昨日のブログで「需要の創造」という話をしました。
乗らないから廃止する、ではあまりにもバカ丸出しですよね。
自分たちは何もできませんと言っているのと同じことですから。
でも、私はJR九州のまわし者ではありません。
JR九州には友達がいますが、JR北海道にも友達がたくさんいますし、東日本にも、東海にも、西にも、四国にも、貨物にも友達がいます。
そういうことではなくて、国鉄からJRへ転換していく中で、「親方日の丸」感が抜けきらない風土があるのはある意味仕方がないと思うのですが、いくらなんでも30年も経っているのですから、いいかげん民間会社らしくなって当然だと思うのですが、現実問題として、逆に、どんどんお役所感が出てきているのが「アホじゃないの?」と思う中で、九州は、周囲から島会社とさげすまれていたにもかかわらず、きちんと上場した。そういうビジネスのヒントがあちらこちらにたくさんあって、ビジネス感としてはとてもお手本になるからなんです。
その1つとして、昨日話した誰も利用しない山の中の無人駅をどうするかということ。
なんだかんだとストーリーつけて、観光列車を走らせて、地元民を巻き込んで、しっかり観光地化したのがJR九州で、そういうことって、「需要の創造」としては、民間会社としては当たり前のことなんだということなんです。
では、他に何があるかというと、もう一つは「車内販売」。
昨今JR各社は車内販売を廃止していく傾向にあります。
例えば名古屋を発着する特急列車ですが、3時間以上乗る列車で、グリーン車を連結しているにもかかわらず、「車内販売はありません。どうぞご了承ください。」とアナウンスしているわけですが、車内販売だけじゃなく、車内の自動販売機も動かない。だったら、駅弁を買える駅で停車して便宜を図るのかといえば、そんなことはなくて、途中では食料調達できない。駅弁を買おうと思うと駅では1分も止まらない。にもかかわらず、途中の全然関係ないところで、「反対列車待ち合わせのために5分止まります。」なんてことをやっている。
別に名古屋を発着する列車だけじゃなくて、他の地域でも全国的に車内販売が乗っていない。
その理由は「売れないから。」
「売れないからやめます。」ということは、お客のせいだ! と言っているのと同じことなんです。
ではなぜ売れないからやめるのかといえば、車内販売は関連会社に丸投げで、JR本体は関係ない。
丸投げされた関連会社は、売り上げの中から人件費を出さなければならないから、売れなければやめる以外にないのです。
でも、乗車券と特急料金、そしてグリーン料金をお客様は払っているわけで、お客様としては、その料金の中には当然各種サービス料金が含まれていると考えるのです。
グリーン車なんだから、アテンダントがいて、飲食のサービスがある。無料じゃなくても良いから、3時間も4時間も乗る列車の中で、少なくとも食事の心配はしたくないのが本音でしょう。
にもかかわらず、運賃(目的地まで運んでもらう料金)の他に、特急料金と、車両によってはグリーン料金を払って乗っている車内で、何のホスピタリティーもないのが在来線の特急列車です。
特急料金は速達料金です。
グリーン料金はゆったり座席の料金です。
これが会社の言い分ですね。
では、本当に特急列車は速いのでしょうか?
ゆったり座席だけがグリーン車なのでしょうか?
答えは明白に「客離れ」という形で出てきています。
つまり、JRで行くよりも高速バスや飛行機の方が安いし、速い。
高速バスだって、今やコーヒーのサービスがある路線も多いし、飛行機はご存じのとおり、ホスピタリティーにあふれています。
つまり、需要を創造するどころか、放棄しているんですよ。
そんな中で、JR九州は20年以上前から「つばめレディー」というアテンダントを特急列車に乗せて、車内サービスを充実させる努力をしています。つばめレディーって、飛行機のCAさんと同じかそれ以上のクオリティーを求められるサービスで、きちんと本社が採用して教育して乗務させているのです。
新幹線ができるずっと前からですよ。山の中を走る2両編成の特急列車にもちゃんと乗っていて、車内販売はもちろん、途中停車駅での駅弁の取り次ぎ販売もきちんとやっている。
そういうサービスを20年以上きちんとやってきて、本社がノウハウを蓄積して、その結果として超豪華列車の「ななつ星」を走らせて、高い評価を受けているのです。
だから、「ななつ星」は半端ないんです。
ところが、おもしろいことに、「車内販売はやめます。」と言っている会社が、今度は豪華列車を走らせるらしい。
金の力にモノを言わせて成金趣味の車両は作ったけれど、どういうホスピタリティーでおもてなしするのか。すべて下請けに丸投げで、JR九州のような長年にわたるサービスの蓄積やノウハウが何もない会社が、どういうサービスをするのか。
お客様は豪華列車に乗せれば満足すると思っているのかな?
「座席がゆったりしているからグリーン料金がかかります。」
などとハード面だけで追加料金を取っている会社の、ホスピタリティーって、今から容易に想像できそうですよね。
つまり、車内販売を放棄して、サービスを放棄して、お客様に苦痛を与えることを当然だと思っている特急列車を運行している会社には、最高級の車両は作れても、最高級のサービスはできないんです。
こんなことは、明らかなんですよ。
自分たちで車内販売をやめるんだったら、沿線の事業者の中で、だれかやってくれるところを募集するなり声かけるなりするのが、お客様のサービスのために必要だと私は考えますが、列車の中や駅構内での営業権は自分たちにあるのだから、勝手なことはさせない! と息巻くだけですからね。
権利というのはきちんと履行して初めて主張できるのであって、自分たちが権利を放棄するのであれば、他社の参入は拒めないんです。
そうやって、特急列車が走らなくなって、普通列車も減便されて、自分たちではもうできませんと宣言するのを待って、たっぷり渡してある国鉄からの手切れ金を返還させて、そのお金で、楽しい列車を走らせてくれる会社を作って、お客様に選択していただく。
オープンエアならぬ、オープンレールの時代は、もうすぐそこまで来ていると私は考えています。
だって、同じ新幹線なら東海の車両よりも九州の車両に乗りたいですから。
まあ、私がここまで言えば、「あの野郎、ふざけやがって。」と各社の幹部の皆様方も真剣にサービスというものをお考えいただくきっかけになるかもしれませんから、30周年を前に、どんどん親方日の丸色が濃くなっている皆様方に、ぜひ奮起していただきたいと思うのであります。
何しろ、30年前に、お父ちゃんが新しい生活を始めるにあたって、「お前は連れて行かれないよ。」と言われ捨てられた子供としては、「お父ちゃん、僕だってがんばってるんだぜ。」と自己主張するのは当然だと私は思うのであります。
たぶん、お父ちゃんとしては、まだ生きていたのか? ということなんでしょうけどね。
そういうことを、きちんと申し上げるのも、私の使命だと考えております。
乗らないから車内販売をやめる。
車内販売がないと、もっと乗らなくなる。
こういう負のスパイラルを作り出すのは、お父ちゃんの得意技ですから、捨てられた子供から見たって、お父ちゃんが不憫に思えるのです。
「あいかわらず馬鹿だなあ、お父ちゃんは。」
捨てられた子供の独り言ですから、皆さんは聞き流してくださいね。
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