岐阜県へ行ってきました。

昨日は岐阜県大垣市へ行ってきました。

大垣共立銀行さんが主催する「大垣地域活性化セミナー」の講師としてお招きいただきました。

 

このセミナーは第5回目ということなのですが、今までの講師の方々というと

第1回目 東国原英夫氏(元宮崎県知事)

第2回目 吉川眞綱氏(観光カリスマ)

第3回目 鈴木智博氏(戦国魂プロデューサー)

第4回目 田原洋樹氏(地域人材育成コンサルタント、観光戦略アドバイザー)

というそうそうたるメンバーの皆様方のようですので、私も少々緊張してお伺いしました。

 

会場には200名様以上の市民や関係者の方々がお見えになられていましたが、岐阜県大垣市の人たちが、千葉県の房総半島のローカル鉄道の社長の話を聞きに、こんなにたくさんやってくるとは実に不思議な感じでした。

そればかりではありません。私が来るということで、岐阜県庁の公共交通課の課長さんはじめ、沿線11もの自治体の担当者の皆様がお越しになられまして、時間を1時間もオーバーして18時まで意見交換会を開催いたしました。

 

▲岐阜県自治体の皆様方と記念撮影です。

▲ご参加いただいた自治体の方々の名簿(役職と名前の部分はカット)

 

大垣といえば、東京の鉄道ファンの皆様方には実になじみのあるところだと思います。

私も高校時代から「大垣行」に乗車して、関西方面へ旅行するときには何度も通っているところです。

でも、当時は乗り換えのためだけで、改札口を出ず、滞在時間はたいてい4分程度でした。(笑)

そんな天下の東海道本線が走る大垣市が、なぜいすみ鉄道の社長の話を聞くのか?

皆さん疑問だと思いますが、実は、大垣には養老鉄道というローカル鉄道が走っていて、赤字で悩んでいるからです。

そして、岐阜県という所は、いすみ鉄道のような国鉄時代からの支線を転換した第3セクター鉄道が、樽見鉄道、明知鉄道、長良川鉄道と3つもあって、旧近鉄の養老線を分社化した養老鉄道と合わせると、4つになるからなんです。

だから、昔から、交通政策に関しては非常に関心が高い都道府県なんです。

 

養老鉄道は三重県の桑名市から岐阜県の大垣市を結ぶ57.5km、27駅の電化路線で、もともとは近鉄の路線として運営されていました。

ところが利用者の減少で、近鉄の本体としては運営が厳しくなったことから、2007年に子会社化して養老鉄道が誕生しました。

つまり、線路を所有するのが近鉄(第3種鉄道事業者)で、列車を走らせるのが養老鉄道(第2種鉄道事業者)という上下分離方式でやってきているのですが、それがどうもうまくいかない。地元自治体に赤字補填をお願いしていたけど、どうやらいよいよの状態になってきたらしいんです。

 

以前、桑名の市議さん方がいすみ鉄道に視察に来られた話はこのブログでもご紹介しましたが、沿線自治体としてはこの財政難の時代に余計なお金を鉄道になど出したくない。近鉄がやらないのであれば、鉄道を廃止してバスでもよいのではないか。最初の頃はそういう議論だったようです。でも、年間利用者は600万人いるんです。600万人が利用している鉄道をバス転換したらどういうことになるか。私は視察にいらした市議さんたちに、「何を考えているんですか? 市内が渋滞で交通マヒしますよ。」という助言をさせていただきました。これは、福井市の京福電鉄の事例を見れば明らかなことですから。

そうしたら、それから皆様方でいろいろ協議されたようで、養老鉄道は来年を目途に、線路の部分を行政が維持管理する第3種鉄道事業者を設立し、公有民営の鉄道となることが決定したのです。

 

三重県の桑名市から岐阜県の大垣市までの57km。

県をまたぎ、自治体も桑名市、海津市、養老町、大垣市、神戸町、池田町、揖斐川町と7つにまたがる地域です。

この自治体がそれぞれ出資して、線路を所有する会社を作るということは、これはすごいことなんですよ。

だいたい、大垣市のような「入口に位置する」自治体にとってみれば、本線から分岐して内陸へ入って行くローカル線は興味ないのがふつうです。どこの自治体も、東京や大阪、名古屋などの大都市を向いていますから、東海道本線から分岐して奥へ入っていく鉄道などにお金を出すというのは抵抗があるものなんです。

いすみ鉄道も、特急列車が走る外房線の大原から分岐して内陸の大多喜町へ入っていく路線ですから、入口の自治体であるいすみ市の人たちにとって見たら、東京へ向かう外房線には興味があるけど、内陸へ向かういすみ鉄道には興味がないんです。

これは、全国共通の考え方で、いすみ鉄道沿線で言えることは全国共通ですから、日本全国で同じことが言えるんです。

 

ところが、今、いすみ鉄道沿線では、入口にあたるいすみ市がいすみ鉄道を上手に利用して大変盛り上がっている。市議さん方全員が「いすみ鉄道は必要だ」と言ってくれるようになったのですから、全国的に見たら大変珍しい事例で、どうしたらそういうことができたのか、ということがとても興味があるようなのです。

何しろ、地域活性化やローカル線問題というのは全国的に同じ課題であって、全国共通の問題ですから、いすみ鉄道で解決できたということは、そこに全国共通の問題解決の糸口があるということになります。

 

そういうわけで、今、いすみ鉄道は全国の自治体の方々や、商工会議所、商工会などの幹部の皆様方にとっては、興味津々の鉄道なのであります。

 

最近では私の仕事も多様化してきております。

こうして全国お声がかかるところへお邪魔して、お役にたつことも、いすみ鉄道や千葉県を宣伝することになりますし、それだけじゃなくて、千葉県の枠を超えて、日本の国のお役にたつことだと考えています。

「ぜひいらしてください。」という所があれば、私は喜んでお役にたちたいと思います。

 

ということで、8月初旬には福岡県の交通政策課の会議に参加させていただく予定です。

他の地域の仕事ばかりしているような奴は、非国民ならぬ非県民だ。

そう言う人もいるかもしれませんが、そういうことを言っているような狭い料簡の枠を、すでに越えているのです。

 

私は廃止寸前のローカル線を何とか廃止にしないための公募の社長です。

公募社長というのは、湿ったマキに火をつけるのが仕事なんです。

「こんなものは使い物にならない。」そう言ってみんなが捨てるような湿ったマキに火をつける。

それが私の仕事です。

その意味では、いすみ鉄道はすでに完成形なんです。

せっかく火がついたマキの火が消えないように、次にくべるマキを探して持ってくるのは私の仕事ではありません。

それは地域の皆さんの仕事なんです。

私はそのように考えております。

 

私のことを、「あいつは使える。」とお考えいただける日本全国に皆様、どうぞよろしくお願いいたします。