今、沖縄が熱い!

気温の話ではありません。
航空輸送の話です。
本日から新しい格安航空会社の航空券の販売が始まり、250円という記念運賃が売られたとニュースに出ていました。
いよいよ航空自由化か・・・
と思いますが、日本ではすでに競争が始まっています。
今、沖縄ではちょっとした航空戦争のような状況になっています。
事の発端はスカイマークの沖縄就航。
スカイマークは、日本の草分け的なLCC(格安航空会社)ですが、会社発足から10数年、苦しい経営を強いられてきました。
というのも、航空局をはじめとした行政が新興の航空会社を良しとせず、JL、NHを中心とした航空政策が当然のように行われていた中で、その壁を打ち破ろうとしたのですから当然と言えば当然かもしれません。
でも、時代の波は大きく変わり、今や国の方からLCCを導入しようという話が出る時代になりました。
成田空港でも、羽田の国際化に対抗するためには、成田にもLCCを呼び寄せようという動きになってきました。
私が勤務していた3年ほど前までは、成田空港に乗り入れを希望する航空会社は世界にまだ40社以上あり、そういう会社が空きを待っている状況の中で、現行の会社がスロット(発着枠)を維持するためには、申請したスケジュールフライトの8割は実際に運航しなければ、発着枠そのものを失うと言われていて、空席が多くて採算が見込めない時期の便でも、世界一高い着陸料を支払いながら、あえて飛ばしていた時代が長く続きましたが、羽田の国際化で、長い間そう言われてきたことがすべてウソだったことが白日の下にさらされたわけです。(ひどい話でしょう。)
成田空港がLCCの乗り入れに積極的になれば、「外国のLCCを入れるんだったら、まずその前にうちでしょう」とスカイマークが言うのは当然で、その結果として成田を起点としたスカイマークのフライトがいきなり増えました。
それまで成田から出るJL、NHなどの国内便は、国際線接続便としての性格が強く、利益が出るというタイプのものではありませんでした。
航空運賃というのは普通運賃では長距離で飛んでくると短距離がおまけにつく性質があります。(格安航空券は対象外です。)
ニューヨークから成田に飛んできても、成田を経由してさらに名古屋や大阪まで行っても航空運賃は変わりません。
ちょうど、新幹線で大阪や青森から東京駅について、そのまま東京で改札を出ても、新宿や池袋まで山手線に乗っても運賃は一緒なのと同じようなものですから、お客様からの運賃収入を見込めない国際線接続便はあまり積極的に営業したくない便であったわけです。
事実、私がいた会社が、かつて成田を経由して大阪までの国内区間を運航していた時に、他社から乗り継ぐ成田―大阪のお客様を受けても、1人当たり3~4000円の収入にしかなりませんでしたから、路線権を持っていてもありがたみも何もなかったのです。
ところが、スカイマークは成田を拠点としてはいるものの、ターゲットとしているのはあくまでも国内旅客。国際線で到着して乗り継ぐお客はその国際線を運航する会社に任せて、スカイマークとしては羽田が遠くていかれない人や、羽田便よりも安い運賃を設定して、そのためにわざわざ成田まで来ても良いと考えているお客様をターゲットにしているのです。
ちなみに同じスカイマークでも、羽田―那覇 普通運賃24800円に対し、成田―那覇 普通運賃16800円と8000円も安いのですから、交通費と時間をかけてでも成田へ行こうという需要があると見込んでいるわけです。
(ちなみにJL、NHの羽田―那覇 普通運賃は40970円です。)
成田へ就航して数か月の間に、旭川、札幌、福岡、那覇の4路線をオープンするということは、完全にハブとして考えているということでしょうから、今後、さらに路線網を拡大することが確実で、そうすれば、羽田便が満席でも成田便に補完機能を持たせることもできるはずですから、お客様を他社に取られる心配もなくなるわけです。
スカイマークはこうして外国のLCCが入ってくる前に国内線で確固たる地位を築くチャンスを自分のものにしようと、苦節10年以上の経験をバネに一気に路線拡大を狙っていますが、そのやり玉に挙げられたのが、沖縄なのです。
沖縄にはNHと共にJTAという沖縄をベースにしたJLグループの会社がかなりおいしい商売をしてきていましたので、そこにビジネスチャンスがあると目論んでいるのです。
(つづく)