祝 ななつ星 5周年

JR九州の豪華列車「ななつ星」が運行開始から5周年だそうです。

 

おめでとうございます。

 

5年経っても高乗車率を誇る列車というのは、実に営業戦略がうまく行っている証拠だと思います。

たいていは最初は人気があるのですが、初期需要が一巡するとだいたい落ち込み始めて、いろいろなてこ入れが必要になります。

1年目の壁、2年目の壁、3年目の壁と、一生懸命テコ入れをするのが通常の商売です。おそらくJR九州もいろいろ新企画や新商品を投入して今日に来ていると思いますが、きちんと結果が出ているからすごいですね。

 

水戸岡先生のデザインもすっかり定着したようで、それも人気の秘密かもしれません。

水戸岡デザインについては、どこでも同じじゃないかなどとネットではいろいろ言う人もいますが、そういう外野の人たちの戯言はどうでも良いとして、私が以前お会いした時に水戸岡先生ご本人は、「減価償却が終わったデザインを、地方鉄道にお安く提供する。」とおっしゃられていました。JR九州がたっぷりお金を払ってくれて、元は取れたデザインだから、そのデザインを地方鉄道にお安くお分けすることで、日本全国の地方鉄道が元気になればそれでよろしいというお気持ちだと思います。

くま川鉄道や若桜鉄道なども、こうした水戸岡先生のご厚意で観光列車を導入できたのですから、良かったと私は考えています。

 

残念ながらいすみ鉄道はそのお安くお分けいただける水戸岡デザインを買うお金すらありませんでしたから、水戸岡デザインの車両を入れることはできませんでしたが、いろいろ工夫をして、昭和のキハの面影を踏襲する新型キハ20を導入したわけですが、1両か2両は水戸岡デザインの車両があれば、また面白い展開になっていただろうなあと思います。

 

それだけ水戸岡デザインは鉄道会社とお客様と、運行の便宜を考えられたデザインだと私は思っていますが、批判される皆様方は「どこへ行っても同じデザインではつまらない。」というのがその根拠のようですね。

でも、どこへ行っても同じデザインだと本当につまらないのでしょうか。

 

旅行へ行ってホテルに泊まるとしますね。

だいたいどこへ行ってもシングルルームやツインルームは同じようなデザインです。

シャワーやトイレも部屋の入口の右か左かの違いはあれ、だいたいどこも同じです。

日本旅館もお部屋のつくりはだいたい同じでしょう。

私は、奇をてらったようなデザインのホテルにも泊まりますが、なんだか落ち着かなかったり休まらなかったり。

窓から見える景色が違えば、お部屋はどこも同じで良いと考えています。

 

レストランもそうですね。

コンビニもそうです。

どこへ行っても同じようなものですが、なんとなく安心します。

 

マニアは別ですが、ななつ星をテレビや雑誌で見た一般の人たちは、「ああ、あんな列車に乗って旅をしたいなあ。」と思うでしょう。そしてななつ星は無理でも、手ごろな価格の各地の観光列車に乗りに行くわけですが、そこでテレビで見たのと同じような内装の列車が走っていたら、「ああ、これだねえ。テレビで見た列車だよ。」となってご満足いただけるのではないでしょうか。

だとしたら、地方鉄道にとってはとてもありがたいことですよね。

 

マニアは乗りもしないくせに「ああでもない、こうでもない。」というわけですが、まあ、それはそれとして、実際に観光列車をお楽しみいただくおじさん、おばさん、おじいさん、おばあさんは、水戸岡デザインにはある程度満足されると私は考えます。

だって、超豪華列車の「ななつ星」と同じような内装の列車に乗れるわけですからね。

そして、どこへ行ってもそういう列車が観光列車であれば、安心するというものです。

 

第一、国鉄時代を振り返ってみると思いだすでしょう。日本全国同じデザインの車両だったのですからね。

時代的な背景が時差を持って全国に広がって行きましたから、昔は、都会では冷房車だけど、田舎では冷房車じゃないとか、都会では電車だけど田舎へ行くと蒸気機関車だとか、そういう違いはありますが、ほぼ日本全国同じ車両が走っていたわけで、だからといって「つまらない」とは思いませんでした。旅のコンテンツというのは人それぞれですが、超豪華列車の内装と同じ水戸岡先生のデザインが、これだけ全国に広がっていくということは、ありがたいことだと私は考えるのです。

 

ということで、今度は内装のリニューアルが計画されているそうです。

どんなデザインになるのでしょうか。

今では海外からのお客様も当たり前に乗車されていますから、水戸岡デザインが世界標準になって行くかもしれませんね。

 

技術力ではそろそろ中国に負けそうな鉄道業界ですが、ソフトなおもてなしの面では、日本がリーダーシップを取れるのはうれしいことではないでしょうか。

 

でも、皆様、お忘れになっては困ることがあります。

それは、いすみ鉄道のレストラン列車は、実は「ななつ星」よりも先に走り始めているのです。

2013年7月運転開始ですからね。

 

2013年7月8日、運転開始のレストラン列車。

初日はいろいろヘマをすると思いまして、知り合いに実験台になっていただきました。

このお二人は、私の高校の時の同級生、東君夫婦。

 

こちらはいすみ市商工会の出口会長さんご夫婦。

 

つまり、いすみ鉄道のレストランキハは「ななつ星」よりも3か月早く走り始めているのでございます。

 

ただいま来年3月までの運転分を受け付け中です。

 

https://www.isumirail.co.jp/restaurant-kiha (←こちらにてお申し込みください。)

 

と、ここまでが私が在任中に仕込んでおいたところです。

この後は、取締役会の偉い人たちが、この火を引き継いで大きくしていくか、それともせっかく灯したこの火を消してしまうか。

その偉い人たちにかかっているということです。

 

わかってるのかなあ、偉い人たちは。

今、地方創生の時代に、せっかく灯したこの火を消したら、全国からの笑いものになるということを。

 

と、少し揺さぶりをかけておきましょう。

そうしないと、間もなく就任する新社長に全部その責任を押し付けかねませんからね。

私は、新社長を応援してサポートするのが役目だと思っておりますので、そしてそれが沿線にとってプラスになると考えていますから。

なにしろ、社長はやめましたが、「いすみ大使」ですから、知らん顔はできないのであります。