新潟空港をベースに各地を結ぶトキエアという会社が立ち上がりまして、本日は上越市で説明会がありました。
お話をお聞きしたのは代表取締役の長谷川政樹社長さんです。
長谷川さんは日本航空のご出身で、JetStarの立ち上げにご尽力された方。
以前から存じ上げていたのですが面識がなく、一度お会いしたいと考えていましたので、本日ご挨拶をさせていただきました。
新潟県という所は交通政策上で航空のウエイトがとても低いところだと感じています。
新幹線が2路線も通っていれば東京へ出るには不自由しませんから、当然と言えば当然かもしれませんが、昨今交通評論家の皆様が良く言われるような「4時間の壁」などというものは、私は以前から机上の空論だと考えていますから、新幹線があれば飛行機は不要だという考え方には同調できません。
どうしてかというと、そういう論調をされる方を含めて、日本人の多くは旅客輸送しか頭の中にないからで、自分が東京へ行くとしたら何も考えずに新幹線に乗るから、飛行機はいらないというのは、交通政策としては片手落ちなのです。
今はコロナでガタガタになっていますが、日本の地方にとって羽田を結ぶ航空路線は付加価値の高い貨物を搭載して世界各地へ特産品などを運ぶ役割を担っています。
例えば、今日獲れた新鮮な魚介類を羽田行の最終便に載せることができれば、夜の22時には羽田に到着します。
すると羽田からアジア各方面に深夜発の貨物専用便というのが飛んでいて、その便に載せれば翌朝には上海や北京、ソウル、シンガポールに到着するのです。
そう、我々が宅急便で荷物を送ると翌日には東京や大阪に着きますが、それと同じように地方空港から最終便の飛行機に貨物を載せると翌日には東南アジア各国に届くのです。
だとすれば、航空貨物に適している軽くて小さくて値段が高いものというのは、日本の地域の特産物にも多くが当てはまるのですから、たとえ自分たちが東京へ行くのに乗らなかったとしても、地方都市と東京を結ぶ飛行機は必要なのです。
例えば海外では日本食がブームですから、新鮮な魚介類や、あるいは果物類など高付加価値のものを生産しているところはトラックではだめなのです。
昨今新幹線が小荷物を運んでいるという話が話題になっていますが、あれは東京駅止まり。それも駅構内の飲食店向けですから現時点ではお話になりません。
そういう点では私は新潟県の交通というのは、まだまだだと考えています。
もっとも、新潟県の特産品というのは大昔から米とか日本酒ですから、重くてかさばって安いものということになりますので、航空輸送に鈍感なのはわかります。でも、先日お話したように、例えば佐渡島の特産品などは、翌日海外に届くルートが確保できれば発展する可能性は無限だと思います。
ただ、残念ながら、そういうことを理解する人がいないのと、いたとしても未知のものにトライして失敗したらどうするんだという考え方に支配されているでしょうから、物事が前に進まない。
そうこうしている間にどんどん地盤沈下しているというのが現状でしょう。
そして早く気が付いたほかの地域に追い越されていくのです。
まぁ、航空は今の私の仕事ではありませんから、余計なことは言わないようにしていますが、そんな時にこのトキエアの社長さんがいらっしゃるという話を聞いたものですから、ご挨拶させていただいた次第です。
お話を聞いた限りでは十分可能性はあると思いました。
ただ、交通インフラとして、基本的には県や市がどれだけ支援するかがカギとなるでしょう。
出資するとかではなく、運行支援という考え方が交通インフラ、特に離島交通では欠かせません。
日本の地域行政はこのところ全国どこでも国際線チャーター便、そして国際線定期便を呼び寄せることだけに注力してきましたので、コロナの今の状況では何の具体的な打開策もないと思いますが、新潟県ご出身の長谷川社長さんのような方がいらっしゃるということそのものが地域の財産ですから、上手に進めていただきたいと思います。
おそらく、キーとなるのは佐渡でしょうね。
890mの佐渡の滑走路をどううまく使うか。
ジェット化などする必要はありませんが、そういうことが理解できるかどうか。
トキエアという航空会社に関しては、折を見てまたご紹介させていただきたいと思います。
長谷川さん、本日はありがとうございました。
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