日帰り観光地の宿命

房総半島など、東京から近い観光地は、日帰り観光地として人気があります。
でも、日帰り観光地では、その宿命として、お客様の出足が天候に左右されやすいという特徴があります。
日帰りですから、朝目が覚めて天気が悪ければ、出かけようという気持ちが薄れてしまうからです。
北海道や沖縄など、遠くへ行く場合は、皆さんかなり前から飛行機やツアーを予約されて行かれますから、雨でもなんでも、飛行機が飛ぶ限りお出かけになると思いますが、日帰りの観光地は、朝から雨が降ってしまうと、お客様の出足がパッタリと止まってしまいます。
居酒屋さんや水商売のようなビジネスでは、午後から夕方にかけて雨に降られると、「お茶っ挽き(おちゃっぴき)」と言って、お客様に全くいらしていただけない状態になったりしますから、せっかく仕入れた食材が無駄になったりして、お天気に左右されやすいのが宿命なのです。
これを少しでも解決するために、いすみ鉄道では「雨の日スペシャル」というサービスで、「雨の日には特別にいつもと違うヘッドマークを付けて走りますよ。」と宣伝して、「行ってみようか。」と思っていただけるような仕掛けをしていますが、これは、スーパーマーケットなどで行われている「雨の日ポイント3倍セール」などと同じ発想です。
いすみ鉄道の沿線は里山と田園風景ですから、雨が降ったら降ったなりに風情があって、水墨画の世界の景色もとても良いですから、皆さまに是非ご覧いただきたいということで、いらしていただくお客様のためにスペシャルサービスを行っていますが、おそらく日本では「雨の日スペシャル」として、特別サービスを行っている鉄道会社は他にはないのではないでしょうか。
今回の台風12号は進行速度が遅く、中部地方から近畿、中国、四国にかけて大雨で甚大な被害をもたらしてしまいました。
いすみ鉄道沿線では、幸いにして被害はありませんでしたが、それでも数日間にわたり、土砂降りの激しい雨が断続的に降りました。
そんな中、この土日には急行列車をはじめ、ムーミン列車にもたくさんのお客様がいらしてくれました。
急行列車だけで2日間で二百数十名のご乗車がありました。
JRのフリー切符の発売が終わり、夏休みが終わったばかりの9月最初の土日ですから、通常で考えてもお客様が多い時期ではありません。
それに加えて台風の余波の悪天候でしたが、そんな中で、別途急行料金300円をお支払いいただく観光列車にこれだけのお客様が乗りに来ていただいたのですから、本当に感謝、感謝ですね。
ということで、急行4号では国吉駅で停車時間を利用してヘッドマークの交換撮影会。
そして、皆さま方への感謝の気持ちを込めて、ヘッドマークを昨日は「さざなみ」、本日は「くろしお」とかつて房総を走っていた準急列車名を表示して国吉―大多喜間をラストスパートいたしました。
悪天候の中、昨日今日といらしていただきました皆さま、本当にありがとうございました。

[:up:] 雨の日スペシャルサービスとして「準急・京葉」のヘッドマークを付けて。9月3日 国吉駅