消費税の軽減税率の線引きが決まったようですね。
加工品を含めるとか含めないとか、外食はどうするのかなどなど、諸外国にはそれぞれ事例が存在していますから、それを見れば日本も将来どうなるかが現時点でわかると思います。
例えばイギリスの場合、消費税に当たるVATは20パーセントです。
だから日本から出かけて行くとなんでも高いような気がするのですが、教育費や食料品など、掛けられていないものもたくさん存在します。
軽減税率ではなくて、「かけられていない」のですが、この辺りが今回の消費税の軽減税率のトリッキーなところでしょう。
例えばイギリス人が大好きなフィッシュ&チップスという食べ物は、どういうわけか課税対象です。
庶民の代表的な食べ物と思われていますが、実際にはどうなのでしょうか。
フィッシュ&チップスは基本的に専門店に行って食べることが多いのですが、VATはフィッシュ&チップスにかかるのではなくて、その専門店にかけられているようです。
だから、同じフィッシュ&チップスでも、専門店に行かずに、非課税のお店に行って注文するとVATナシ。つまり日本でいったら消費税が抜きになる、なんだか抜け道のようなことが、あちらこちらにいろいろあるようですよ。
でも、私が気になるのは、フィッシュ&チップスではなくて「所得の低い人たちに向けた軽減税率」という言葉。
何とも失礼じゃありませんか?
こういうことを言われると、「軽減税率に賛成!」とはなかなか言いづらくなりますから、「計算方式も複雑になって現実的でないから、一律課税で良いのではないでしょうか。」と言いたい気分になってしまいます。
この軽減税率は外食にもお酒にも適用になりません。
外食は金持ちが良く行くから金持ち優遇になるというのがその見解だそうですが、買ってきて家で食べるのが貧乏人だというような発言ですよね。
基本、私は家で食べて家で飲むのが好きな方ですから、出張先でも外飲みはほどほどにして、スーパーやコンビニでお惣菜やつまみを買ってきて、ホテルの部屋でちびちびやることが多いのですが、外飲みの場合も一人ですから予算は酒代も含めて3000円と決めていますし、ホテルの部屋で飲む場合も1500円もあればお腹いっぱいになります。
そういうところが貧乏人の習性なのですが、そういう私の習性を見通したかのような「外食は金持ちを優遇する」という発言には、納得してしまうところがやたらと腹が立つわけです。
だったら酒税を復活させて、昔のように特級酒、一級酒、二級酒、焼酎とそれぞれ税率を変えればよいわけで、今2000円ちょっとで買えるシーバスリーガルが、バブルのころ1万円もしていたのだから、これは関税ではなくて、金持ち税で良いと思いますし、貧乏人は焼酎を飲めと言われれば、喜んで焼酎を飲んであげましょう。
若い人たちは知らないと思いますが、洋酒はだいたい1本1万円が30年前の相場でしたし、ブランデーはVSPOは1本2万円。その上のナポレオンになると1本3万円以上というのが当時の値段でした。
海外旅行の免税店では日本で1本3万円するナポレオンが3本セットで5万円で売られていたりして、「安い安い」と言いながら日本人のおっさんたちは免税枠の3本を必ず買っていました。
中国人のバク買いの元祖は日本人のおっさんたちなのです。
日本酒の瓶には茶色い瓶と薄緑の透明の瓶の2種類があって、特級酒とか一級酒という金持ちが飲む酒瓶が茶色い瓶で、貧乏人が飲む二級酒の瓶は透明のもの。だから寅さん映画で出てくる酒瓶は絶対に薄緑の透明の瓶でなくてはならないのです。
ビールも高級品でしたから、ビールが高くて飲めない人たちは酒税が掛けられていないホッピーという飲み物を飲んでいました。
アルコールが入っていないビール(ホッピー)を焼酎が入ったグラスに注ぐと安く酔えるわけです。
ホッピーは今でもあるようですが、専用のグラスがあって、「ここまで焼酎を入れる」という印が付いていて、最初に焼酎を入れて、その後冷えたホッピーを勢いよくドボドボ注ぎ込むと適度に泡が出て良い感じになるのです。
このように昭和の時代は所得に応じで飲む酒も決まっていて、酒屋さんから出てくるときに持っている一升瓶の色でその人の懐具合が知れたわけです。
それが今ではビール、発泡酒、第3のビールなど、かつての特級、一級、二級のような感じにはなってるけれど、発泡酒や第3のビールでも美味しい物がたくさんありますから、どのビールを選んでも、優越感もなければ劣等感もない、それなりに良い時代になったと思っているのですが、ここへきて「所得の低い人たちのために」という言葉をテレビのニュースでも言っているのがわたし的にはどうも気になるのです。
そして、それに追い打ちをかけるのが「富裕層」という言葉。
「富裕層のバク買い」とか、「富裕層を取り込もう」など、あたり前のようにあちらこちらで使われているこの「富裕層」というのも実に不愉快になる言葉です。
「富裕層をターゲットにした戦略」などという言葉を全国の田舎の観光協会などでも平気で口に出すようになりましたが、だいたい富裕層をお客様にしようと思ったら、富裕層の嗜好や購買動機を知らなければならないわけで、それを普通の人たちが理解できるわけないと私は思うのです。
金持ちと貧乏人の決定的な違いは、お金があるかないかだと思うかもしれませんが、そうではなくて、どうして金持ちになれたのか、どうして貧乏人のままなのか、というところに大きなポイントがあるわけで、貧乏人は稼いだお金を気前よくパッパと使ってしまうから、いつまでたっても貧乏人なのであり、金持ちの財布のひもは固いのです。
だから、そういう貧乏人が自分の価値観や物差しで金持ち相手に商売をしようとしても、金持ちの心理がわかりませんから、金持ちをお客様にすることができないのです。
にもかかわらず、猫も杓子も「富裕層をお客にしよう。」と言っていて、その同じ口から「軽減税率を拡大しろ」と言っているのを見るにつけ、私は消費税率云々よりも、この国の人たちはもっとロジカルになるべきだと思うのです。
安倍政権は世界でも評価されるような良いところもいっぱいあるし、その反面でトリッキーなところもいくつもあるわけで、「低所得者層」とか「富裕層」という言葉が、毎日のようにテレビや新聞をにぎわしている世の中そのものがどうなのか、というところをめくらだましに合わないようにしなければいけないと、貧乏人の心理を身を持って体験しているローカル鉄道の社長として、とても気になるのであります。
▲出張先のビジネスホテルで一人飲み。
900円の焼酎を3日で飲むとすると1日当たり300円。
その前に外で地元のうまい物を少しだけいただいて、あとは部屋に帰ってテレビを見ながら・・・
私の至福のひと時です。
貧乏人は何をいただいてもおいしいですから、安上がりに幸せになれるのです。
(でも、氷だけは製氷機の物はダメ。家でも出張先でも必ずロックアイスにしますよ。お酒の味が全然違いますし、気分も違います。100円の氷で、ねっ、安上がりでしょ。)
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