いすみ鉄道乗務員養成計画

これは社長である私の頭の中にある長期計画です。
国鉄時代、千葉鉄道管理局(現JR東日本千葉支社)管内は「気動車(ディーゼルカー)王国」と呼ばれていました。
電化区間は千葉までで、館山、勝浦、銚子、佐原方面はディーゼルカーによる運転が行われ、優等列車(急行など)は両国、新宿からディーゼルカーが直通していました。
その後、徐々に電化が進捗し、昭和50年ごろまでには幹線の電化が完成し、国鉄のディーゼルカーは久留里線と木原線(現いすみ鉄道)のみになってしまいました。

今、いすみ鉄道に勤務するJR出身の運転士さん達は、このころまでに動力車乗務員資格を取得した方々ですから、いすみ鉄道のディーゼルカーに乗務することができるのですが、それ以降に運転士になった人たちは、ディーゼルカーではなく、電車で運転資格を取った人がほとんどで、ディーゼルカーに乗務できる運転士さんは少数派なのです。
そして、国鉄時代の気動車王国と言われたころにディーゼルカーの運転資格を取った人たちは、もう皆さん還暦を迎える年齢になっているのです。
つまり、今のいすみ鉄道の運行を支えている運転士さん達は近い将来乗務できなくなる年齢に達し、今後、JRからいすみ鉄道に乗務できる運転士さんを供給していただくことが非常に困難な状況にあるのです。
ところが、いすみ鉄道には現時点では経営に体力がありませんので、大手のように新卒者を採用し、一から養成することは不可能な状況で、職業として若い人の一生を保証する会社の状態ではありません。
こういう現状を踏まえて苦肉の策として生まれたのが訓練費用を自分で負担して乗務員になっていただく「自社養成乗務員訓練生」制度。
航空業界出身の私にしてみれば、航空業界ではあたりまえの自費訓練生も、日本の鉄道では歴史上始まって以来の出来事ですから、いろいろ賛否両論はあると思いますが、結果として昨年5月に入社した訓練生たちは、夢の実現に向けて、毎日、真剣な表情で訓練に臨んでいて、そういった新しい風が、会社内に活性化をもたらしています。


ということで、近日中に、第2期生の募集を行う予定です。
今年は募集開始に先立ち、事前エントリー方式で登録していただきます。
我こそはと思われる方は、そろそろ履歴書をご準備ください。
キハ52が入線し、臨時列車として運転することを考えると、向こう5年以内に12名の乗務員、検修員(乗務員資格所持者)が必要になります。
幸いなことに現在訓練を受けている4名が全員正社員の乗務員を希望しておりますので、必要人数まであと8名ですが、入社後約2年の訓練期間がかかることを考えると、毎年若干名ずつ採用して訓練をしていかなければなりません。
今年は2~3名の採用となる予定です。
今年はどのような方が採用されるかは分かりませんが、当初5年計画でこの自社養成乗務員訓練生の採用を考えていましたが、おかげさまで会社の存続が決まり、正社員希望者も出てくるようになりましたから、募集も今年と来年ぐらいまでになるでしょうか。
その後、地元の高校を卒業した若い人を採用して、1から養成できるようになれば、会社の体制も整えられると考えています。
これをチャンスだと考える皆さま、チャンスの神様の前髪をつかむことができるよう、お早めにご準備くださいね。