夜行列車
何と郷愁を誘う響きの言葉でしょうか。
演歌だけじゃなくてフォークソングや様々なジャンルの曲でも題材になっています。
小説やエッセイなどにも登場しています。
その夜行列車は国鉄からJRになって、「面倒くさいから」ということでことごとくやめてしまいました。
以前にも書きましたが、新幹線という麻薬を覚えてしまうと、莫迦らしくて地道にコツコツ稼ぐような、そんな列車はやりたくなくなる。
新宿のバスタを見ていると各方面の地方都市へ多種多様の夜行バスが出ています。
ということは、この国には夜間に移動するという需要が確実にあるわけで、でも、そんなことは非効率だからと鉄道会社はその需要を取りに行かないということです。
そんなごみ拾いみたいな細かな仕事は俺たちのやる仕事じゃないから、バス会社がやればよい。
どうもそんな風に言われているような気がします。
でも、夜行需要というのは確実に存在するわけでありまして、バスでも良いということは、列車でも別に寝台車じゃなくてもよいということになりますから、特急列車が折り返し夜行列車になって走ることをすれば、車両運用効率も上がりますし、オペレーションコストも下げることが可能だと思います。
国鉄からJRになるころ、自由席がついている急行の夜行列車よりも寝台車の特急列車の方が高いお金が取れるからと、武士の商法のように寝台車だけにしてしまって、「さあ、これで儲かるぞ。」と言ったところ、乗客からそっぽを向かれてしまいました。
さらに、寝台車は目的地に到着したらそのまま昼間は車庫でお寝んねしますから、車両運用効率が悪い。
ということで、結局寝台車も全部やめてしまいましたね。
でも、確実に夜行需要というのは存在していて、それが今、コロナで少し静かにはなっていますが、都市間の夜行だけじゃなくて、スキーバスなど夜中に移動して朝に目的地に到着して1日をフルに使いたいという需要は若い人たちを中心に旺盛なのです。
鉄道会社がそういう人たち、つまりお金はないけど時間がある若者たちを相手にしないということは、将来鉄道のお客様になっていただける人たちを取り込めないということになりますから、すなわち鉄道の将来は暗いということになります。
この写真は高校生の時、新宿駅から八ヶ岳へ行くときに乗った夜行列車。
もちろん寝台じゃあありません。
硬い座席に一晩揺られて、でも、格安に移動できる有難さがありました。
若いころそういうことを経験していれば、将来大人になって、お金が自由になる年齢になっても鉄道が選択肢に入るのですが、夜行バスで育った人たちは鉄道には来ないでしょうね。
まして、今の時代は飛行機も安いですから、旅行に行くとすればそういう安い飛行機を使います。
つまり、どういうことかというと、若い人たちが友達といっしょに行く旅行なんてはっきり言って目的地はどこでも良いという需要が多いですから、安い飛行機が飛んでいるところが目的地になって、新幹線でしか行かれないようなところは観光の目的地にはならないということにもなるのです。
何しろ、新幹線で静岡に行くことを考えたら、飛行機で北海道や沖縄へ行く方が安いという現象が起きていますから、誰だって北海道や沖縄へ行くでしょう。
ということは、静岡は観光の目的地からは外れるということになると、私は考えます。
でも、鉄道会社としては、やっぱり若い人たちに鉄道に乗ってもらいたいし、夜行列車を経験してもらいたいと思いますから、何とかしなければなりません。
幸いというかありがたいことに、私は鉄道会社の社長をさせていただいておりますので、じゃあ、ということで、若い人たちに夜行列車を体験していただこうと、直江津発直江津行の夜行列車を走らせるのであります。
次回の運転日は3月27日
詳細は明日ホームページで発表します。
若者たちよ。
ぜひ、夜行列車を体験してください。
15歳。
45年前。
友達3人と東北旅行。
奮発して寝台車に乗りました。
右が私。今も昔と変わりませんよね・・・
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