おかえり上越 2日目

昨日からのダイヤ改正で登場した毎日走る臨時列車「おかえり上越」。

3月号の時刻表には乗っていないミステリー列車ですが、2日目の今夜は上越妙高発時点で13名のお客様にご乗車いただきました。

「たった13名? それだけのためにコスト掛けてどうするの?」

そういう方もいらっしゃると思いますが、それは遠くの大都市の話で、田舎のローカル列車が夜の8時半に10名以上のお客様がいらっしゃるということは、大きな需要なのであります。

この時間、新幹線の「はくたか」が金沢方面と東京方面から2本到着します。
その2本を受ける電車がやはり2本ありましたが、JRの車両を使用していた関係で、今回の改正で2本ともなくなってしまいました。

次の列車まで小一時間待たなければなりません。

おそらく今日ご乗車いただいた13名様は、この臨時列車の存在を知って乗ろうと思われたのではなくて、今まであった列車として、何の疑いもなくご乗車されたんだと思います。

でもね、そのうちの2名。
おそらく金沢からの「はくたか」で到着された方だと思いますが、ホームで唖然としていました。

「あの~、しらゆきは今日はないのですか?」

すかさず車掌のS君が、
「お客様申し訳ございません。しらゆきはダイヤ改正で列車がなくなってしまいました。」

そんなこと言われたら唖然としますよね。

すかざずS車掌。
「この列車で直江津まで行かれて、信越本線にお乗り換えいただくと、長岡から新潟行の最終に接続いたします。」

この「最終に接続します。」ってのがどうやら魔法の言葉のようで、「今日中に帰れますからご安心ください。」と聞こえるのでしょうね。

お客様はホッとした様子。

まったく同じ方がもう1名。
S車掌は同じ対応でお客様にご案内していましたが、私はなんだかお客様が気の毒になりました。

鉄道ってのは、走ってて当たり前。
水や空気と同じようなものなはずです。
「電車が走ってくれてありがとう。」なんてことは、本当はあってはいけないんですよね。
と、私は思います。

その当たり前の列車が、駅に来たら「無くなりました。」って言われたら、これは悲しいことだと思います。

この2名の方は新潟方面へ行かれる方でしたが、もしこの臨時列車が無かったら、残りの11名様が同じように唖然として、同じように悲しくなって、私だったら「バカヤロウ!」ですから、やっぱり運輸部を説得してでも走らせて良かったなあと思うのであります。

ちなみに高田からも7名の乗車がありましたから、数は少ないとはいえ、人口減で過疎化が進む田舎の電車としては、地域の足になっていると思います。

ネットで調べたら、「しらゆき」がなくなったら新潟までこんな乗り継ぎになるんですよ。
直江津で40分、長岡で40分。
この寒空の下で待たなければなりません。

これは何を意味するかと言うと、「乗ってくれなくて結構です。」と言っているようなものですから、「バカヤロウ」ですよね。

コロナで乗客が減って経営危機だから、どんどん列車を減らします。
なんか違うんだよなあ。
そうやってこの国の鉄道は過去50年間ダメになってきているんですから。
なんか違うんですよ。

(と、経営者の私が言うと行政関係者から怒られるというのが3セクの仕組み。
これも、なんか違うと思うのですが。)

でも、ネットの時刻表にはちゃんと「おかえり上越」って書いてある。
うれしいなあ。

そう考えると印刷物としての時刻表も「バカヤロウ」かもしれませんね。
どんどん時代は変わっていくのであります。

あっ、そうそう。
「バカヤロウ」というのは、うちのカミさんの口癖でして、私はいつも言われる立場にあるものですから、つい。

悪く思わんでください。

「おかえり上越」
皆様のご乗車をお待ちいたしております。