皆さんたいへんお疲れ様でした。

今日は大雪で電車が立ち往生したニュースでもちきりでした。

 

新潟県の信越本線。昭和38年のサンパチ豪雪を思い出すような大雪だったのでしょう。

立ち往生した信越本線の区間は、山間部ではなくて新潟平野の真っただ中。千葉県に居ると山間じゃない平野に何で大雪が降るんだなどと思ってしまいますが、石狩平野の真っただ中の岩見沢が豪雪地帯ですから、雪国というのは我々南関東の人間には想像もつかないところなのだと思います。

 

そんな中で、鉄道を守る鉄道マンたちが、非番の人も駆り出されて作業に当たられたんだろうなあと思うと、本当に頭が下がります。

 

同じ新潟県では高速道路も立ち往生した車で動かなくなっていたようですから、自然の力というのは本当に恐ろしいと思いますし、いすみ鉄道は千葉県の房総半島という温暖な地域にあって良かったなあと、雪国の皆様方には申し訳ないけれど、良かったなあと思います。

 

私は航空業界に長くいましたので、運航規定というものに縛られていました。

例えば、台風などの大風が吹いて横風が規定値を超えると飛行機は飛べませんし、霧が立ち込めて視程が規定値を下回ると飛行機は飛べません。雪が降って機体に雪が積もると除去するまでは飛べませんし、滑走路や誘導路に雪が積もれば、飛行機はスタッドレスなどはいていませんから、やはり飛べません。飛べませんというのは離陸や着陸のための滑走ができないという意味で、一旦飛び上がってしまえば視程ゼロの雲の中だって、時速100キロの風が吹いていたって問題なく飛行できますが、離陸滑走ができなかったり着陸ができなかったりすることが、飛べない原因ということになります。

 

では、鉄道はどうかというと、雨や風の場合は規定値があって、それに達すれば運転を中止するという判断ができますが、雪の場合は、何センチ積もったら運転できませんというような規定値は、基本的にはありません。だから、雪で運転できないということは、物理的に運転できなくなるということで、物理的に運転できないということは、今回のようにお客様を乗せた状態で、駅間で列車が動かなくなるということで、つまり、ぎりぎりまで列車を動かそうと努力した結果、駅間で立ち往生してしまったということなのです。

 

多分、マスコミの人たちは、「鉄道会社はいったい何をやってるんだ。」という報道になると思いますが、最大限に努力した結果として、駅間で、あるいは途中の駅で立ち往生してしまったということはご理解いただきたいと思います。

 

その次の問題として、では、再発防止のためには今後どういう対応が取れるのかという話になるのでしょうが、これは感情論ではありませんから、しっかりと対策を考えなければなりません。

例えば、電車の車体構造をどうやって強化するかとか、万一閉じ込められてしまった場合のサバイバルのためにはどうするか、ということも考える必要があるでしょう。

最近ではエレベーターに乗るとサバイバルキットが設置されているのをよく見ますが、あの中には簡易トイレ、飲料水などが入っていて、サバイバルキット自体が腰かけになるものもありますから、もしかしたら電車にもそういう設備が必要かもしれません。今回はトイレが付いている電車でしたから、長時間の閉じ込めにも対応できたようですが、400人も乗っていればトイレットペーパーは足りなくなったでしょうし、水洗用の水も十分だったかどうかの検証も必要でしょう。電車は電気で動きますから、電気の供給が途絶えれば暖房も効かなくなります。では、その電気の供給が止まった場合の代替機能が備えられているのか。あるいは電気の供給が止まらないように、例えばパンタグラフにヒーターが必要なのかどうか。そういったことに対する検討も必要になるかもしれません。

自然状況の厳しい地域の車両にはそれなりの設備が必要でしょうから、現状でも暖地と同じ基準ではないと思いますが、それでも実際にこういうことが発生して、半日以上も動かなくなったですからね。

そして、救援体制はどうだったのか。昔は力持ちの除雪用機関車があちらこちらに配備されていましたから、すぐに救援に向かえたかもしれませんが、今ではそういう汎用性のある機関車もほとんどありません。あるいは、こうなる前の除雪体制は十分だったのか。これからそういうことの検証を行って、同じことが発生しないようなシステムを作って行かなければならないのですから、マスコミの皆さんは、そういう観点から鉄道会社の取り組みや姿勢を見ていただきたいと思います。

 

この冬は例年になく寒い冬のようですが、まだまだ寒さは続くようです。

鉄道をはじめ、雪国で交通機関に勤務されていらっしゃる皆様は、本当に大変なお仕事をされていることは間違いありません。

 

彼らの仕事に対する使命感と、努力する姿勢はたいへん尊いものですから、皆様方は、ぜひ、そういう部分にスポットを当てて、鉄道マンたちにエールを送っていただきたいと思います。

 

皆様、お気づきになられているかどうかはわかりませんが、鉄道は夏も冬も同じダイヤで動いているのです。

夏だから速くて、冬だから遅いということはありません。

つまり、雪が降っても、雨が降ってもきちんと定刻に、安全、正確に列車が走っているということは、忘れていただきたくはないのです。

そして、それを支えているのは、最終的には現場の鉄道マンたちであるということも。

 

皆様本当にお疲れ様でした。