謎のキハ 走る。

毎週日曜日の夕方、キハは1日の運転を終えて検修庫に入ります。
車庫に入るとキハは次の土曜日まで動きません。
だから、大原方の先頭車キハ28は、次の土曜日の朝一番で運用につく「快速」の表示に変えられます。
ところが、先週の日曜日の夕方、1日の運用を終えたキハが検修庫に入ると、種別表示の窓には「試運転」の文字が。
通常は「快速」の所が、「試運転」になっているということは、次の土曜日までの間、月曜日から金曜日までにキハが走るんじゃないか。
FACEBOOKではそんな話題が載っていました。
試運転でキハが平日に走るということは私も知らなかったんですが、やっぱり走りました。
先週の金曜日に、突然線路に現れて、時刻表に載っていない試運転列車が大多喜から上総中野を往復して、それから大原を往復しました。

これがその時の写真ですが、では、なぜ平日に試運転のキハが走ったのかというと、実は、運転士の訓練なんです。
訓練で乗務したのは、いすみ鉄道の自社養成乗務員訓練生の第1期生の武石さん。
武石さんは2010年にいすみ鉄道に入社し、2011年暮れに国交省の試験に合格。その後、社内で訓練を積んで、2012年夏からムーミン列車に乗務する46歳のフレッシュマンです。
黄色いムーミン列車の200型と新型車両の300、350で1年半以上乗務をして、運輸課長から、「もうそろそろキハをやらせても大丈夫だろう。」とOKが出ましたので、昨年暮れからキハにアテンダントとして乗務を開始し、並行してハンドル訓練を始めたところです。
同じように、第1期生の高崎運転士も、キハのハンドル訓練を開始いたします。
いすみ鉄道は間もなく菜の花のシーズンを迎えますが、シーズン中は教官同乗で訓練を行い、ゴールデンウィーク明け頃から一人で乗務できるようになれば良いと考えています。
国鉄形車両のキハは、黄色いムーミン列車とはブレーキの扱いが全く異なりますから、キハに乗るためには別の訓練が必要になりますが、好きで選んだ道ですから、やっぱりいすみ鉄道ならキハに乗務したいという夢をかなえるべきだと思います。

どうです。凛々しい顔つきでしょう。
実はね、武石さんと高崎さんが参加していただいた訓練生の説明会の時に、その時点ではまだ構想段階だったキハ52の導入の話をしたんです。
そうしたら2人とも、目を輝かせて、身を乗り出すようにして、私の話を熱心に聴いてくれていたのを昨日のように思い出しますから、社長として、きちんとコミットメントを果たさなければなりません。
こういう人たちが観光列車に乗務してくれるのは、やっぱりうれしいですね。
訓練用の臨時列車ですから、運転日を公表することはできませんが、しばらくの間、突然キハがやってくる光景が見られると思います。
その前に、今週は平日に2日間、キハ52が単行で走行します。
一般色での最後の単行運転になりますので、こちらもお見逃しの無いように、どうぞお楽しみください。