早いものでもう一か月

早いものでもう一か月たちました。

色々見えてきました。
地域のことも会社のことも。

これからどんどん加速していかなければなりません。

私のことを「スピードが速くてついていけません」と言う人がいつの時代にもどこの会社にもいるものですが、それはその人が「世の中は変わらないものだ」と思っている証拠です。
でも世の中は毎日変化しています。
60を過ぎて、名ばかり管理職をやっている人たちは、自分に都合が悪いことは見ないようにする傾向があります。
そういう時にどういうことを言うかと言うと、「社長のスピードには付いていけません。」と自分を肯定するために人を否定するわけです。

いやいや、それはあなたが世の中の変化についていかれないだけであって、世の中は常に変化しているということを受け入れようとしていないからなのですよ。

特に鉄道屋さんとなると、そういう人が多い。
毎日同じ時刻で同じところを列車を走らせている。
ここで加速のノッチを入れて、ここでノッチオフ。
この電柱のところでブレーキをかけると、ほぼほぼきちんと停止位置に列車は止まります。
そういうルーティンの仕事が当たり前だと思って何年も何十年もやっていると、「俺は毎日まじめに仕事をしている」という気持ちになります。

そういう人に、世の中は変化しているんだよと言う話をすると、「俺はまじめにやっているのに、俺のどこが悪いんだ」となるのです。

そういう人が会社の幹部に居ると、下の人たちも、そりゃあ毎日同じことをやっていて、それで許されるのであればこんな楽なことはありませんから、水が高いところから低いところへ流れるように、若い人たちも楽な方へ楽な方へと流れていくのであります。

これすなわち鉄道会社のDNAでありまして、ひと月やってきて、どうやらここにも同じDNAがありそうだな。それも会社のいろいろな部門でありそうだなと気が付いてきました。

でも、60過ぎた、たまたまその仕事に長く居るだけで管理職になったような人たちは、自分ではどうして良いのかわからないにもかかわらず、プライドだけはありますから、「社長はああ言うけど、俺は間違っていると思う」とか言い始めて、否定してかかるようになる。

女性に振られたときに言われたことあるでしょう。

「あなただけは違うと思っていたのに、やっぱり男の人ってみんな同じなのね。」

そして、「さようなら」

そういう時に振られた男はプライドがありますから、素直に非を認めずに、

「あんな女、こっちからお断りだ!」

とか言ってやせ我慢するのと構図は全く同じ。

なぜなら、DNAだからです。

ということで、3社目の鉄道会社で、ひと月が経過していろいろ見えてきた本日でありますが、この会社はまだまだ全然大丈夫だと確信しているのも事実で、なぜなら、管理職の皆様方も素直で勉強熱心とお見受けするからです。


人間、素直であることと勉強熱心であることは向上する第一条件でありまして、次に必要なのは勉強したことをどう実践するかということでありますから、つまり、あとは実践するだけなのでありまして、だとすれば自ずと結果はついてくるから、私はこの会社は大丈夫だと、ひと月で確信するに至ったのであります。

ただし、問題があります。
それは、トーマスが空いているということです。
空席がたくさんあるのです。

鉄道業というのは装置産業です。
装置産業というのは稼働させればさせるだけ収入が増えるという構造があります。
つまり、同じ列車なら2両よりも3両、3両よりも4両と車両を長くすれば、同じ経費でも収入が増えるのでありますが、その列車が空いているのです。

でもって、もう一つの特徴としては、「供給の保存ができない商品」を販売しているということです。
つまり、どういうことかと言うと、今日売れ残った商品を明日売ることができないという性質を持っているということです。

その商品というのは「座席」です。

今日の空席は明日売りましょうということができない。
他の商売であれば、今日売れなくても明日売ることができますが、列車の座席という商品は、その列車が出発してしまえば商品価値はありませんから、もう売れないのです。

だったらどうするか?
夕方になるとスーパーの刺身が半額になるのと同じように、今日の座席を何とか売って現金化する必要があるのですが、今の大井川鐵道にはそれをすることができないのです。

だから、もったいないことに、空席のまま列車は発車していくのです。

でも、朝の第1便は空席が多くても、お昼の第2便はたくさんのお客様にご乗車いただいています。
そして、午後の第3便はこれまた空席が多い。

じゃあ、どうするんですか?
どうやってこの空席を現金化するんですか?

ということがこの鉄道の課題なのであります。
ということが見えてきました。

だから、その部分をどうやって対策していきましょうか、というのが本日の会議のテーマ。

でも、私は思うのです。
ローカル鉄道って、混んでるの嫌ですよね。
のんびり座れるぐらいがちょうどよいのです。
幼稚園の子供を連れてきて、せっかく乗りに来たのに、
「キップを持っていないお子さんは膝の上に乗せてください」
なんて、どこかの会社の特急列車みたいに言われたら興ざめでしょう。
だから、ご家族で1ボックス占有されたい方は、朝の1便目か午後の3便目が狙い目ですよ。
予約してなくても、当日直接いらしていただいても、1便目と3便目なら9割以上の確率でご乗車いただけますから。

ということで、ひと月が経過して、明日からは8月なのであります。

8月3日は家山駅で地元の皆様がマルシェを開催していただけます。
皆様どうぞお越しください。