仕事の話ですが、何をやるにもやっぱり愛が必要だと思います。
愛をもってその仕事をしている人と、そうじゃない人は結果が異なるのではないでしょうか。
ローカル線の仕事をしていると特にそんなことを感じます。
国の偉い人の中には、「鉄道というものには2つの特性がある。1つは高速性。もう1つは大量性。ローカル線にはそのどちらも無いから別に鉄道でなくてもよい。バスで十分だ。」などと平気で言う人が居ます。
そういう人は莫迦です。
なぜなら、私たちはそんなことは百も承知で、今さら言われなくてもわかっているわけで、そのうえでどうしたらよいかを考えて日々実践しているのですから。
国の偉い人がそんなことを言うということは、「僕は莫迦です。」と自分で言っているようなもの。
なぜなら、当事者意識がなさすぎるからです。
そして、それを自分で言っちゃってるんですから。
学者でも評論家でもないのですよ。
もう少し当事者意識を持ちましょう。
では、当事者意識とは何か。
親の気持ちになることです。
莫迦でどうしようもない息子がいたとします。
でも、親だったらどんな息子でも可愛いでしょう。
何とかしてあげたいと思うでしょう。
勉強で勝負ができそうになかったら、この子には何が向いているかを考えるでしょう。
どこかいい所がないか、一生懸命探して、モチベーションを与えて、伸ばしてあげたい。
それが親というものであって、なぜなら当事者だからです。
そしてそこには必ず愛があるのです。
「お前は勉強で勝負ができないから、出ていきなさい。」
などという人はいないでしょう。
勉強は1つのツールであって、手先が器用だとか、心が優しいとか、運動神経が人よりも優れているかもしれないとか。
一生懸命良いところを見つけて伸ばしてあげますよね。
ローカル線だって同じだと思いますよ。
百年も前に建設された路線は、建設当初の目的は終了しているかもしれませんが、何か良いところがあるかもしれない。
景色が良いとか、ホームに桜の木があるとか、駅前においしい食堂があるとか、古い車両が走っているとか、あるいは沿線が人情味あふれる場所だとか、何か1つでも良いところを見つけて、それを磨いて育て上げて、何とか盛り上げていくことができれば、廃止にしなくてもすむかもしれません。
そういうことが、ローカル鉄道の仕事であって、「高速性も大量性も無いから不要だ。」というのは、「勉強ができないから人間失格だ。」と言っているのと同じなのです。
と、私は思います。
そして、そのためにはどんな小さなことでも良いから、良いところ、可能性があるところを見つけて、一生懸命磨いて育てていかなければなりません。
気の長い仕事です。
だから、愛が必要なのです。
えちごトキめき鉄道には、自慢じゃないですが、愛がある人たちがたくさん働いていますよ。
鉄道LOVEはもちろんですが、新潟LOVEや直江津LOVE、新井LOVE、高田LOVE、糸魚川LOVEなどなど。
あるいは運転LOVEや電気LOVE、トンネルLOVE、雪月花LOVEなどなど。
会社の中にいろいろなLOVEがあるのがわかります。
よそから来たばかりの私は「へ~っ」と感じますが、なかなか良いなあと思います。
まぁ、別の言葉で言うと「マニア」と一言で切り捨てる人が居ると思いますが、自分の仕事や会社、働いている土地を好きだというのは良いことじゃないですか。
よく、木を見て森を見ずと言いますが、マニアというのは、森を見て、木を見て、枝を見て、葉を見て、その裏の葉脈まで知り尽くしている人たちですから、ボーッとしてる連中よりもはるかに優れていると私は思います。
そして、トキ鉄だけじゃなくて、鉄道会社という所は、仕事に惚れ込んで、地元に惚れ込んで、一生懸命働いている人がたくさんいる組織なのですから、そういう人たちに向かって、「お前たちがやっている仕事は無駄なことだ。」的な言い方をする人が居たら、私はその人こそこの業界から退場すべきだと思います。
「要らないのはお前さんの方だ」ってね。
やっぱり、愛なんですよ。
愛があれば、必ず道は開ける。
じゃなければ、3セク鉄道にかかわってかれこれ12年になる私の人生は何だったのか、ということになってしまいますから。
今日は最高の鉄道に来ています。
何が最高かって、この鉄道には働く人に愛があって、お客様に愛があって、沿線住民に愛があるからです。
ないのはお金だけなんですよね。
だから、何とか出来るんです。
愛がない所にはいくらお金をつぎ込んでもどうにもなりませんが、三位一体の愛があれば、お金の問題は知恵を出し合って解決すればよいのですから。
ところで、皆様、誤解の無いようにお願いします。
私はマニアではありません。
仕事なのですから。
ということで、All you need is Love !
田舎の鉄道の経営改善とは数字ではありません。
愛情をもって見つめなおすことです。
そうすれば必ず道は開けます。
私の仕事は、良い仕事なのであります。(エヘン)
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