面接官の心得

私の後任となるいすみ鉄道の新社長の選考が終わったようですね。

 

まだ発表前状況のようですから、部外者が余計なことを言うと怒られますのでやめておきます。

 

でも、面接官って何を基準に選ぶと思いますか?

 

私は航空会社の幹部の経験もありますから、採用面接とかも面接官の側でいろいろ対応してきました。

その時の、面接官の心得ってたった一つなんです。

それは、「この人と一緒にチームを組んで働きたいと思えるかどうか。」

 

わずか数分間の面接ですよ。

相手は学校などでいろいろ指導を受けてテクニックを身に付けてくるわけです。

お辞儀の仕方、立ち方、座り方などなど。

一生懸命自分をアピールする。

私はこれができます、あれができます。こんなことをしてきた経験があります。

問題解決の実績もあります。

おそらく半分は嘘か、盛り込んできているわけですが、そういうことを見破るのが面接官の仕事ではありません。

 

みんな、そういうことをさんざん盛り込んで、自分をよく見せようとするのが面接ですからね。

私が面接官として心に決めていたことは、そういう前提条件の上で、「この人と一緒に働きたいかどうか。」

「この人が部下になって、失敗をして自分が責任を取れるかどうか。」

「この人と喜怒哀楽を共有できるかどうか。」

ただそれだけです。

 

航空会社の面接に来る人たちは、皆さんそこそこ勉強もできるし、クルー希望の人ならば、人あたりや身のこなしも全く問題ありません。「私はTOEIC800点以上です。」なんて人たちは普通なんですね。

でも、40年前の私たちのころはTOEICなんてものはありませんでしたから、「僕、英検2級です。」という人間が面接するわけです。

そういう時に大切なのは、「この人と一緒に仕事をしたいと思うか。」「この人を自分の部下にしたいと思うかどうか。」なんです。

 

なにしろ、最終面接まで残る人たちですからね。そこそこ優秀で、それなりに自分をよく見せようと頑張ってるわけですから、飲み屋でお姉ちゃん1人口説けないようなおっさんが、わかるわけないんです。

 

実は今日、ある人を紹介されました。

その人は公務員です。

そう、私の大嫌いな職種。

でも、その人とお話をさせていただいているうちに、「ああ、この人となら、一緒に仕事をしてみたいなあ。」という気持ちになったんです。

何の予備知識もなく、先入観もなく、ただ紹介されてお会いして、マニアじゃなさそうなんですが、蒸気機関車の話をして。

不思議ですよね。

こういうのを御縁というのでしょうか。

 

考えてみれば、成田空港時代に私が面接した人たちも、今は結構活躍している人材がいますけど、振り返ってみると、「一緒に仕事をしたいと思う人たち」という基準で選んで良かったなあと思います。

 

ということで、いすみ鉄道の取締役の皆様方が面接して採用される新社長さんですから、きっと素晴らしい方に違いありません。

 

前社長としてはしっかりサポートしていきたいと考えております。

 

もっとも、「お前なんか来なくてもよい。」と言われるかもしれませんが。

 

もう間もなく発表があると思いますが、皆様、どうぞご期待ください。