理想と現実

昨日のブログで「南阿蘇鉄道を支援するための復興応援切符を発売します。」というお知らせをしました。
すると、FACEBOOKでのシェアが1100を超えました。
私のこのブログはだいたい1日2万人のアクセスがありますが、アクセスした人の5パーセントがFACEBOOKでシェアしていただいたことになります。
FACEBOOKをやっていない人も多いでしょうし、ただ斜め読みしている人がほとんどのブログにあって、5%の人がシェアしてくれるということは、ものすごいことですし、それだけで、私たち公募社長が企画しているこの「復興応援切符」というものが、社会的に受け入れられている、社会的に必要とされている正しいものだということがわかります。
でも、これはあくまでもこの復興応援切符というものに対する考え方に賛同していただいている人たちの数であって、その人たち全員が実際に購入してくれて、その善意を形として南阿蘇鉄道に届けることができるかというと、そういうものでもありません。
FACEBOOKでシェアしてくれた イコール 「買います」というのではないし、これが世の中の現実です。
ふつうなら、「賛同してくれたんだろう。だったら当然買ってくれるだろう。」となるでしょうね。
1100人の人たちが一晩でシェアしてくれたのだから、発行予定部数1000部はすぐに売れ切れになるだろう。
1000部じゃ足りないだろうな。
そう思うのがふつうだと思います。
でも、それは商売を知らない人の考え方です。
FACEBOOKで1100人の人たちが一晩でシェアしてくれたからと言っても、実際に購入していただけるのはその中の100人。いや、もう少し多かったとして200人ぐらいでしょうね。
「復興応援切符」という我々の考え方に賛同してくれて、FACEBOOKでシェアしてくれた人が1100人いるということは事実ですが、そういう人たちのほとんどがシェアしたことで支援した気分になっているのかもしれませんし、インターネットでクリックしただけのことで、実際には何の行動もとっていない。南阿蘇鉄道に対する支援策に対しては何の貢献もしていないわけです。
でも私たちは仮にも経営者の集まりですから、そんなことは重々承知しています。
実際に切符が売れて、物理的に目の前にある切符がなくなって、それと引き換えに現金が手元に残って初めてビジネスとして完結するわけですし、1100人の人たちがFACEBOOKでシェアしてくれたからと言って、「あなたたち、どうして買わないのですか?」と言うつもりもありません。
どうやって買っていただけるか。
実際にどうやって販売するかということが、我々経営者に問われているということを百も承知しているからです。
これがビジネスなんです。
だから、そんなに甘いものじゃないんです。
でも、私はうれしかった。
一晩で1100人もの人たちがFACEBOOKでシェアしてくれたということは、今までなかった数字ですし、それだけ、皆さんが関心を持ってくれているということ。南阿蘇鉄道という九州の山の中のローカル鉄道に、これほどまで皆様方が注目してくれているということは、これは、お金では換算できないありがたいことだからです。
その、お金では換算できないことを、どうやってお金に変えていくか。
これが私たち経営者に求められていることであり、私たちの仕事なのです。
だから、買ってもらえなかったとしたら、私たちの責任であって、お客様の責任ではありません。
私は、今回の地震もそうですが、集中豪雨や台風なども合わせて、自然災害が一発来ただけで、80年も100年も続く地域の足としての鉄道が、息の根を止められて、消えて行ってしまうということに理不尽さを感じています。
地域の人たちや鉄道会社の職員が日夜一生懸命努力して、何十年も運営してきた鉄道が、災害一発で立ち上がれなくなるとしたら、そんなことで、どうして私たちが先進国と言えるのでしょうか。
昔に建設された鉄道は、山や海岸線を越える難所続きの場所がほとんどです。
そして、そういう難所が、言い方を変えれば風光明媚な観光路線の名所なんです。
先人たちが、よくこんなところに鉄道を作ったなあ、と思えるようなところが、素晴らしいところなんです。
そして、そういう難所は自然災害の被害を受けやすいところなんです。
お隣の国、台湾では阿里山森林鉄道という難所を越える登山鉄道が、何回自然災害に見舞われて、線路が破壊されているかご存知ですか? そして、そのたびに歯を食いしばるような努力をして復活しているのをご存知ですか?
私たちは世界に名だたる先進国です。
でも、自然災害一発で、先人たちが築き上げて守ってきた鉄道が破壊されて、そのまま廃線になることがまかり通るとすれば、本当に先進国なのでしょうか。私たちが何かにつけて引き合いに出す中国と比較したら、きっと中国に笑われますよ。
日本人の恥をさらすことになりますから。
何が観光立国ですか。
南阿蘇鉄道の素晴らしい風景は、国際的な価値がある。
それを破壊されてそのまま何も感じないということであれば、反政府勢力が古代遺跡を破壊して何も感じないのと同じレベルではないでしょうか。
だから、「復興応援切符」なのです。
本来こんなことは国の仕事です。
潰れそうなローカル鉄道の、いつもいつも地域から尻を叩かれている公募社長がやることではないかもしれません。
でも、私たちは、自分たちができることをきちんと、しっかりと、やっていくんです。
ああでもない、こうでもないと、行動もしないで偉そうに言いたいことを言っていることを「能書き」と言います。
日本全国の地域には能書きばかりたれているおやじたちがたくさんいます。
それが、地方創生の足かせになっているといろいろなところで言われています。
能書きだけでは何の役にも立たないことは明らかなんです。
自分たちができることを、黙々と、一生懸命にやっていくこと。
泥臭いけれど、これが、公募社長のおじさんたちが、これからの日本を背負って立つ若い人たちに見せる後姿です。
だから、買えよ。
そして、募金もしろよ。
ということであります。
鉄道を守るために必死になって日夜働いている私たちの仲間に、私たちは声援を直接送るのです。
えらそうに理想論ばかりぶちかましてないで、行動をするのです。
これが、第3セクターとはいうものの、民間出身の私たち公募社長の考え方なのです。
わかるか、お前ら。
ということで、4月29日、ひたちなか海浜鉄道、若桜鉄道、由利高原鉄道、いすみ鉄道で一斉に発売開始いたします。
どうぞよろしくお願いいたします。