北陸新幹線が開業するという国を挙げてのお祭りムードの中で、それってどうなのよ的な発言をすると、いろいろ言われるのはわかっていますが、私は別に新幹線が嫌いなわけでもなければ、新幹線反対論者でもありません。
私が生まれ育った時代は、新幹線というのは「夢の超特急」で、子供ならだれでもあこがれていましたし、私自身も新幹線の運転士になるのが夢でした。
ただ、いつのころからか、この国が前進する速度がだんだんと遅くなり、期限を切って物事を進めるという民間企業では当たり前のことが、国や行政が絡むと当たり前じゃなくなる仕組みが全国いたるところで出来上がってしまったのです。
だから、東海道新幹線はわずか4~5年で開業したというのに、北陸新幹線は着工から開業までいったい何年かかっているのか、その間に世の中がどのように変わっているのかということが誰の目にも明らかなのにもかかわらず、例えば民間企業であれば30年前に考えられていた需要予測と現在の需要が違っているかどうか、まずはっきりと見極める必要があるにもかかわらず、行政的にはその検証がなされないまま、決められていることを決められた通りに粛々と行っていて、それが仕事だと思われているわけです。
新幹線だけでなく、空港やダムなど、長期間を要する一大事業で成功したものがあまりなくて、青函トンネルなども、工事の壮大さ、世界に誇る技術の割には利用価値が低いと思わざるを得ない状況になっているのではないでしょうか。
北陸新幹線を作るということが決まったのは、確か私が中学生ぐらいの時だったと思います。東海道山陽新幹線が岡山へ延び、いよいよ博多までのめどが立って、では次は東北、上越、そして北陸という話が新聞紙上で賑わっていたことを記憶しています。(もう一つ、成田新幹線なんていうのもありましたね。)
でも、キミマロさんじゃないですが、「あれから40年」ですよ。
当時は東京から富山への飛行機は64人乗りのYS11が1日2往復。小松へは同じYS11が1日3往復という時代です。
空港も整備されてませんでしたし、航空需要そのものが一般化されていませんでした。だから、その時代には「新幹線が必要だ」と言われていたのですが、それが今でも本当に正しいのでしょうか。
JRも需要予測をして、本当はやっていくのが厳しいと思っていても、それを口に出して言えないような立場にあるでしょうから、「並行在来線は知りませんよ。地元でやってくださいね。」というのがせいぜいなんだろうなあと、想像を膨らませていますが、まあ、需要を創造するというのがビジネスの基本ではありますから、国が威信をかけて作った新幹線はやらざるを得ない。
こういうことなんではないでしょうか。
スカイマークも10数年頑張ってきて結局ダメになってしまいました。
ダメになってしまったというよりも、ダメにされてしまったという方が本当かもしれませんが、その証拠に、会社が傾いた時に「助けてくれ。」と言った相手は青い翼。その青い翼は「それはできません。」とその時はいったんは断っておきながら、潰れるのを待って、今になって「支援しましょう。」と言っているのですから、10年ほど前に長銀がつぶれた時に買いたたきに来た禿鷹ファンドと比較しても、青い翼は根性としては変わらないと私は思うのです。
だったら、新幹線でファーストクラスを運行する私の大好きな日本最大手の鉄道会社は、航空会社から職員を招いて客乗の研修なんかでお茶を濁しているんじゃなくて、今こそスカイマークを傘下に収めて航空事業に乗り出すべきなのではないでしょうか。
そうすれば本当のファーストクラスも手に入るし、東京―大阪、福岡、沖縄、札幌という路線だって手に入るわけで、私は、かの会社であれば、もうすでにそのぐらいの実力は備えていると思うのですが、皆様はいかがお考えになられますか?
少なくとも今のこの国では、お上の側に交通を総合的体系的に計画していくという姿は見られませんから、鉄道屋は鉄道屋であり、飛行機やは飛行機屋であるべきという考えしかないでしょうが、鉄道屋としてはいつまでも地べたを這いつくばる二次元の発想じゃなくて、ダメになった国鉄を引き受けて、ここまできちんとした企業にしたのですから、いつまでも二次元の呪縛に縛られることなく、そろそろ三次元で物事を考えるべきなのではないでしょうか。
そうすれば、リニアなんて発想そのものが出てこないはずなんですがね。
東京駅から羽田空港まで、新幹線も在来線も乗り入れられるように3線式の線路を延伸して、羽田空港からの飛行機も自社でやれば、関東から東北だけでなく、全国が手に入るわけですから、私だったら、北陸新幹線、北海道新幹線の次は、航空に進出するというのが、日本最大の鉄道会社が次に進む道なのではないかと、真剣に思うのであります。
これが三次元から二次元へ移行した私が思うところなんですが、反対に二次元から三次元というのは、そう簡単なことではないかもしれませんね。
地面を這いつくばることしか知らない二次元のスーパードメスティックカンパニーの幹部の皆様方のお手並み拝見となるでしょうか。
わたくし的には見てみたいなあと思うのであります。
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