何かおかしい国の会見。

首相も官房長官もテレビで言っていることは同じです。

「新型コロナウイルスが終息した後には経済をV字回復させるために大きなテコ入れを行なう。」

お魚券だとか牛肉券だとか、何を頓馬なことを言っているのだと思う人もいるかもしれませんが、それは方法論の話。今の時点で国民に対してメッセージを出すとすれば、「終息したらV字回復させる。」ということではなくて、「終息するまでの間を持ちこたえていただくために、どう支援するか。」ではないでしょうか。

コロナ禍がどんどん広がっている。
その拡散を防ぐためにイベントも中止せよ。年度末の歓送迎会などの宴会も自粛。旅行にも出かけるな。
今はこういう段階です。
だとしたら、イベントを仕事にしている人たち、飲食店の人たち、観光業の人たち、テーマパークで働いている人たちはどうやって生活したらよいのでしょうか。

現実問題としてそういう産業で働いていらっしゃる人たちは正社員ではなく、いわゆる非正規の人たちが多く居る業界です。
そういう人たちが多く居る業界に対して自粛を要請しておきながら、コロナが終息したらV字回復が必要なのでそのためのテコ入れをしっかりと考えていますという発言は、本当に国民のことを考えている発言なのでしょうか。

国は強制ではなく、あくまでも自粛のお願いをしている。
お願いであるから、それによって発生する損失に対しての補てんはできません。
こんなバカな話はないのではないでしょうか。

余りにも国民をバカにしていますね。

国の上層部に居る人たちは頭の良い人たちで、自分たちは生活が保障されていて、首になることもない。そういう人たちが、イベントの中止や自粛に対する損失補てんは税金でするべきではないと考えているのはよく理解できます。エリートと呼ばれる人たちは自分たちは上級国民だと自負している人がほとんどですから(まともな人もいますので全員とは言いませんが)、日々日銭を稼いで生活している人たちの痛みなど理解するはずもありません。現金給付だとか損失補てんに対しては当然消極的でしょう。
でも、そういうお役人たちの尻を叩いて、「いいからやれ! 俺が責任を取る!」というのが国のトップに立つ総理大臣や財務大臣などの政治家の仕事じゃないのでしょうか。

今回の新型コロナに対する支援策はいくつもの段階に分かれていています。
「終息した時のために支援策を用意していますよ。」というのはその最終段階のものであって、病気で死にそうな人間に対して「元気になったらご褒美やるよ。」と言っているのと同じ。今にも息絶えそうな病人にとっては何の役にも立ちません。
今にも死にそうな病人に必要なのは、今の命をどうやって繋いでいくかということであって、病気が治ったらご褒美をもらえるということは絵に描いた餅でしかないのです。

「営業を自粛してください。」と国や都道府県がお願いするということは、同時に「営業保証をしますよ。」ということとパッケージになっていなければ、仕事が無くなった人たちの生活はどうなるのでしょうか。
「あくまでも自粛のお願いですから、国が強制したものではありません。したがって損失の補てんはいたしません。」というのは詭弁であって、あまりにも国民をバカにしているとしか思えません。
安倍政権も終わりが見えたなあと思わざるを得ませんね。
役人にいいように振り回されているとしか思えませんから。

役人というのは前例主義で物事を考える人たちです。
そういう人たちの考え方では、人類が初めて経験するような未曽有の危機には対応できるはずがありません。
こういう時こそ政治家のリーダーシップが問われる時なのです。

赤字国債を発行すると財政健全化の道が遠のく。

そんなことを考えていたら、この国は終わりですね。
経済が死んでしまいます。

病気にかかっている時は金に糸目をつけず良い治療を施して、あるいは良い薬を与えて病気を治すしかないんです。
そういう時に「病気が治ったら支援します。」ということがどれだけ無意味なことか。
どうして平気でそういう発言ができるのか。

銀行からお金を借りて凌いでください。
皆さんに均等にお金を給付すると貯蓄に回される率が高いので給付はしません。

そんなことを言っているうちに、日本経済は死んでしまいます。
死んでからいくら支援しても何の意味もない。

そういうことを平気で言うお役人や政治家を作ってしまったんでしょうね。日本の民主主義は自分たちで勝ち取ったものではなく、75年前に与えられた民主主義ですから。
欧米各国との国民に対する姿勢の違いがはっきりしてきたことが今回のコロナ騒動の一番の収穫かもしれません。

とは言え、そんな国には何も期待できないとばかりに、自分たちのことは自分たちで何とかしようと頑張っている人たちがいるのも事実です。

例えば北海道の人たち。

札幌商工会議所のホームページにこんなコーナーがあります。

新型コロナ経済対策掲示板『緊急在庫処分SOS!』

2月以降観光客がぱったりと途絶えてしまった北海道ですが、観光客が来ないばかりでなく、全国各地で予定されていた北海道物産展も軒並み中止。物産展に向けて在庫を仕入れて来ていた事業者さんが加盟する商工会議所で「緊急在庫処分SOS!」と銘打って、全国の皆様方にご協力を呼びかけています。

本当に切実な思いが伝わってきます。

経済というものは弱いところから倒れていくものです。
例えば業界シェアで1位から5位があるとします。
マーケットが20%シュリンクしたら、1位から5位までそれぞれの売り上げが20%落ち込むわけではありません。
4位と5位が消えてなくなるということなのです。

北海道の観光関連事業者はとても弱い存在です。

年度末で現金化が必要な事業者さんに対して、国はスピードを持った対応はできない、いや、しないようですから、民間の皆様方でご支援をいただければと思いましてご紹介させていただきました。

明日というのは自分たちで作って行かなければならない。
今回の新型コロナウイルス騒動での国の対応を見ていて、それがわかっただけでもありがたいと、私は思うようにしております。