんです。

 

この景色の価値が分かる人は、幸せになれる人だと私は思います。

ローカル線は、そういうところなんですよ。

だから私は一番幸せな人間なんです。

 

お弁当をうまそうに頬張っている私を見て、クローバーたちがニコニコ笑ってくれました。