JRが品川の車庫でレアな車両を集めた撮影会を行ったというニュースが流れてきました。
そのニュースを聞いて私は「???」と思いました。
その「???」というのは、車両基地で撮影会をやった場所が駅のホームのすぐ横らしいのですが、ホームから撮影会で並んでいるレアな車両を撮影させないために、ホームと会場との間の線路に電車を留置させてホームから見えなくしたらしいのです。
その撮影会は有料で入場料金が1人27000円とのこと。
それだけのお金を払って集まって来てくれたお客様の手前、ホームからタダで写真を撮らせるわけにはいかないということなのでしょうか。
たまたまそこに電車を留置するスケジュールなら仕方ありませんが、撮影会場をホームから見えなくするためにわざと電車を置いたとしたら、どうなんでしょうねえ。
もしそうだとしたら、JRという会社の品格というか、品性というか、そういうところが疑わしくなりますね。
といっても、お断りしておきますが、私は自分自身が品格や品性を持ち合わせているとは思っておりませんよ。どちらかというと持っていないと言った方がよいかもしれませんが、第一、基本的にそういうものは自分で言うものではなくて、周囲から評価されるものですから、まぁ、私としてはこのニュースを聞いてJRという会社は図体ばかり大きいけれど、いったい何なんだろうねえ、と思った次第であります。
以前から気になっていたのですが、JRは自由席がどんなに混んでいても、指定席に空席があるからどうぞと言って誘導することは基本的には一切しません。何もグリーン車に誘導しろとは言いませんが、同じ普通席ですから自由席と指定席は何ら変わりがありません。だったら指定席に空席があれば、その席にお客様が来るまでは自由席の人を座らせても何にも問題はないはずです。
自由席で立っている人の中にはいろいろな事情がある人も多いと思います。
まして、ノンストップの新幹線なら例えば上りの「のぞみ」なら名古屋を出れば指定席のお客様は乗ってきませんから、混んでいる自由席からお客様を誘導しても何も問題ないはずです。
でも、やらない。
まぁ、ときどき、盆暮れの超混雑時などは旅客指令からの指示で指定席の通路に自由席のお客様を誘導することはありますが、そういうことはごくまれなケースで、担当乗務員が自分の判断で混雑する自由席から指定席にお客様を誘導することはやらないのです。
※注:こういうことをずっと言い続けてきたら、最近では全車指定席にして、指定券を持っていない人は空いてる席にどうぞ。ただしその席の指定券を持っている人が来たら席を譲ってあげてくださいね、というような列車も走らせ始めています。
もっと「???」と思うのは「○○号車のトイレはグリーン車のトイレです。普通車のお客様はご利用できません。」とアナウンスしていること。
こういう会社って、どうなんでしょうねえ、と思うのです。
例えば航空会社の場合ですが、長距離国際線ではトイレが混雑する時間帯があります。特にエコノミークラスのトイレには行列ができることもしばしばですが、そういう時に乗務員は前方のビジネスクラスやファーストクラスのトイレの空き状況を確認して、空いていればエコノミークラスのお客様をそちらへ誘導します。
少なくとも私が以前勤務していた会社はそうでしたし、日本航空もそういう対応をしています。
「お前たちはエコノミーの人間なんだから、じっと順番を待て。」なんて態度は絶対にしません。
そう考えると「グリーン車のトイレは普通車の人間は使うな!」と言い切っている会社ってわたくし的には「???」なのであります。
では、なぜJRがそういうことを言うかというと、JRという会社は広く一般を対象とした会社だからです。どういうことかというと、JRの商売は100人人間がいたら90人以上が納得する商売じゃなければダメだからです。
そういう商売を長年やってきた会社が、27000円の料金を徴収して撮影会を行うような商品、つまり100人中90人はお客様にならないですよね。多分100人のうち3人か5人しかお客様にならないような、いわゆる尖った商品を企画したからなのだと思いますよ。
グリーン車だって100人中10人を相手にしている商品でしょう。
そういう商品をお買い上げいただくお客様は「特別な人」として扱わなければなりませんから、「グリーン車のトイレは一般の人は使うな。」とか、「撮影会に参加していただいた人に不公平感を与えないように電車を置いてホームから見えなくする。」といったことをやるのだと私は思います。
航空会社の商売はどちらかというと100人中30人か50人を相手にしている商売ですから、簡単に言うと「飛行機はイヤだから乗りたくない。」という人にまで「ぜひ乗ってください。」ということはする必要はない商売なんです。
でも、生理現象を我慢して並んでいる人がいたら、サービス業に携わる人間としては、グリーン車のトイレでも「どうぞご利用ください。」というのは人として当たり前のような気がするのですが。
まぁ、100人中90人以上を相手にする商売だと中には変な人もいますから、最初におことわりしておかないととんでもないことになる、かも知れない、ということもあるのでしょうけどね。
トキめき鉄道で走らせている観光列車「雪月花」や413系観光急行列車などは、どちらかというと100人中10人以下の人をターゲットにした尖った商品ですから、私としては万人受けするような対応は必要ではないと考えていますが、それでも、夜行急行などは通常料金1ボックス18000円に対して、一部座席を学割シートとして3分の1の6000円で販売しております。
なぜなら、次の時代を作ってもらう若者たちに夜行列車というものをぜひ経験してもらいたいからですが、今回の27000円の撮影会を実施してみて、JRの職員の中にも「???」と思う人がいるでしょうから、そういう品性のある人たちから次回以降、何らかの工夫が出てくるのではないでしょうか。
今回の撮影会では「金払ったんだから当然だろう。払わないやつらに撮らせることはないだろう。」というご意見の方もいらっしゃるようですが、そういう人達も表題を疑われるのではないかと思います。
なぜなら飛行機の場合、ファーストクラスに乗られるような方は「エコノミーの客にどうしてトイレを使わせるのか。」というような人はいませんからね。
グリーン車の乗客が「どうして普通車の客がトイレを使うんだ。」と言うとしたら、まぁ、その人も表題を疑われるのではないかと思うのであります。
今から20年近く前、金沢の車両基地でヘッドマークを取り換えながらの撮影会に参加した時の写真です。
私も一応こういうところに参加しているのです。
まぁ、しかし、そんな私に向かって「社長は自分の趣味で好きな電車を走らせてるのか。そんな奴はやめさせろ。」というご意見もあるようですが、そういう方は尖った商品をご理解いただけない方かも知れません。
私は趣味で電車を走られているわけではなく、電車を趣味とする人たちが何を求めているのかがわかるのです。だから、それがお金になるのなら私は当然のようにやりますよ。少しでもお金になって、地域を振り向いてもらえるのであれば地域の宣伝にもなるし、地域にお金が落ちるのですから、一石二鳥、一石三鳥にもなるのです。
そういう私のやり方をJRの幹部の皆様方も長年見ていますから、そのJRが2万も3万もする撮影会のようなことを始めるということは、世の中そういう時代になってきているということですから、こちらももっと尖った商品を考えなければならないのです。
ちなみに、今、ごく小さなマーケットに向けてお一人様19万円の雪月花コースを発表したところ定員の2倍以上のお申し込みをいただいて抽選になっているようですが、そんな商売をする私は品性も品格もないということになるのでしょうかね。
これも地域にかなりお金が落ちるような仕掛けになっているのですけれど。
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