コンドラチェフの波

経済を勉強した人であれば今さら何を、という景気循環の話。
景気循環には色々なサイクルがあって、昔の経済学者がいろいろな説を発表していますが、その景気循環のサイクルの中で一番長いとされているのがコンドラチェフの波。
100年ほど前に生きていたロシアの学者、コンドラチェフが発見したとされる、社会構造の変革や技術革新による50~60年ごとの景気変動の波です。
経済新聞もそうですが、経済学というものは、学問ですから、あくまでも過去の検証であって、将来こうなるということは誰も教えてくれません。だから、私ははなから信じておりませんし、熱心に勉強もしてきませんでしたが、第一、経済学の元祖である古典経済学のアダムスミスが「国富論」を書いたのが今から250年ほど前で、コンドラチェフの時代からしてみたら150年前の話ですから、たかだか150年の過去を振り返って、50~60年周期で景気変動が起こるという説も、私たちが将来を予測するための理論としては「どうなのよ。」というのが正直なところです。
で、なんで今日はコンドラチェフが出て来るのかというと、最近、選挙を前にしていろいろな党の党首のみなさんが、「日本経済を緩やかなインフレに持って行き、景気を良くして雇用を増やします。」と言っていることがとても気になるからです。
私は記憶にないのですが、過去に同じような話をしていたのが池田隼人首相。
昭和35年に総理大臣になり、「所得倍増論」を展開して日本を高度経済成長に導いた方です。
昭和35年といえば私が生まれた年ですから、記憶にあるはずもありませんが、子どもの頃、周りの大人たちに学校で習った「所得倍増論」の話を聞いたことろ、「給料は確かに倍になったけど、それよりも先に物価も倍になったんだ。」という答えが返ってきたことを思い出します。
経済学的に言えば、「1円も入ってこないけれど、1円も使わないお財布」よりも、「100万円入ってきて、100万円出て行ってしまったお財布」の方が、同じ「残金ゼロ」でも健全なわけですから、緩やかなインフレに導いて景気をよくするというのもわからないでもないですが、問題は、本当にインフレが調節可能なのかということ。
何だかんだ言って、結局はコントロールできなくなって、倍増どころか、2倍にも3倍にもなるんじゃないかというのが私の不安な予測。
結局、国家が天文学的な借金をしているから、それを帳消しにするためには一つの方法かもしれませんが、池田隼人首相の「所得倍増論」から50年を経て、もう一度コンドラチェフの波がやってくるのではないかと漠然と予感しているのです。
日本で育った今の30代以下の人たちは物価が上がるということを経験していませんので、物価上昇について実感がないと思いますが、私が10代20代のころはとにかく毎年物価が上がっていた。
銀行の定期預金金利が年に7%もあったのですから、物価はそれ以上のペースで上がって行ったわけです。
1967年に国鉄の初乗りが20円だったのが、1982年には120円になったのですが、今、JRの初乗りは140円。
1967年から15年で6倍に上がったのに、それから30年経って20円(16%程度)しか上がっていないのですから、いいかげん、そろそろ来そうな気がするのは地震だけではないのです。
缶コーヒーが1本500円になっても、アルバイトの時給が5000円になれば良いじゃないか、という人もいるでしょうが、過去のインフレの歴史においては、まず物価の上昇が先行し、サラリーはそのあとを追いかけるという図式が常でありますから、その時代に生きる人にとってはたいへんなことになると思うのです。
では私たちはどうやって物価上昇に準備したらよいのかというと、緩やかなインフレであれば不動産も良いかもしれないけれど、急激なインフレ時に力を発揮するのはお金や不動産ではありません。
そういう時は生産手段を持っている人が強いわけです。
ということは、サラリーマン集団の都会人よりは、田舎の人の方が強い。
戦後の混乱期に、呉服とお米を取り換えた話を耳にしたこともあると思いますが、生産手段を持っている人たちが住む田舎の方が、インフレの世の中には強いわけです。
ここにもローカル線と沿線地域が活躍する場があるということですね。
50年ぶりに地方の皆さんにチャンスがやってくるのです。
と、勝手に思う今日この頃であります。
さて、明日はどのような結果になるでしょうか。
皆さん、投票に行きましょう!