R.I.P.

台風のニュースでもちきりでしたが、8月6日は広島に、今日8月9日は長崎に原爆が投下された忘れてはならない日です。

 

1945年(昭和20年)の8月6日に広島に、その3日後に長崎に原爆が投下され数万人の命が一瞬にして奪われました。

日本人を核兵器の犠牲にしたのはアメリカ軍で、アメリカの飛行機が広島と長崎の上空で核爆弾を投下したのです。

これは紛れもない事実です。

そういう経験をしている国ですから、北朝鮮が核兵器を開発して、それをミサイルに搭載して日本をターゲットにしていると宣戦布告している状態の時には、国の責任者は当然それを防ぐ対策を取らなければなりません。

だから、日本海の海岸線に万が一ミサイルが飛んできたときのために、迎え撃つための装置を配置して、本土に着弾することを防がなければなりませんが、日本人というのは不思議な民族で、自分の国を自分で守ろうという意識がない人が多い。

「アメリカが守ってくれる。」

本当にそう思っている人が多いのが不思議なんですが、それはどうしてなんだろうか。

広島と長崎に原爆を投下した張本人のアメリカに対して、どうして日本人はこんなに心を開いているのだろうか。

それも昨日今日ではなくてもう半世紀以上も前から。

 

私が子どもの頃、昭和40年代前半の話ですが、当時の大人たちはほとんどすべて戦争経験者でした。

小学校に入学したのが昭和42年ですから、戦後まだ22年だったとき。当時40代、50代の働き盛りの大人たちは、皆さん戦争経験者という時代でした。そういうおじさんやおばさんたちが子どもたちに二言目に言っていたのは、「好き嫌いなく食べなさい。」「残さず食べなさい。」「食べ物を粗末にするな。」ということで、「アメリカ人は悪い奴だ。」なんて言う大人は少なくとも私の周りにはいませんでした。日本に原子爆弾を2発も落として、東京、大阪などの大都市を空襲して、数十万人の命を奪ってきたアメリカなのに、それからまだ20年ほどしか経過していないのに、「食べ物のつらかった話」はするけど「親兄弟を殺戮したアメリカが憎い」などという話はしない。どうしてなんだろうかと私は不思議な思いでした。

 

「アメリカが悪かったんでしょう?」と私が尋ねると、

「まあ、そうだけど、日本も悪かったから。」という大人の人が多くて、そういう人たちは皆さん戦争経験者で、自分の親や兄弟も戦争で失っている人が多く居たにもかかわらず、アメリカを悪く思わないんですね。

 

これに対して、朝鮮半島や中国大陸の人たちは、戦後70年以上経過した今でも、「日本人は悪い奴らだ。」と学校で教えている。

この差はなんだろうかと考えたとき、子供のころさんざん聞かされた戦争経験者の話を総合すると、アメリカ人って、飛行機に乗ってやってきて、大都市の上空で兵隊さんがボタンを押して爆弾をばらまいていくスタイルの戦争でしたから、地上にいる日本人は誰もアメリカ人の顔を見ていないのです。ただ、B29が飛んできて、爆弾や焼夷弾が空からたくさん降ってきて焼かれてしまったという感覚なんです。

これに対して、朝鮮半島や中国大陸では地上戦でしたから、日本の兵隊が目の前で親や兄弟を殺戮していったわけで、生き残った人たちは、そういう姿を見ているわけですから、恨みつらみも高まりますし、どんどん語り継がれていく。だから、70年以上経とうが、「日本人は悪い。」って思うのも無理はないことではないでしょうか。

 

別に日本人がノー天気なわけでもなく、朝鮮半島の人たちや中国大陸の人たちが執念深くて、恨み節を言っているわけではないのです。

この違いを私たち日本人は理解しなければならないのですが、そんなことを考えていたら沖縄県の知事がここ数年かたくなに日本政府に反発している。どうしてなんだろうと皆さん思われるかもしれませんが、実は沖縄県は日本で唯一本土戦が行われたところで、上陸してきたアメリカの兵隊が、自分の親や兄弟を目の前で殺していったという経験をした、今の日本で唯一の場所なのです。

だから、基地の建設にあれほどかたくななまでに反対する。

そして、その基地がなければ沖縄の経済が成り立たないという状況も真でありますから、やるせないですよね。

つまりアメリカの基地に首根っこを握られてしまっているのですから。

 

そういう日本において、昨今唯一救いだなあと思うのは、政府がインバウンド政策に舵を切っていること。

実は、戦争をするよりも、経済政策を進める方がはるかに効率的で合理的なのですが、アジア諸国の経済発展が、観光旅行という消費経済の対象として日本を選んでいることも事実ですから、上手にお付き合いをしていけば、戦争をしなくても、いや、戦争をするよりもお互いに発展していくことができる。

これがインバウンド政策ですから、つまり、平和を追及することで皆が繁栄することができるという、今更ながらに日本人がやっと気づいた新しい時代の考え方なんだろうなあと思うのです。

 

でも、そういう時代に忘れてはならないのは、相手に首根っこを握られるようなことになってはいけないということ。

経済の首根っこを相手に握られてしまうと、身売りと同じですからね。

 

私たちは、あくまでも日本人であるということを忘れてはいけない。

そういうことも事実なんですね。

 

終戦から73年。

15歳で終戦を経験した私の母が88歳になりますから、もうそろそろ戦争を知る人たちも時間切れですね。

でも、時間切れにしてはいけないと思います。

そのためには、戦争経験者からいろいろな話を直接聞いてきた私たちの世代が引き継いでいかなければならないと思います。

 

広島と長崎で無念にもお亡くなりになられた方。

戦争でお亡くなりになられた多くの皆様。

そして、唯一日本で地上戦を経験した沖縄県のリーダーとして平和を追求し続けた翁長雄志知事。

 

皆様方のご冥福をお祈りいたします。

安らかにお眠りください。

Rest in Peace.

 

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