今、沖縄が熱い! その2

羽田と成田だけでなく、福岡、神戸、名古屋の合計5都市から那覇を結ぶ路線を一気に開設したスカイマークが狙ったのは那覇以遠の離島路線。
その中でまず目を付けたのが宮古でした。
那覇―宮古は177マイルの距離。普通運賃で17500円です。この距離はだいたい羽田から山形と同じ。時刻表上で50分間のフライトです。
ここにスカイマークは5800円という普通運賃で就航しました。
普通運賃ですから、変更可能な何の制限もない運賃です。
焦ったNUとNHは特割で5000円台と4000円台の運賃を出しましたが、他の路線との整合性が取れなくなるため、普通運賃は17500円のまま。
そしてスカイマークが出した特割は10日前までに買えば2800円というこれぞLCC的な超格安のものです。
これでは2社とも太刀打ちのしようがありません。
そして、1年後に石垣島に新空港が完成すれば、スカイマークは当然那覇―石垣線に就航し、沖縄のドル箱である2つの路線で主導権を握ることは明らかなのです。
(那覇―石垣間はほぼ東京―大阪間に匹敵する距離で、24100円。行けば実感できますが、どう考えても高すぎますね。)
NUもNHもLCCではありませんから、会社を変えない限り普通運賃を安くすることはできませんし、実際問題としてキャビンクルーが折り返しの時間に自分で機内清掃もしないような会社にローコストオペレーションなどできるわけがないのですから。
これが理由からかもしれませんが、最近沖縄の離島便には、便名は日本トランスオーシャン航空だけど、飛行機のもののはJALのマークをつけ、乗務員はJALエクスプレスという、何だかわからない便がたくさん飛んでいます。そういう便を選んで乗ると、クラスJも無料です。
しかし沖縄ってすごいところですよ。
石垣市の人口は約5万人。宮古市は約5万2千人。
どちらも人口的にはいすみ市と勝浦市を合わせた程度のところに、那覇―宮古はJTA9便、NH5便、スカイマーク5便の計19便。
那覇―石垣はJTA8便、NH10便の計18便のジェット機が飛んでいるのですから、我々のものの考え方や常識では沖縄の事情を推し測ることはできません。
離島を多く抱える沖縄では、県民割引といって、県民であることを証明する書類を持って旅行会社や航空会社の窓口で事前購入すると地元民だけが安く買えるという、インターネット等では表示されない特別な割引がありますが、(沖縄以外の人には買うことができないばかりでなく、その存在すら知らせていない割引) そんな面倒な割引制度を使わなくても、船便と同じ程度の金額で飛行機に乗れるようになったら、地元民はもちろん、県民割引制度の恩恵を受けることができなかった観光客ももっと増えるし、経済も良くなると私は思います。
スカイマークも他にドル箱路線があり、経営も安定してきましたし、いつの間にか飛行機も30機以上を所有する会社になりましたから、じっくりと腰を据えて沖縄戦略を展開していくことでしょう。
JALが放出したパイロットもたくさん採用できましたから、以前のようにたちの悪い外人パイロットを高いお金で雇うことも必要なくなってきているのです。
この沖縄戦争と言えるような航空競争で、今まで既存の会社がいかにおいしい商売をしてきたか、ということがバレるわけですが、今後、LCCが本格的に参入してくると、このように、既存の会社にとっておいしい路線がどんどん減ってくるわけですから、青い翼も赤い翼もどちらの航空会社の経営も安泰ではなくなるのです。
私としてはJRが航空会社に参入し、将来的に基本設備の維持に莫大なお金がかかる新幹線を補完する国内航空路線をJR自ら開設したら面白くなるだろうなあ、と思います。
ヨーロッパではフライトナンバーを付けた特急列車など、ずいぶん前に登場していますからね。
ところで、スカイマークのI先輩。
私だったら次に狙うのは高速バスや鉄道と競争にならない地域として、東京から鳥取、米子、出雲などの山陰地区。
この地区は、青と赤がきっちりと棲み分けができていて、おいしい商売をしているところですから。
それと、新幹線までまだ間がある小松。
四国は経済自体が委縮しちゃってますが、それでも松山ならまだ可能性があるでしょうか。
北海道内も道民の足として航空路線の供給は必須ですが、それは行政が考えればいいことですから、強いて言うならば函館程度にしておいて、地方都市の疲弊が全国的にみても顕著な北海道の道内連絡便は冬の気象の影響も受けやすいので避けるべきでしょう。
京阪神地区は関空ではお互いに痛い目に遭いましたから、神戸空港は正解ですね。
ただ、現状では大阪は経済のパイが東京に比べるとはるかに小さいですから、ハブとして拠点を置くメリットはあまりないでしょう。
このように考えますが、いかがでしょうか。
今後の展開に期待しております。
(おわり)