3月14日の北陸新幹線の開業を前に、航空会社のホームページが面白いですよ。
例えば東京から小松まで、新幹線開業前日の3月13日(金)と開業の14日(土)以降ではどのような変化があるか、興味のある方はどうぞご覧下さい。
新幹線開業に伴うお客様の流れを航空会社がどのように需要予測して対応しているか、よくわかりますね。
例えば日本航空のホームページに見る羽田―小松線の時刻・運賃表です。
[:up:]北陸新幹線開業前日の3月13日です。(クリックすると拡大します。)
普通席の普通運賃は27390円ですが、特割1の普通席は始発便の1273便で18190円。その他の時間帯ではだいたい20590円です。
ところが、
[:up:] 新幹線開業後の週明けの3月16日(月)を見ると、普通運賃は変わりませんが、特割1の運賃は始発便の1273便では13190円と、前の週よりも5000円も下がっていますし、その他の便では14190円と6400円も安くなっています。
そして新幹線開業から1か月が経過した4月17日(金)はどうなっているかというと、
[:up:] こちらのようになっています。
違いはというと、普通運賃、特割1運賃は同じですが、今度は使用する機種が違ってきています。
朝の183便と夜の191便だけはB767(約260人乗り)が使用されていますが、その他の便はB737(約165人乗り)と、小型の飛行機に変わっています。
もともとこの路線はビジネス需要が多く、時間帯によっては1日に1便程度B737が入ることがありましたが、これだけ大きく変わっているのは新幹線開業後の需要予測以外の何物でもありません。
(便名が変更になっているのは、3月下旬の夏ダイヤから国内線全般で便名が変わるためで、新幹線の開業とは関係ありません。)
日本航空の場合、朝の7:50発の便が東京からの出張サラリーマンがもっとも多く利用する便で、その人たちが東京へ戻る便が、4月17日の時刻表で見るところの191便の折り返し便である、19:55発の最終便192便となりますので、この便だけはまだ需要があると見込んで大型のB767を当てていますが、羽田発の最終便である19:40発の193便と、その飛行機が停泊して翌朝の羽田行始発便となる182便に関しては、北陸地区の方々の日帰り出張用ですから、その人たちが新幹線へ流れるだろうということで、小型のB737になっているということがわかります。
そして、大型機B767で残った便には、機内ワイファイが使える最新設備のB767が充てられているのも、ビジネス客を意識しているのでしょう。
では、全日空はどうでしょうか。
[:up:] こちらは新幹線開業前の3月13日の全日空の羽田発北陸方面行時刻・運賃表です。
全日空の場合は羽田発北陸方面の富山、小松、能登と3つの行先の便をひとまとめに表示してありますが、3月13日までは普通運賃はどの空港へも27390円。
特割運賃は最安値で富山17890円、小松18190円、日中時間帯の標準では富山20490円、小松20590円と、ほぼ日本航空と同じ金額になっています。
また、使用する飛行機も富山、小松共にB767(約270人乗り)、B777(約400人乗り)、B787(約335人乗り)など、能登空港を除いては大型機が中心のオペレーションです。
ところが、新幹線が開業した週明け3月16日(月)はどうなっているかというと、
まず、運賃は富山、小松ともに普通運賃は変わりませんが、特割運賃では富山が11290円~12290円と5~6000円以上安くなっていて、小松も13190~14190円と5~6000円安くなっています。
また、日本航空同様に、それまでB777(400名乗り)だった便がB767(270名乗り)に置き換えられるなど、使用する機材も小型機へのシフトが始まっているのがわかります。
そして、新開線開業後1か月を経た4月17日(月)はというと、
B737(約167人乗り)やA320(約166人乗り)と小型機へのシフトがはっきりしていて、富山、小松路線への大型機から小型機への置き換えが完了しています。
これが、新幹線開業に見る航空会社の対応であり、全日空の場合で見ると、特筆すべきは羽田から能登空港への路線で、能登空港は北陸新幹線の影響は受けないと見ているのか、新幹線開業前後で特割を含む運賃の変化はほとんど見られませんし、使用する機材も同じです。
つまり、航空会社は、これだけの需要予測を的確に行い、運賃でフレキシブルに対応し、使用機材を変更して持てる経営資源を有効に投入するという、言うなればかなりしたたかであからさまな戦略を得意としているわけで、国民の皆様方は、そういうことをしっかりと踏まえたうえで、北陸新幹線の開業を祝さなければならないと私は思うのです。
航空会社は、現段階では新幹線開業後もこの路線に需要があると見込んでいるということも、この時刻表を見てうかがうことができますが、低運賃化と大型機から小型機へのシフトが第1段階目であるとすれば、第2段階目はすなわち「減便」であり、第3段階目は「撤退」となりますから、石川県、富山県の皆様方は、その所をよく考えられた方が良いと思います。
石川県、富山県をはじめとする北陸地方の皆様方は、何も東京だけがデスティーネーションではないわけで、九州、沖縄、北海道へ行くこともあれば、その地域からお客様にいらしていただくこともあるわけで、海外だってソウル経由以外でもお出かけになられることもあるわけですから、新幹線と飛行機というダブルトラックを維持する努力をしっかりとやって行かないと、東北地方の複数の県のように、JRに首根っこを握られる地域になってしまうと、私は今から危惧するのであります。
それでなければ、能登空港と同じようにLCCも興味を示さない空港になるか、かつて東京まで多くの飛行機が飛んでいて、新幹線開業で路線廃止された新潟、仙台、花巻のように、東京との間を結ぶ航空便のない航空過疎都市なってしまうのです。
それにしても、キハ52のふるさとである糸魚川は有利になりますねえ。
今まで私は糸魚川へお邪魔した時は富山か金沢まで飛行機で飛んで、そこからレンタカーや特急列車で行くルートを使いましたが、そういう意味では不便なところでしたが、これからは当然北陸新幹線ですから、停車する列車が1時間に1本だったとしても、私は糸魚川にとって見たら大きな飛躍に結び付けることができるチャンスになると思います。
北陸新幹線が開業したら、早速糸魚川へ行って、うちのキハ52の相棒を見たいと思いますし、米田市長さんにも「おめでとうございます。」とご挨拶しようと思います。
そして、そういう地域が、見方によっては他にもまだあると私は考えています。
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