このごろ 都に はやるもの

田舎にいると感じるのは自分たちの地域から外へ出ない人が多いということです。

会社へ行くのも買い物に行くのも同じ地域の中がほとんどです。
埼玉や千葉のように電車に乗って毎日東京へ通っている人たちとは基本的に常識が違っています。

田舎の常識は田舎だけで通じるものなんですが、田舎にいるとそれがわからない。
まぁ、田舎で生活している分には問題ないんですが、観光業のように「都会からどうしたらお客様にいらしていただけるか。」というようなことを考えるブレーンの皆様方が、自分たちの地域から出たことが無ければ目も当てられないということになります。

なぜなら、今の田舎は全国共通の問題として、都会の人たちにどうしたらいらしていただけるかを考えることが必須課題ですから、都会の人たちが何を考え、何を求め、どうしたら「行ってみようか」と思っていただけるコンテンツを提供できるかなどということは、普段地元から出たことがない人達には知る由もなく、そういう人たちが「今度何をやって行こうか」と考えているような組織は、すなわち頓珍漢なのです。

まぁ、日本は人口が減っていくのですから、田舎の町が全部が全部残れるわけではありませんから、頓珍漢なところは「さようなら」となることも事実で、地方創生が叫ばれてしばらく時間が経ってきていますから、そろそろいろいろなところで分岐点が見えてきているのではないかと私は思います。

そんなわけで私は自分の家に帰る道すがら月に1~2度は東京を歩いていますし、都会以外でも自分から進んで日本全国いろいろなところを歩いて、その町でどういうようなことが行われているのかということをこの目で見ています。
会社の若い人達にもできるだけいろいろなところを見てもらおうと考えていますし、逆に言うと自分の町から出ない人たちの意見は聞いても頓珍漢ですから、そういう人たちと話をするときには、勉強していない人がどういう意見を言うのかを興味深く聞かせていただくことにしています。

ということで、昨日今日はお休みをいただいて、昨日は茨城県の龍ケ崎市を歩きましたし、今日は前から食べて見たかったものを食べに、新幹線に3時間も乗って東北の町にやってきました。

その、前から食べてみたかったものというのがコレです。

10段巻きのソフトクリーム
260円

カミさんに話したら、「知ってる。テレビで見た。私も食べてみたい。」とのたまわりましたが、交通費が往復で3万円もかかるので、一人でやってきました。

これ、すごいでしょう。

KEの同期の吉川さんがこのあいだ写真をUPしてましたので、そうだ、俺も行ってみようと思ってやってきたのであります。


基本、箸で食べるのです。


中は空洞になっています。

建築物として考えた場合、基礎の構造が大切だと思ったのですが、基礎はこんな感じでした。
ソフトクリームの固さで支えているといった感じでしょうか。

見かけほどにもないヤツでした。
完食です。

何を言いたいのかというと、この町に私は何の用もなく、ただ、このソフトクリームを食べてみたい一心で新幹線に乗ってやってきて、来たからには泊まりますからお金が地元に落ちる。
そして、また来ようと思ってもらえる仕組みを作ればリピーターになるわけですから、こういうことが人を呼ぶコンテンツを作るということなのです。

ここは昭和のデパートの食堂の雰囲気で、大人から子供まで食べられるメニューがこんなにたくさん。
ラーメンと、ナポリかつが大人気のようですから、これはまた来なければなりません。

やめちゃったデパートの最上階の食堂なんですが、食堂だけでも復活させようということで、今でも大人気の集客スポットなのです。

私が訪ねたのはお昼ご飯を時間をとうに過ぎた午後3時。
それでもひっきりなしにお客さんが入っていて活気がありました。
町中はご多分に漏れず、シ~ンとしているのですけど、つぶれた百貨店の6階の食堂だけがにぎわっているという不思議な光景でした。

この町は新幹線があって高速道路があって飛行場もある。
温泉もあって、観光列車としてSLも長年走っていて、それでもシ~ンとしているんです。

もちろん歴史もありますよ。
有名な文豪を輩出していて、町中にはいろいろな仕掛けがあるのです。

歩道にはこうしたタイルが敷かれていて、これは銀河鉄道の夜ですね。

こちらは双子の星。
私が中学生の時読書感想文を書いて板橋区で表彰されたのが双子の星ですから、すぐにわかりました。

町中にはオシャレな街灯がついていて、よく見ると30年前に作られたもの。
今まで何もしてこなかったわけではなくて、いろいろやってきている。

一部の地域では電線地中化もしています。

中心市街地活性化云々って、よく聞くやつですよ。
でも、これだけいろいろやってきて、結果として町の中はシ~ンとしている。
そして、つぶれた百貨店の最上階で復活した食堂だけがにぎわっているのです。
百貨店はやっていませんよ。
エレベーターは途中階は通過で6階の食堂へ直行ですから。

私は思うのです。
こういう状況は何もこの町の人たちが悪いのではなく、全国共通の構造上の問題があるはずで、そこを解決しなければいくら歴史があってもインフラがあってもどうにもならないでしょう。
つまり、今までのやり方の延長線上に未来はないということは歴然としています。

でも、キラリと輝くコンテンツが1つあれば遠くからでも集客することができる。
これが今の世の中の動きなんでしょう。
そこに未来へのカギがあるということになるのではないでしょうか。

たぶんこの町の次の課題は、この食堂をどうやって維持していくか。
建物は老朽化していますから、そういつまでもというわけにはいかないでしょう。
だからといって更地にして食堂だけにしても魅力はありません。

やっぱり昭和の雰囲気が残るデパートの食堂というのが売りですから、それをどうするかでしょうね。

この食堂が人気を得たのは、もしかしたら偶然かもしれません。
でも、その偶然をどう活かせるかということが実力ですから、この町のリーダーの皆さん方が、しょっちゅう都会へ出かけて行って、今都会では何が人気なのか、都会の人たちが何を求めているのかということを、一生懸命勉強していることを願うばかりです。