イギリスの国民投票が予想に反してEU離脱派が勝利したというニュースが世界中を駆け巡っています。
株が大幅安で、急激な円高。
これから始まるニューヨーク市場がどうなるか。
そして土日を挟んで週明けの東京がどう動くか。
大多喜駅前の番所のマスターとママが、テレビのニュースを見てため息をついていました。
「困ったなあ、株がこんなに下がって、円高が急に進んで、どうしようか。」
およそ田舎の駅前の食堂の経営者夫婦の会話とは思えませんが、世の中、国際化ですから、イギリスの国民投票の結果次第で、こんな田舎の駅前食堂にも寒風が吹きすさぶという現象を目の当たりで見せていただきました。
そういう私も、この間海外旅行へ行った時の外貨が500ドルほど残っているので、120円ぐらいの値を付けたときに両替しておけばよかったなあと思うわけですが、話を聞くとマスター夫婦も、せいぜい同じ程度のようですから、「そんなこと言ってないで、せっせと仕事しろ!」というのが庶民の会話であります。
私はイギリスの会社に長くいましたからよくわかるのですが、日本人はイギリスというのは保守的な国であるという印象をお持ちの方が多いでしょうが、それは日本人が勝手に抱いているイメージであって、実際のイギリスは一言でいえば「なんでもあり」の国なのです。
奇しくもビートルズが初来日してちょうど50年という報道もされていますが、音楽というのもイギリスで生まれ、アメリカで大きく育ってきていますし、ファッションだってイギリスで生まれてパリで花開くというのが今までの歴史でもあります。
狂牛病などというわけのわからない病気もイギリス生まれだし、コンコルドなどという飛行機もイギリスがフランスと共同開発しています。
そういう意味ではイギリスは少なくとも世界の文化や文明をリードしてきているというのは大英帝国時代から現在まで続いていると私は考えています。
だから、今回のことも、今後の大きな流れのきっかけになるのではないかという気が、私は何となくするわけで、考えてみればマルクスだって、アダムスミスだって、ケインズだって皆さんイギリスで活躍していましたし、近年人類が発明した資本主義という画期的なシステムだって、イギリスが作ったものですから、それをイギリスが自らぶち壊していくことになるかもしれないという、漠然とした不安感があるわけです。
これがいわゆる不確実性というものであるとしたら、今回の国民投票はまさしく「神の見えざる手」であるわけで、だとしたらそんなことは250年以上前のイギリス人はすでに知っていたということになるのです。
さて、現代人がこのことを冷静に受け止めてきちんと対応していくことができるのか、それとも古典的経済学の教科書に書いてある通りのシナリオでお芝居を演じることになるのか、少しだけ勉強をさせていただこうかと考えております。
さすが、イギリスですね。
やってくれましたよ。
好むと好まざるとにかかわらず世の中が変わっていく。
「なんでもあり」のイギリスが、スタートボタンを押したと私は考えています。
私の場合、500ドルはそのための授業料だと思えば痛くもかゆくもありませんから、こういう時は「富」を持たない貧乏人が怪我をしないというのも、昔の教科書に書いてある通りなのであります。
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