今日はくびきのレールパーク

今日はくびきのレールパークのイベントにお邪魔しました。

上越市頸城区百間町にある元頸城鉄道の百間町駅には今から50年以上も前に廃止された軽便(けいべん)鉄道、頸城鉄道の車両が保存してあって、年に数回公開イベントが行われています。

昔は鉄道を敷設するには国の許可が必要で、つまり、国鉄でしたから勝手に線路の延長申請をしても免許がもらえなかったんです。
そこで、線路の幅が狭い小さな鉄道なら許可が不要だということで、これが軽便(けいべん)鉄道なんですが、自分たちの村や町に鉄道が敷かれないところは、国鉄の駅からこういう簡易な鉄道を伸ばして線路を敷いて、物の輸送や人の輸送をしていたのです。

こういう鉄道が全国各地にありました。
先日青森恒憲さんのトロッコの本でお知らせした糸魚川にあった東洋活性白土という工場の専用線も軽便鉄道の一つで、工場で作られた製品を国鉄の貨物に積むための出荷路線でしたが、頸城鉄道も同じで、くびきや浦川原といった地域の産物や人を国鉄の黒井駅に接続して輸送するために、大正の末期に開業し、1971年(昭和46年)まで走っていたのです。


この頸城鉄道に保存されているコッペル2号機という機関車は明治の末期か大正の初めにドイツで作られた機関車で、正直申し上げて直江津にあるD51827よりもはるかに貴重なものなのです。

以前にも申し上げましたが、コッペル2号機は頸城鉄道が廃止された翌年の1972年、つまり、鉄道百年の年に埼玉県の西武山口線に移籍してきましたので、首都圏唯一のSLということで大人気になり、私も何度も足を運びました。

地元の人はそういうことを知らない人がほとんどだと思いますが、頸城鉄道というのは鉄道好きの間では全国区なのです。


これは受付で見せていただいたイベントの来場者がどこから来たのかというチェック表ですが、地元はもちろん、上越市外からの人たちもたくさんいるでしょう。
その内訳は首都圏や大阪からも。


こちらは昨日の状況だとのことですが、田んぼの中の保存鉄道に400名を超える方がいらしてくれて、市外からもたくさん来るという事実を見れば、全国区だということがお分かりいただけるでしょう。

つまり、1つの観光コンテンツとして立派な集客のツールとなっていることがわかります。地域にお金を落としているんですよね。


ボランティアの一人、高田高校の倉辻君

彼のような地元の若い人が、この鉄道の価値を理解してボランティアに参加してくれていることが本当にありがたいことなのです。

まぁ、鉄道が輸送手段以外にも様々な使い方があるんだということは、13年前に私が前職に就くまでは誰も言いませんでしたからね。
「乗って残そう」→「乗らなければ廃止」
この構造から抜け出すのに何年かかったことか。

どこかの田舎の方では今でも使い方がわからずに捨ててしまおうとしているところもあるようですが、ここ上越では、地域の皆さんがしっかりと支える活動をしてくれているんですから、さすが鉄道の町というだけありますね。

あとはもう少し永続的に維持運営できる仕組みがないと、文化的な国とは言えませんよね。
観光立国を宣言するんですから、そういう仕組みを早急に作りましょう。

ヨーロッパでは当たり前のことが、この国でできないとなると、観光で勝負するベースができていないことになると私は思います。

保存会の皆様、今回のイベントお疲れさまでした。
お天気がよくて本当に良かったですね。

私も一安心です。

コッペルも貴重だけどこちらの内燃車も貴重ですね。
そして動くんですから。

若い皆さんが参加してくれると未来が拓けていくと思います。