MY サンセバスチャン化計画

 

美食の街、サンセバスチャンにて。

 

いすみ市から「いすみ大使」としての称号をいただいておりますが、私としてはいすみ鉄道を上手に利用して、いすみ市が全国区になったということが「大使」にしていただいた理由だと考えています。

でも、いすみ鉄道には新しく古竹社長さんが就任されて、新しいお考えのもとで会社の経営をスタートされていらっしゃいますので、私としてもいつまでもいすみ鉄道にかかわっているわけにはいきません。

もちろん、クラウドファンディングなどで「実弾」を供給するような後方支援的なことは続けさせていただいておりますが、辞めた人間としては、頼まれれば別ですが、勝手に 口を出すことも深くかかわることもするつもりはありません。

私としては、今年は「いすみ大使」として、どうやったらせっかく観光で火がついて元気になってきたいすみ市の、その火を消さないために自分として力を発揮できるかということが、私自身のテーマと考えています。

 

そこで、いすみ市が現在進めている「サンセバスチャン化計画」の話ですが、市が観光を目的に数年前からこのような計画を大々的にPRしていて、確かにここ1~2年で実感が得られるほど観光客の姿が増えてきている中で、自分はそのサンセバスチャンというところがどういうところで、そこには何があって、観光客が何を求めに来ていて、それにどう応えているのかすら知らないことに気づきました。

 

ありがたいことに、私の場合は普通の人と違って、飛行機に「ただ乗り」できるという特技があったことを思い出しまして、「よし、じゃあ行ってみるか。」ということで、退職職員用褒賞航空券というものを退職後10年経って初めて使用して(実は毎年支給されているのですが、一度も使わずすべて無効にしてきましたので)、このお正月は思い切ってサンセバスチャンに来てみたのであります。

 

サンセバスチャンとはスペインのバスク地方と呼ばれるフランス国境に近い小さな町ですが、日本からは実に遠くて、12時間かけてロンドンへ飛び、そこから2時間かけてスペインのマドリードへ。マドリードで一泊して翌日の便でビルバオへ1時間。そしてさらに高速バスで1時間かかって到着するような遠い遠いところですが、百聞は一見にしかずとはよく言ったもので、「なぜいすみ市がサンセバスチャン化計画なんだろうか」と、それまで不思議に思っていた私の心が、霧が晴れたように「なるほど。」とすんなりと納得したのであります。

 

いすみ市がサンセバスチャン化計画として取り入れようとしているのが「美食の街」のコンセプト。 実は私の年代、つまりバブルを経験した年代の人間にとって、「美食」って聞くとあまり良い響きがしないんです。 お金に任せて、キャビヤやフォアグラ、やれシャンパンはドンペリじゃなきゃダメだとか、という時代を思い出すんですね。 バブルの頃って、私は20代でしたが、先輩たちがやたらそんな会話をしていて、でも若かった自分には高嶺の花でした。

「俺もやがてはああなるぞ。」なんて思っていたら、あっという間に泡と消えてしまいましたので、自分の番は回ってこなかったのですが、そういう経験をしているのが今の50代ですから、どちらかというと、美食って「悪趣味」的イメージがあるわけで、今、この年になったら、そんなもの食ってたら死んでしまいますよとお医者さんに怒られるんですから、いずれにしても縁がなかったんです。

 

でも、実際にサンセバスチャンを訪ねてみると、全然そんなことはない。私が勝手に描いていた「美食」のイメージなんて言ったら、「お前さんは何を勘違いしてるんだ?」なんて言われるほど、普通の食材や普通のお酒をどうやっておいしくいただくかということに関して、実に切磋琢磨しているんです。

 

ただし、お酒も食べ物もここでしかいただけないものが中心なんですね。 だから、たくさんの観光客の皆さんが世界中からやってくるということなのです。 ここでしか味わえないものをお出しする。 それも海辺の町ですから、新鮮な食材が豊富にある。

いすみ市にもできないことはありませんね。まして東京から1時間程度で、国際空港が1時間圏内に2つもあるのですから、いすみ市が「サンセバスチャン化計画」を立ち上げて、サンセバスチャンという街を見習って、自分たちができることをやっていこうと市役所が音頭を取って、つまり方向性を出して進んでいく目標としては、実に達成可能な計画だということを実感したのであります。

 

 

只今帰り道。こちらの時間で午前8時。飛行機の乗り継ぎでロンドンのホテルに滞在しています。

明日8日の午前中には日本に戻ります。

ネットの環境があまり良くなくて写真がたくさんUPできませんので、詳細は帰りましたらご報告させていただきます。