台湾鉄道三昧の旅 3日目(最終日)

台湾鉄道三昧の旅、最終日は高雄から新幹線で台北へ。
夕方の飛行機に乗る前に、台北の七堵というところにある車両基地にお邪魔する計画です。
ホテルのモーニングコールは午前5時。
6時半にホテルを出て、7時半の台湾新幹線で台北へ向かいます。

早朝の台湾新幹線はほぼ満席。
台湾新幹線は高速鉄道会社が運営し、在来線の国鉄とは別の会社です。
そのため、新幹線開業後も並行在来線にはたくさんの優等列車が運転されていて、新型車両も積極的に投入されています。
そして、新幹線、在来線ともどの列車も混んでいる。
「儲からないからやめる。」のではなく、お互いに切磋琢磨して積極的に営業展開することで、需要をどんどん作り出している点は、どこかの国も皆見習わなければなりませんね。


新幹線で台北に着くと、隣の在来線ホームに移動。
皆いきなりカメラを向け始めました。
台北の地下駅に電気機関車がけん引する急行列車(莒光号)が入線しました。
手動ドアの客車列車が首都駅を発着するんですから皆さん夢中です。


七堵の車両基地(七堵機務段)に到着。
皆さん早速カメラを向けています。
新潟トランシス製のディーゼル機関車が急行用の客車を入換しています。




ディーゼル機関車をターンテーブルに載せてデモンストレーション。
ゆっくりと回転する機関車には特別のヘッドマークが取り付けられていました。


ここ、七堵機務段でも熱烈大歓迎。
この車両基地の何(ハ)所長さん(正確には段長さん)がスライドで仕事を説明してくれます。



所長さんの説明の後、ヘルメットと安全チョッキに身を包み、15両編成がすっぽり入る長い車庫を通って連れて行かれたのは特別車両の保存庫。
右側の黒い車両は御料車です。
大正時代に昭和天皇(皇太子時代)がお乗りになられた車両です。
明治時代と大正時代につくられた御料車が車内もそのまま大切に残されています。
ドアのノブには真鍮製の菊の御紋がありました。
高温多湿の台湾で保存していくのはさぞかしたいへんだと思いますが、屋根つきのコンクリート車庫に密閉されて管理されているそうです。


特急「自強号」用のEMU300形、急行「莒光号」用の200形電気機関車の前で記念撮影。
電気機関車には特別のヘッドマークが取り付けてあります。


この日のサプライズは私たちの鉄道三昧旅行がテレビの取材を受けたこと。
台湾のニュースチャンネル「最新消息」のカメラクルーが取材に来ていて、対応してくれた所長さんを取材中です。私もインタビューを受けました。




さてお待ちかねのランチタイムは機関区の社員食堂へ。
ビュッフェ形式で皆さん好きなものをいただきます。
こういうところでお昼ご飯を食べたら、そりゃあおいしいですよね。
ちなみにこれでだいたい200円ぐらいです。

最後は何(ハ)所長さんから全員に訪問記念証を手渡し。
皆さん本当に親切で、参加された方は「鉄道の係員が何でこんなに親切なんだろう。」と驚いていました。
何所長さん、機務段の皆様、本当にありがとうございました。


今回、3日間ガイドを務めてくれた台湾国鉄OBの郭さん。
台湾国鉄のIDカードを見せて、
「僕はねえ、これで全線フリーパスなんですよ。」と得意顔です。
流ちょうな日本語でたくさんのことを教えていただきましてありがとうございました。
どうして御料車を保存されているんですか?
本当なら、一番先に壊してしまうような存在じゃないんですか?
私がこう尋ねると郭さんは、
「日本は戦前、台湾に鉄道や港、工場、道路などたくさんの物を作ってくれました。それがあったから台湾はここまで発展できたのです。私たちは日本が置いて行ったものを使わせてもらってきただけなんですよ。だからね、台湾は日本に感謝しているんです。」
こうおっしゃってくださいました。
また、旅行会社のガイドさんも、
「台湾には神様を敬うなど、日本と中国古来の文化がたくさん残っています。
本家の中国は共産党になっちゃったから、宗教や神様など全部捨てちゃったんです。でも、台湾は大切にしているんですよ。」
とおっしゃってくれました。
東日本大震災の時も真っ先に支援してくれたのは台湾です。
私たちがついつい日本よりも下に見てしまいがちな台湾が、実は考え方も人の心も、日本よりずっと進んでいるのかもしれません。
決して大きな国ではないけれど、私たちが忘れてしまった何かが今でも大切に残っているのが台湾。
それは鉄道だけじゃないんですね。


鉄道三昧の旅、最後の乗車は車両基地からの出区列車。
南アフリカ製のEMU1000形がプッシュプル運転する自強号で、客車は韓国製です。
回送列車で七堵の駅まで行き、そのまま自強号になって台北まで乗車して台湾鉄道三昧の旅が終わりました。
ご参加いただきました皆様。
今回の旅はいかがでしたでしょうか。
知らない人にとってみたら、なかなか台湾の鉄道は敷居が高いかもしれませんが、
助川編集長が鉄道ダイヤ情報で何度も台湾国鉄特集を組んだり、私がパシナ倶楽部の前面展望DVDで台湾国鉄全路線を網羅するなど、2人してどうして「台湾、台湾」と言うのか、その台湾への思いが少しがご理解いただけましたでしょうか。
次回はいつになるかわかりませんが、助川編集長と「近いうちまたやりましょう。」と誓いを立てましたので、どうぞお楽しみにお待ちください。
そのうち、いすみ鉄道と台湾国鉄が姉妹鉄道になりますから、待っていてくださいね。
ご参加いただきました皆様、関係者の皆様、3日間お疲れさまでした。
ありがとうございました。
※昨日の台湾ニューステレビの様子(You Tube)はここをクリックしてください。
そんなことやってどうするの?
と、私のやっていることを理解できない方も田舎には多いかもしれませんが、いすみ鉄道が積極的に推進する民間交流としては、国家レベルで見ても素晴らしいと私は考えています。
これが、世界に羽ばたくローカル線なのです。