確かに私はここに来た

今日は秋田県の小坂鉄道レールパークを訪ねました。

http://kosaka-rp.com/

小坂鉄道といっても知らない人が多いと思いますが、それもそのはず。
2009年4月に廃止になった鉄道です。

といっても、2009年まで走っていたのは貨物列車で、旅客列車が走っていたのはもう30年も前の1994年までですから、時刻表の地図でいくら小坂鉄道を探してもなかなか出てきません。

でも、その2009年に廃止になった小坂鉄道が大切に保存されていて、レールパークになっているのです。

ブルートレインも保存してあって、今年は中止していますが、宿泊もできるようになっています。

でもって、私の頭の中に15年前にここに来た記憶がよみがえりました。

私が訪ねたのは2008年1月。
そろそろ小坂鉄道に廃止のうわさが流れてきていたので、今のうちに記録しておこうとDVDを作ったのです。

https://www.pacina.co.jp/shopdetail/000000000579/
高いから買わなくても良いですよ。

大館のルートインに4日間泊まって撮影したのです。

友人に車で案内してもらったのですが、DVDジャケットの写真を撮ったのがここです。

列車の運転席から見た光景です。
皆さん腕木信号機というのはご存じだと思いますが、右側の2つ腕木が下がっているのが通過してもよいという信号です。
上の赤い方が場内進行、
下の黄色い方が出発信号機が進行を示しているという現示です。

つまり、この列車は駅を通過する列車で、信号喚呼は
「場内進行! 通過進行!」

この2つ下がる腕木信号機は因美線の急行「砂丘」を最後に、日本ではここでしか見られない信号機だったのです。

私はこれを記録しておきたかった。

なぜなら、腕木信号機とペアになるのがタブレット(通票)。

通過列車が通票を投げ渡して、走りながら受け取るというのも、日本ではここが最後だったのです。

まして貨物列車をけん引するのが2~3両のディーゼル機関車。
いわゆる重連、三重連というヤツです。

地味な貨物鉄道で、たっぷり撮影したのでDVDは2巻組で税込み7000円を越えますからほとんど売れませんでしたが、それでも何とか残せてよかったなあと、今でも思います。

その場所へ、今日、やって来たのです。

向こうから貨物列車がやってきました。
「お~い、ここだ!」と駅員さん。

通過列車ですから前の駅からのタブレットを走行中に投げ入れます。

そして次の駅へのタブレットをバシッと受け取るシーンが、日本で最後まで繰り広げられました。

上の写真で列車に向かって「お~い」と手を上げている駅員さん。
列車待ちの間にいろいろとお話をしてくれましたが、当時すでに80歳を越えられていて、「こんな年まで働いて死ぬんだ。」と笑っていたのが印象に残ります。

保存会の方にお聞きしたところ、数年前にお亡くなりになられたとのことですが、15年前に80を超えていたのですから、そりゃそうでしょう。
鉄道に生涯を捧げられた人生だったのですね。

駅は地元の皆様方と保存会の方々によって、今でも当時のままに保存されています。
大雪が降る地方ですし、広い構内は草刈りもたいへんでしょうけど、こんなにきれいに保存されているのを見ると、これを資源として地域振興に役立てられないかと考えてしまいます。

思いがけなく、寄り道をして、昔の面影がそのまま残っているのに感動しました。

そう、ボクは15年前に確かにこの地に立ったのです。