秀逸なポスター

地元のことを褒めるのは、自分で自分を褒めているようで、なんだか手前味噌ですから私はあまりやらないのですが、そういうことを抜きにしても、このポスターは秀逸だと思います。

 

 

大多喜は、長年NHKの大河ドラマの誘致に取り組んできていましたが、その甲斐あって昨年の大河ドラマ「真田丸」で本多忠勝が取り上げられました。真田に嫁いだ小松姫が本多忠勝の娘ですから、当然本多忠勝は出てくると思っていましたが、真田丸というドラマのストーリーの中にあっては、結構たくさん取り上げられたのではないかというのが正直な感想であります。そして、それは地元の大多喜にとってはこの上もないチャンスだと私は考えています。

 

真田丸がまだ放送中だった昨年のこの時期に、大多喜町は本多忠勝役の藤岡弘、さんを「大多喜お城まつり」に招いて、武者行列を行いましたが、例年の倍以上のお客様にお越しいただいて、いすみ鉄道も大混雑しました。これは実に上手な取り組みで、動きの速い対応だなあと感心したのですが、今年はこのポスターですから、「ほほう、すごいことやるなあ。」と私は思っています。

 

では、なぜこのポスターが秀逸だと私が考えるかというと、パッと目を引くからなんです。

まるで映画のポスターのようではありませんか。

私は全国を歩いていますから、いろいろな地域の行政が制作した観光ポスターを見る機会があります。

中には芸能人やアイドルを使ったものもありますが、お祭りのポスターなどはたいていお祭りの紹介のポスターですから、例えばの話、いろいろな所からお祭りのポスターを集めてきて、一堂に並べてみたら、どこも同じようなもので差がないというのが現実ですが、その中で、このポスターは、他のポスターと並べてみても、パッと目を引くデザインで、ポスター、つまり告知ツールという点では十二分に目的を果たしているわけですから、私は秀逸だと申し上げるのです。

 

大河ドラマを自分たちの町に誘致する活動の目的は、全国の皆様方に自分たちの地域の存在を知ってもらい、実際にいらしていただくことで観光振興を図り、地域を向上させるためであり、決して自己満足ではありません。

ところが、大河ドラマに取り上げられた全国各地のその後を見てみると、3年もすれば忘れ去られて、5年もしたら「何もなかったこと」になってしまっているところがほとんどです。

大河ドラマというのは、毎年毎年新しいストーリーが登場して高視聴率を獲得するのですから、当然年を追うごとに忘れ去られていく運命にありますが、つまりは、放映されたその次の年が要(かなめ)なのでありますが、その次の年である今年に、こういうインパクトのあるポスターを制作したということも「秀逸」なことであります。

 

藤岡弘、さんにお願いするには結構な予算がかかっていると思います。

私は町の観光政策に絡んでいませんから、いくら予算がかかったのか知りませんが、ポスターの使命は観光の告知であり、そのためには人々の目に留まることが第一ですから、大河ドラマの人気にあやかって、まだ人々の記憶にあるうちに、去年に引き続いて今年も藤岡弘、さんにお金を払ってでも登場していただくことは、私は正しい選択だと思います。

また、藤岡弘、さんご本人も本多忠勝役をたいそう気に入っていると聞いていますので、おそらく喜んで協力してくれているのだと思います。

 

そういう、様々な点を考えて、私は今年の大多喜町のこのポスターは秀逸だと考えるわけでして、これは手前味噌でもなんでもなく、素晴らしいのであります。

 

本多忠勝は主役ではありませんでしたが大河ドラマに登場しました。

もう一度本多忠勝を今度は主役級として大河ドラマを誘致するのは、おそらく今の重鎮の方々の目の色が黒いうちは無理でしょう。

でも、藤岡弘、さんにこうやって今後も引き続き登場していただくことで、私は大河ドラマという形以外でも、本多忠勝をドラマや映画で取り上げてくれる日はそれほど遠い将来のことではないように思います。

何しろ、ご本人も本多忠勝役が大変お気に入りとのことですから。

 

いすみ鉄道としても、今回、養老鉄道さんと姉妹鉄道締結させていただくことで、本多忠勝公の御縁を大切にしたいと考えております。(三重県の桑名城の城主)

 

皆さん、今度の土日は大多喜の「お城まつり」にぜひお越しください。

駐車場は閉鎖される時間帯がありますので、ぜひ、いすみ鉄道の列車でお越しくださいね。