鉄道が消えた町

 SDカードの整理をしようと思って画像を見ていたら、去年の年末に訪ねた福岡県の写真がありました。

筑豊本線の飯塚駅です。
遠くにボタ山が見えるこの駅から、上山田線という路線が出ていました。
左のホームの向こう側が上山田線の線路でした。
もうかれこれ30年近く前になると思います。
1987年に飯塚に泊まって、飯塚駅を朝6時台に出る上山田線の始発列車に乗りました。
先頭はDD51型ディーゼル機関車で、50系客車を4両ばかり連ねていました。
寒い季節だったので、機関車から蒸気を送られて、客車の下から湯気が出ていました。
まだホームビデオが普及する前でしたので、私はこの列車の一番前の客車に乗り込んで、カセットテープレコーダーで飯塚から上山田までの全区間の走行音を録音しました。
当時は列車を記録するというと、こういう音撮りしか方法がなかったんですね。
こういう場合、一番気になるのが乗客の話声なのですが、4両の客車に5~6人しか乗っていませんでしたから、車内はシーンとしていました。


現在の上山田駅前です。
上の写真は駅前だったところ。なんとなく昔駅前だった面影がありますね。
下の写真は駅の裏側。当時としては近代的だったであろう炭鉱住宅のような建物が並んでいます。
上山田に到着した列車は折り返しのために機関車を切り離して反対側へ連結する作業を始めます。
私は広い構内をまたぐ歩道橋に登って、入れ換え作業を見ていましたが、その歩道橋はもうありません。

駅の構内、線路があったところに立ってみました。
黄色いブロックが敷き詰められているところが線路。
その左側にホーム。そしてその左に駅舎がありました。


反対側を見ると、公園のように整備されていて、お爺さんが一人、犬のお散歩中。
私の立っているところからまっすぐむこうに線路が伸びていて、信号機の左側を抜けていました。

その信号機の先の写真がこれ。
道路の左に並樹があるところが線路跡です。
私は廃線跡を巡る趣味はありませんが、自分がかつて訪ねたところは、今どうなっているのだろうか、ということには興味があって、出かけたついでに立ち寄ってみたりします。
高速道路がすぐ近くまで来ていて、道路も整備されて、昔に比べたら見違えるほどきれいになっていますが、鉄道を廃止してしまったところは、どこも同じように活気がありません。
お住まいの方々には申し訳ありませんが、廃止前と比べると、どこも必ず廃れています。
この上山田線のように、炭鉱の閉山に伴って見捨てられたような路線はなおさらかもしれませんが、今残っている旧国鉄路線は、上山田線が廃止された時を同じくして誕生した第3セクターです。
私は日本全国のこういう場所をさんざん見てきていますが、廃止したところが今どうなっているかを考えると、鉄道は時代遅れかもしれませんが、残した方が良いと私は思います。
なぜならば鉄道を要らないと考えているようなところは、もう一歩広い視野で見てみると、その地域自体の必要性を問われていることに気が付くからです。
今の時代では、鉄道を廃止しようという考え方の方が、時代遅れだと思いますが、いかがでしょうか。